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104『俺、ワクワクすっぞ! とはなりません。』


ザレとビタの二人に、両腕に薬を塗ってもらおうとして・・?

声?

・・が、して───







───んん?


ど・・何処だココ?

目眩がして───

気がついたら・・景色が変わっていた。


ビル・・アスファルトの道路・・信号機・・車・・。

鉄の猪とは思わないなあ───ってえ、

この景色は・・日本!?

日本に転移してきたのか・・!?




「幹太姉ちゃん・・ココ・・どこ?」


「さ、さあ・・?

パッと見は日本みたいだけど・・」


「・・うん?

此処は・・ああ、アッチに行きゃあ『湊屋 ( ウチの近所のスーパー )』に出る旧道じゃろ?」


「あー・・普段国道しか使わないけど、なんとなく───」


「お・・御姉様!?」


「御姉さん・・!?」


「カンタさん・・!」




ザレ、ビタ、リャター夫人・・!?

さ・・三人も日本に・・!?

な、ならあの場にいた他の女生徒は!?




「私・・急に目眩がして~・・。

そしたら目の前に、少し離れてた筈のこの娘達がいて・・すぐそばに居た筈の他の娘達はドコにも居なくて・・!」


「魔力のパスの感じだと・・・・ココには居ない?

・・っつうかコレは・・!?」


「うっ───幹太・・姉ちゃ・・ん」


「幹・・太・・!」


「颯太っ!?

源太ちゃん!!?」




颯太と源太ちゃんが急に倒れた!?

原因は・・なんとなく予想がつくけど、究明は後回しだ!




「三人共、ココは俺達の故郷ですぐ近所に俺ン家があって・・事情はともかく取敢ず颯太と源太ちゃんを安全な場所まで避難させよう!」


「えっ!? こ・・故きょ・・!?

・・わ、分かりました!」


「仕方・・ない、わね・・」



◆◆◆



家への帰路途中、視線が集中した。


J・RPGのキラキラヒロインファッション程じゃないにしても地味にファンタジーな格好、しかも全員平均以上の見た目の女が六人。


そんな集団が身体強化で猛スピードで走る。


一番遅いビタに合わせても自転車以上の速度で ( しかもウチ二人が傍目には死にかけ背負われて ) 走り抜けるんだ。


注目度はハンパ無い。


写メを撮ろうとした奴を確認してからは炎魔法と風魔法を合わせ、蜃気楼っぽい空気のガードを創る、けど。

・・あー、やっぱり魔力が───


まあ取敢ずソレは後回しで、まず家だ。



◆◆◆



携帯スマホを構え、何故か

「待てやコノヤロウっ!!」

と罵倒してくる連中を巧く巻きつつ、家に到着。


この辺から急に家の数が減り、彩佳ん家以外は老人の一人暮らしの家が数件。

この時間帯は殆んど人通りはなく、今は一人も居ない。




「こ、コチラが御姉様の御自宅ですの・・?」


「ああ」




───さて。

父さんにどう説明するか・・。




「・・あれっ?」


「どうされました?」


「この時間だと父さんが居るはずなんだけど・・鍵がかかってる?」




車庫のシャッターを上げると・・車もない。


そういや、転移してどれぐらい経つんだ?

俺達と源太ちゃんは同日に転移して、到着に半月差がでた。

『行き』に時間差が出るなら『帰り』にも時間差はあるだろう。


向こうで数ヵ月過ごした割には転移前と同じ季節っぽいけど・・。

───まさか転移して一年経っているとか・・!?


流石に庭や景色を見るに、数年とかは経ってない筈だけど。




「表札は『秋原』で、掃除もされ、インターホンも生きている。

・・父さんはまだこの家に住んでる。

なら今は道場に行こう」


「はい。

コチラの建物ですね」




母さんソックリの俺が説明すれば信じてくれる・・とは、思いたいけど。

( 母さんに姉妹も従姉妹も居ないから母さんソックリな人間は俺以外存在しない筈。)


道場に皆を連れてきて、取敢ず颯太と源太ちゃんを寝かす。

隅に本が数冊円陣を組んで・・何だコリャ?




「二人共・・寝てるだけっぽいな」


「お姉さん・・コレは?」


「人のを見るのは初めてだけど・・たぶん魔力切れだ」


「あらあら、確かに言われてみれば・・」


「ですが何故急に・・?

御二人共、大きな魔法を使った訳では在りませんもの。

魔力は満タンの筈ですわ」


「なんか・・さっきから俺の内側の魔力が外側に出るたびピリピリするんだ。

ココには・・魔力以外の『ナニカ』が存在して、魔力は一切無い」


「・・え?」


「まあまあ、そんな土地が存在するのかしら~・・?」




土地っていうか世界だろう。

この『ナニカ』が魔力と反応しあって消滅しているっぽい。

『霊気』とか『妖気』とか・・いわゆる『気』とかか?




「三人も、たぶん俺から何とか漏れ出ている魔力を吸収して身体強化しているんだ。

ザレは土とか操れないかも」


「・・んっ・・!

だ・・駄目ですわ、いくら不得意とはいえ風が全く操作出来ません!」


「私も植物を操れなさそう・・」


「俺は何回か、完全な魔力切れを起こした事あるから慣れているけど・・二人がココまで消費したのは無いかなあ」




【ファフニール】戦でもココまでギリギリにはなってなかった。




「あとはお姉さんの魔力が人間にしては───他の人のより特別大きいから魔力切れまで時間がかかるんでしょうか」


「こんな場所に他の娘達はいるのかしら・・?」


「さっき魔力のパスを拡げた時の感覚だと大丈夫・・というかココに来る直前、あの『声』を聞いた時にパスが切れた感覚が残ってて・・。

コッチに来てすら無い気がするんですけどね」




無論、今の俺の状態での『気がする』で、放っておいて良い問題じゃない。

道場の隅に脱ぎ捨ててあった俺の服に ( 胸部分以外を ) 着替え───




『──ピーンポーン──』




「ひゃあっ!?

・・あ、ああ・・先程御姉様が鳴らしておられたドアベルですか・・」


「父さん・・が、自分ん家で鳴らす訳ナイし・・誰だろ?」


「オジさーん、居ますかあー!?」




・・んん!?

この声・・あ、彩佳・・!??


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