1『(異世界への)トンネルを抜けると、女体化だった。』
オープニングと最終エピソードしかプロット出来てない見切り発車ですが、エタらないよう頑張ります。
───ブバァァ・・・ッ───
俺は大量に出血する。
くっ、目眩が・・此処までなのか───
「か、幹太兄ちゃん・・大丈夫!?」
「颯太・・兄ちゃんじゃ無い、だろ?」
「あ・・そっか、僕達が兄弟ってバレちゃ駄目なんだっけ」
一団から離れてのヒソヒソ話だから、他の皆には聞こえてないみたいだな。
俺達
秋原 幹太高一16歳と、
秋原 颯太小三9歳は、
兄弟である。
だが・・ある理由から仲間達には、兄弟という事実を隠している。
「お~い・・カンタさん、ソウタちゃん、大丈───
な、何スかこの血・・怪我したんスか!?」
「「・・・・ご、後免なさい」」
「───あ・・『呪い』ッスか。
無茶しないで下さいッスよ?
解けるまで頑張るッス!」
「蕩けるまで頑張る!!?」
───ブバァァ・・ッ───
「カンタさんっ!?」
「わあ、また鼻血鼻血!!」
「ア、アハハ・・・大丈夫だよジキア」
ほんの暫く前まで、ごくフツーの日本人だった『はず』の俺達兄弟は・・『魔物』の死骸を『魔法』での焼却を終え、旅の準備をする仲間の『傭兵団』達の下へと行く。
◆◆◆
「「せいっ、やあっ!」」
ただ静謐な空間で、響く二つの『動』。
某県某市の町外れ、役600年ぐらい前からこの辺に居を構える我が家・・『秋原家』は代々、甲冑柔術をやる家系。
その秋原家道場にて───
俺こと『秋原 幹太』も子供の頃は一生懸命やっていた・・が、今では弟の『秋原 颯太』に合わせて朝練に参加する程度。
一方、俺の隣で型を続ける颯太は・・真面目で運動神経も良く、鍛練好きなのでキチンと武術を続けている。
「───幹太、彩佳ちゃんとの時間ではないかね?」
「えっホント、父さん!?」
会社へ行く前の父さんが、つい幼馴染みとの約束の時間を越えようしていた俺に忠告してきた。
急いで ( といっても、約束の時間の10分前に着く見積りだが。) 出かける準備をしなきゃな。
「じゃあ颯太、俺はココまでだから。
無理はすんなよ、汗は小まめに拭いて、アイシングはしっかり、水分補給は定期的に───」
「うん、大丈夫だよ幹太兄ちゃん!
彩佳姉ちゃんに宜しくね」
◆◆◆
「彩佳、待ったか?」
「ううん、今来たトコよ」
幼馴染み ( 彼女では・・無い。) の『海野 彩佳』と、今日発売の漫画を求めて本屋へ。
本格的な武術からは離れたものの・・元々は颯太の為の研究に、いろんな本を呼んでいたんだけど───
颯太自身が大概のことを吸収し終えて必要なくなる頃には・・『コッチ』の人になったって感じ、だな。
「はあ~、やっぱりブラコンねえ。
アンタ達」
「だからブラコンじゃないって。
兄弟なんだから一緒に風呂ぐらい入るだろ?」
「・・普通はその歳頃だと ( 性的イタズラ目的みたいだから ) 一緒に入らないからね?」
「え? 一緒の布団で寝たりも?」
「・・・・・・。
取りあえずそうゆう台詞を真顔で口走っちゃう所かしら」
大袈裟だなあ。
こんなんでブラコンなら、この世の兄弟全員ブラコンだって。
「あ、そうだ。
ついでに図書館も良いかしら?
新刊は異世界召喚モノにしようと思ってて、その資料をね」
「ああ、いいぞ」
てな訳で図書館へ。
図書館で目的の本を借り・・ようとして、彩佳に電話。
彩佳の同人仲間からで、ナニやらトラブルが有ったらしい。
「俺が借本手続きをして預かっとくよ」
「えっ、ホント!?
ゴメーン、助かるわっ!」
図書館受付で彩佳と別れ、漫画と・・デカイ辞典10冊、汗だくになりながら我が家へ。
コレでウチに彩佳が来てくれる───なんて下心は欠片も無い。
無いったら、無い。
「幹太兄ちゃん、今帰り?」
「そ、颯太・・すまん!
一冊でイイから持ってくれェ・・!」
吐きそうになる直前・・走り込み途中の颯太と会い、救助を乞う。
ウチに帰る頃には半分を持ってもらった。
うぅ・・我ながら情けないなあ。
「ゼェ・・ハァ・・・」
「彩佳姉ちゃんの本でしょ。
幹太兄ちゃんの部屋に置いてく?」
「ゼェ・・ハァ・・・」
声も出せず、道場を指差す。
俺の部屋より道場の方が近いし・・俺の部屋に置いてたら、その・・下心が有るみたいじゃん?
「・・フゥ・・・」
だいぶ息が整ってきたんで、上着を脱いで下着姿になる。
運動してるんで、脱臭吸汗衣擦れ無しの結構お高い下着を・・あ?
男の下着に興味無い?
あ、そう。
颯太は道場の隅に本を置いた後、胴着に着替えて籠手と具足に見立てた鉛入りサポーターを着けストレッチと型を始める。
・・化物か。
俺も高校のクラスメイト達の中だと、体力上位なんだけどなあ。
「颯太、有難う。
助かった」
「うん」
「『多重宇宙論』・・『黒魔術の歴史』・・『宇宙は生物』・・・ねえ?」
漫画を含め、適当な本を手に取り広げ読み、また別の本を取り読み広げる。
よく解らんのと、疲れてんのとで・・知らぬ間に全部の本を適当なページを開いたまま、俺の周囲円形状に列べていた。
「・・えっ!?
か、幹太兄ちゃん!?」
「んあ~?」
「ひ、光ってる!
本と・・幹太兄ちゃんが光ってる!?」
「んあ~?」
光が視界を埋め尽くし───最後に見えた景色は、俺目掛け走って走ってくる颯太だった・・。
◆◆◆
「───う"・・うう"ん・・・?」
・・んん?
寝てたのか、俺?
何処で何してたっけ?
今は原っぱで寝てたみたいだけど・・あー頭痛てー。
自然公園?
キャンプ場?
近所にこんな所あったっけ。
・・って、颯太が倒れている!?
「あ"あ"っ!?
そ、颯太"ぁ"・・大丈夫か"あ"っ!?」
クソッ、頭が痛ってえ!
目が回る!
吐き気までしてきた・・!
「そ"、颯太ぁ"!」
「・・ううん」
良かった、息はしている。
怪我も・・掠り傷以外、無さそうだ。
「た"いっ"、し"ょうふ"・・か!?」
「・・・う・・ううん・・・?
───んぅ?
・・御姉ちゃん、誰?」
「・・・・・・・・・・は??」