100『よく行くスーパーの店員に裏声で喋る方が居るのですが、不意に聞くとビックリします。』
「おっ、おはよう~↑!?」
「・・おはよう」
「違いますわっ、ゲンタ様っ!!」
「あっ、あぅあぅ・・!?
挨拶ってどうやるんじゃったかのう!?」
───・・・・。
何だったんだ・・?
ドッキリか?
源太ちゃんがドッキリを仕掛けようとして失敗した芸人みたいに、あぅあぅなって・・ザレが滑った芸人を回収しにきたスタッフみたいになっていた。
◆◆◆
「この木を北に・・その次はあの木を目指します」
「はぁ~・・安全安心行路だなあ」
「そ、そうですか?
別に大した事は有りません・・から」
ちょい照れてる。
最初会った時よか、だいぶ素を見せるようになってきたビタ。
やたら丁寧なアレは他所向けか。
【魔物の森】東側から西の際まで行く道を知らない俺達が、遠回りだけど一旦森の外に出て回りこもうか・・としていたら、ビタが
「直通ルートがあります」
と、道案内を買ってでた。
この辺は平地とはいえ、ソレは森の中。
大きな岩やソコソコの段差がある中・・比較的楽なルートばかり通れている。
勿論、ただ楽なだけの道を進むんでなく・・太陽などから、ちゃんと西際へと近づいていってるみたいだ。
「ココを抜ければ草原で───
・・・・!
皆さん、止まってください!」
「なんじゃねェ~↑?」
・・キモいよ、源太ちゃん。
なんか今朝から、狂った菩薩みたいな笑顔を浮かべてやたら挨拶してきたりする。
「源太ちゃん、どうしたの?」
「さあ・・?
・・で、ビタどうし───・・ああ・・」
「・・?
貴女も気付いたのですか?」
「あっ、僕も気付いたよー!
あの茂みのちょっと手前の地面の下でしょ?」
「す・・凄いですね、二人共・・。
植物の声も聞こえな───あ、いや・・人間なのに───あ、いや・・」
「うん、幹太姉ちゃんは凄いでしょー!」
「颯太も褒められたんだぞ?」
ビタは見る目がある!
───うんまあ、それよか・・スゲえファンタジーっぽいイベント台詞に遭遇した気分だけど・・今はアレだ。
「みんな、【ワーム】が地面の下に居る。
悪意が見えるって事は俺達に気付いているから動かないで」
「くっ・・樹木の多い場所なら木の根で絞められる───」
「この距離で大丈夫ですか、御姉様?」
「ああ」
「えっ?」
「魔力譲渡、悪意マシマシ!!
───・・。
・・ん。
さあ行こう」
「・・はい?
あっ・・ちょっ、待・・・・アレ?
【ワーム】が死んでる!!?」
以前、【ワーム】を退治した時よか魔力操作力も上がっている。
前より遥かに少ない魔力で脳のみ破壊した。
頭部も爆散してない。
「お、御姉さんは魔法使いなのですか?」
「ああ、そだよ。
ビタは・・ま、いっか。
西際へはもう直ぐかな」
「ええ、夕方前には着くでしょう」
◆◆◆
「ふぅー・・ふぅー・・」
「大丈夫ですか?」
「・・・・・・・・ぶ」
「大丈夫だって」
あー・・久々に長距離歩いた。
気持ち悪いぃ。
女生徒達に両肩を支えられ、木陰で休憩。
颯太が護衛につく。
「・・アッチですね。
【アルラウネ】が居ます」
「え、分かりますの!?」
ザレ達が不思議そうにコチラをちらりと見る。
「ん ( サムズアップ )」
「そ、そうですか・・。
フルメンバーではありませんけども、【アルラウネ】はワタクシ達で倒せますか?」
「操る植物によるんじゃないかなー?
たぶんこの辺だと僕達が戦った奴と同じだし、油断さえしなきゃ大丈夫だよ」
「あっ、ソレは大丈夫です。
植物を操る権限は私の方が上位ですから」
「???
そ、そうなのですか?」
・・ああーツッコミてぇー・・。
みんなスルーしているっつうより、意味分かんない事をゆう子供に 「はいはい」 って感じだ。
ビタはビタで、アレで隠しているつもりらしいし・・。
「でも【アルラウネ】の花は即死させないと最大限チカラを発揮しないって聞いたのだけど~?」
「あ、そっか。
前は幹太姉ちゃんがやったから・・僕に出来るのかな」
「儂も【あるらうね】は【連合】に居った頃、ヤったぞ。
即死かどうかは微妙じゃが・・300人分の切り傷を完治させよったわい。
体術で十分じゃろ・・あ、いや───
十分じゃろ↑ォ~?」
「み・・皆さん、凄いですね。
人間なのに勝つか負けるか、では無く即死かどうか、ですか」
「わ、ワタクシ達は普通の強さです!」
「カンタ先生達と一緒されちゃあ困るわあ」
・・ああー、このグタグタなドッキリにツッコミてぇー・・。




