105『学名【ゴリラ・ゴリラ・アヤカ】』
正式には【ゴリラ・ゴリラ】は、学名ではないらしいです。
「あばばバばばばばババばバばばっ!?」
「御姉様っっ!!???」
ど・・どどど、どうしよう・・!?
どんだけ日本を離れてたか知んないけど・・絶対、彩佳に怒られる・・!
「───・・ぇさーん、お姉さーん?
・・・・。
【ワーム】も【アルラウネ】にも・・『村破級』にすら物怖じしなかったお姉さんが・・こんなにも怯えている・・!」
「あらあら・・。
アのコ、見たところ運動神経は良さそうだけど、カンタさんより強いとは到底言えないわね~?」
「───まさか、御姉様の・・敵!?」
道場の出入口は正面の一ヶ所のみ。
窓は採光目的のみで、格子が嵌まっている。
脱出経路は他に・・無い。
正門から道場の出入口は一直線で、あんまり顔を出していたら向こうから見えてしまう。
道場の隅で対策を考えていたら───
「ちょっと!
ソコの貴女!?」
───ザレが飛び出していたのに気付かなかった。
◆◆◆
「オジさーん、居ますかあー!?」
幹太と颯太と源太爺ちゃんが・・別々の場所で、同じ状況で、行方不明となったとオジさんに電話で聞かされ数十分・・。
軽く放心してたけどそんなんじゃダメよね!
アタシもせめて警察署に付いていきたいと思って、幹太ん家に来たんだけど───
『○□◇△!!』
「えっ!?」
───なんか、道場から赤毛少女が叫びながら飛び出てきたわ・・。
しかも・・髪を染めたんじゃなくてマジ赤毛の外国人?
なんで颯太ん家の道場から!?
「あ・・あいきゃん・・とぅすぴいくいんぐりっしゅ?」
『◇○□△□カンタ◇○○△□△○◇カンタ□○△◇□・・』
・・!?
幹太!??
今、幹太っつったの・・!?
「ちょっ・・アンタ誰よ!?
幹太の知り合い!?」
思わず興奮して相手の襟首を掴んでしまったわ。
ソレを敵対行動と取ったのか、腰の鞘から抜剣・・えっ!?
あれ、マジの剣!?
ちょっ・・慌てて避けたけど、剣で突いてきた方がなんか不思議そうに自分の刺剣と手を見つめ───
「舐めんじゃナイわよ!」
アタシだって付き合いだけとはいえ、『秋原甲冑柔術』を習ってた ( バトル物を書くタメにね ) んだから。
こんぐらい出来んのよ!
「ちぇぇいっ!」
『△○っ!??』
相手の腕を門の格子の隙間から取って引張って、門に縛りつける!
あ、今アタシ・・ジャッ○ー・チェンだわ。
『□○!!』『□○△!?』
「わっ・・ま、また!?」
道場から・・今度は、金髪の美熟女と灰髪の美幼女が飛び出してきた!
な・・何?
観光客が『道場=ニンジャ』とでも勘違いして迷った・・訳ナイわよね。
オジさん、遂に再婚する気になったとか・・?
それとも───
もし・・もしアタシの知らない美女三人が幹太関係なら・・シバくわよォ?
◆◆◆
「ちょっと、ソコの貴女!」
・・御姉様の敵かもしれない女に対して、思わず飛び出してしまいました・・が。
フと・・御姉様と同郷なだけあって同じ髪と目の色、似た顔だちを見て・・御姉様が何らかの理由で迷惑をかけてしまい、『どうやって謝ろう!?』等にて恐れている可能性も無きに非ずと思い、一先ずは冷静に対応してみる事にしました。
「御姉・・カンタ様に何かご用でしょうか?
カンタ様は今、手が離せない状況でして・・」
『□△○○っ!?』
何という事でしょう!?
このメスゴリラ、 【※作者注※異世界にゴリラは居ませんが、ニュアンスで喋っています※】 いきなり人の襟首を掴み、ウホウホ言ってきたではありませんか!?
やはり御姉様の敵ですわっ!
殺しはしません。
せいぜい痛い目を見てもらって情報を吐いてもらいますの!
抜剣し、相手の肩を狙──か、身体が重いっ!?
身体強化が出来無・・あっ、御姉様と離れたから魔力が足りず・・!
『ウホウホっ!』
一瞬の隙を突かれ、門へと叩きつけられてしまいましたわ!
『ウホォっ!』
「ぐううっ!??」
厭らしくも門の格子を巧みに使い、関節を攻められ悶絶します。
するとワタクシの悲鳴を聞いて学園長先生とビタさんが助けに来て下さいました。
「ザレ!!」「ザレさん!?」
『ゴリっ!?』
援軍を警戒してか、メスゴリラの表情がますます険しくなってゆき・・両者ぶつかる!! ・・という所で───
「ミニ・マイン!!」
非殺傷魔法で優しくワタクシを包みこみつつ ( ついでにメスゴリラも ) 、御姉様が出てきて下さったのです!




