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伯爵令嬢は精霊の加護を受けることができるか?  作者: 江川 凛
第1章 出会い
9/41

マナ

 目が覚めると、今度こそだいぶすっきりしておりました。

 たぶん、もう痛い思いをしなくてよいという思いが強かったのではないでしょうか。


 ただ、いまだに歩くと足がふらふらします。

 仕方がないので、今日の朝食もベットでスープだけとなりました。

 

 スープを飲み終わってベットに横になっていると、ハルが「では、そろそろ魔法の練習を始めようか?」と言ってきます。

 昨日の感動をもう一度体験できると思うとうれしくてたまりません。


 昨日と同じように横になったまま、手を上にあげて、空をつかむと何か丸いものが体の中に入ってくることがわかります。

 昨日は身体の右半分しか移動させることができなかったので、今日は右手から、左足まで運んでみます。


 昨日は右上から右下だったので、それほど難しくなったのですが、右手から左足となると、距離も伸びれば、角度も変えなくてはならないので、かなり大変です。

 途中で、集中力が途切れてマナが消えてなくなってしまいました。


 ハルはそれを見て、顔をしかめます。

 だが、私が不思議だったのは、私が失敗したことを何故ハルが気がついたのかということです。


 「もしかして、ハルにはマナが見ている?」思わず、口をついてしまいました。

 

 「もちろん!」

 「慣れてくれば、君にも見えるし、見えてくれないと困るよ。」

 「マナを今度は足ではなくて、目の周りの持ってきてごらん。」


 私はもう一度空をつかむと、今度は頭のほうに運んできました。

 左足に比べれば、距離が短いので、簡単です。

 目の周りにマナを集中させます。


 その瞬間、世界が全く違って見えました。

 いろいろな色のついた塊が目の前にたくさん見えたのです。


 『世界はマナにあふれている。』

 「以前君と同じように初めてマナを見た人がいった科白だよ。」


 普段だったら、なんてキザな科白と思うところですが、初めて見たこの景色に感動していた私は、本当にそうだと思ってしまいました。

 マナはこんなに自分たちの周りにあったのです。


 マナは形も不規則にいろいろ変化していきます。

 なおかつ、きれいなマナがいろいろな色で飛び交っている様は、いつまで見ていても飽きません。


 そんな私を見てハルが「気が付かないということは、存在しないと同じことだよ、わかるかい?」と言ってきました。

 何を言っているのか、いまいちよくわからないという顔をしていると、「今の君にはまだ難しかったかもしれないね。でも大事なことだからしっかり覚えておくとよいよ。」と言われてしまいました。


 いつまでも見とれているわけにもいかないので、体の中でマナを循環される練習の再開です。

 今度はただ宙をつかむだけではありません。

 自分でマナをしっかりつかんでいることを認識できました。


 これを移動させるわけですが、これも目で見えるとなると、だいぶ違います。

 すごいことに、体の中でもマナを見ることができたのです。

 感覚だけですと、今マナがどこまで行っているのか、不安になりますが、目で見ることができれば、具体的に今身体のどこまでいっているかわかります。


 そうなると、集中もしやすくなります。

 結果、今回は見事に左足まで運ぶことができました。


 するとマナが見えなくなってしまいました。

 どうやら、目の周りに集めたマナの効果が切れたようです。

 ただ、一回コツをつかめば後は何とかなります。


 自分が何をしているかわかるということはとても大事です。

 モチベーションが全く異なります。(痛いだけなどというのは最悪です。)

 それだけでなく、今自分がしていることが貴族として将来絶対求められる魔法に直結していることも実感できるので、がぜんやる気も出てきます。


 私は、時が経つのも忘れて、片っ端からマナを取り込んでは、鑑賞したり、体中を巡らせて遊んでおりました。

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