101『『終わりの始まり』は・・まあ、色々有りますからね。』
≪キさマ、ハ・・!?≫
「『魔女』に連なる者、覚悟しなさい・・!!」
≪くッ・・チかラガつかエ・・!?
オのレエぇェ!!≫
ビタが【アルラウネ】と対峙する。
・・『魔女』?
【アルラウネ】はビタを一目見て明らかに狼狽え、警戒し、逃げだし───
「逃がしませんわ!」
「ザレっ、こっちは任せて!」
「こっちも大丈夫よ!」
≪ジゃまヲすルナアぁァ・・!!≫
女生徒達が連係して【アルラウネ】を取囲む。
「ソウタ様、ゲンタ様!
───今ですっ!!」
「ええぇいっ!!」「はあああっ!!」
≪おノレエええェ・・っ!≫
【アルラウネ】は颯太と源太ちゃんに挟撃され、花を落とす。
・・どう考えても、お膳立てが過ぎててオーバーキルじゃね?
女生徒達の経験値獲得のためが殆んどなんだけど、俺も参加させてもらえなかった。
気持ち悪くても魔法使えるんだけどな。
「あらあら、コレが伝説の【アルラウネ】の花なのねぇ~・・まあ私達には、まだ伝説かしら」
「ビタは?
ビタも花が欲しくて戦ったとか?」
「いえ、花はどうぞ。
私の目的・・『思惑』と言えば
『【アルラウネ】の皆殺し』ですので。
ソレに皆さんを利用させてもらいました」
「お、おおう・・有難う御座います」
花・・か。
再生魔法は使ってきた。
魔法薬も使っている。
別に罰だとか責任だとかで腕を治さなかった訳じゃない。
・・でも、あの夢を忘れる努力をしても良いのかも知れない・・。
「ビタ」
「はい?」
「ビタのお陰で【アルラウネ】が見付かった。
迷惑で無ければ、ビタに薬を塗って欲しいんだ」
「わ、私でよろしければ」
「ザレ」
「は、はいっ!?」
「今まで俺の真横で助けてくれて有難う。
ザレさえ良ければ、もう片方の腕に薬を塗って欲しいんだ」
「も・・勿論ですわっ!」
「ええー!?
良いなあ、僕も幹太姉ちゃんに御薬塗りたぁい!」
「まあ、しょうがない。
たまにゃあ姉ちゃんを貸してやるんじゃ」
みんなが颯太に責任を感じる必要はない、とか言ってた・・けどそういうのと関係は・・たぶん無い。
ビタとザレが、座る俺の腕をとる。
◆◆◆
【銀星王国】王の住まう城、その一室。
銀星王国国王と大臣が二人きりで会話していた。
「他国の連中はどうしている」
「どの国も、目の色を変えております。
『魔女の真実』を知らぬ者は新たなる『対、街破級』に。
知る者は『魔女』は自分の物だ、と」
「ふん・・浅ましい連中共が・・。
───準備は?」
「【連合】に仕込んだ【ニーズホッグ】も予定外の目覚めでしたが、その魔力は予定通り【銀星王国】側に」
大臣が手にする書類に目を向け、ククク・・と笑う。
「また、既に『巫女』は───
『狼』も『花』も、二人共死んでいます。
後は空にクチが開くのを待つのみ」
「ふふふ・・千年の悲願がついに叶う。
精々人を集めろ。
観覧客は多ければ多い程良いからな!」
「すでにパレードは世界中から王族貴族以外の下々にも門を開いております。
みな、王の『思惑』通りかと」
「ふっ・・ふははっ、あーっはっはっはっ!!」
王と呼ばれる『其れ』の顔は───
支配者たる超越した者特有の物か、はたまた一匹の獣の様であった・・。
◆◆◆
───はぁ~・・カンタさん今頃、何してるッスかねえ。
まあ、あのヒトっスからまたブッ飛んだ事やるんだろうッスけど。
「おうジキアぁ、そろそろ次の行商の準備をしとけ」
「えっ? まだ次の商談は先の筈じゃ?」
「馬ァ鹿、行きたいンだろうが。
王都のパレード・・御姉チャンとデートによ」
「んななナな・・・・・・・・・・・・はい」
「「俺も! 俺達もソウタちゃんとデートしたいです」」
「煩えッ!
・・とにかく、最後のパレードん時ぁ、時間を作ってやるから・・さっさと次の商談の準備を今のウチにしとけ」
「はっ・・はいっ!」
『はえ』
「えっ?」
『きた』
「な・・何スか、この声!?」
『みんら』
「女・・? 何処にも居ねエぞ・・?」
『まざる』
「だ・・団長・・なんか・目眩が・・」
『うれひいな』
「あ───」
『うれひいな』
『うれ・・しいな』
『・・嬉しい・・な』
『みィんな『思惑』通り・・に、動い・て・・くれて・・嬉しいな・・・・』
◆◆◆
その日───
世界中の人が空にクチが開き、喋ったのを聞いた。
しかし・・ソレを、
『正しく認識出来た者』、『数分も覚えていた者』はごく僅かだった。




