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伯爵令嬢は精霊の加護を受けることができるか?  作者: 江川 凛
第1章 出会い
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魔法

 午後は家庭教師が来るので、運動はありません。

 今日は算数の勉強の時間です。

 正直あまり得意というわけではありませんが、運動よりは何倍もマシです。


 家庭教師の先生が帰った後、庭にでるとハルが待っていました。

 これは「食事までの時間、花壇のまわりを散歩しろ。」ということなのでしょう。

 筋肉痛は今日も続いておりましたが、朝に比べればどうということはありません。


 足に魔法をかけてもらって、5周ほどしたところで、メイドが「食事です。」と呼びに来てくれました。

 食事の量は明らかに今までより少なくなっております。

 正直、まだまだ食べることができるのですが、あれだけ大見えをきった手前、何も言うことはありません。


 食事の後はさすがに暗くなっているので、散歩はありません。

 部屋に戻って、ハルからいろいろな話を聞きます。


 流石に精霊は長生きしているだけあって、いろいろなことを知っております。

 ただ、どうもあまり長く生き過ぎているようなところもあり、私たちとは多少価値観が異なるようです。

 そう思ったのは、私が何気なく聞いた会話から思ったことでした。


 「可能性として、お父様やお兄様がルクセンブルグ公爵家に敗れる未来もあると言っていたけど。そうなると我が家はどうなるの?」

 「グーテンベルグ伯爵家が取り潰しになるだけだよ。」と簡単に言ってきます。


 「伯爵家が取り潰されることなどあるの?」と私が聞くと、「長い歴史の中ではそう珍しいことでもないよ。」とこれまた簡単に答えてくれます。


 どうやら4~500年は生きるといわれている精霊様にしてみれば、本当に珍しいことでも何でもないことのようです。


 翌日の午前中、私が散歩をしていると、足の裏が急に痛くて仕方なくなりました。

 疲れたとは違う本当の痛みで、ハルを呼んでみてもらいました。

 すると「豆だね。」と、事もなげに言ってきます。

 

 「痛いかい?」と簡単に聞いてくるので、「痛くて仕方がない。」と答えました。

 すると「これでは確かに歩くのは無理かもしれない。」と言ってきます。

 「もう歩かなくても良い。」という安堵感に続いて、「このまま見限られてしまうのではないか。」という不安感に襲われていました。


 そんな私の様子を見てとったのか、ハルは「他にもやるべきことは、たくさんあるから大丈夫。」と言ってくれました。


 そして、いきなり「どうして君が学校でいじめられるようになったかというと、動きが鈍かったというのもあるけど、君が殆ど魔法を使えなかったというのもあるんだよ。」と言ってきました。


 貴族と平民をわける最大の特徴は魔法です。

 だからこそ、貴族は子女が12歳になれば、魔法学園に入学させ、そこで魔法を学ばせるわけです。

 「それが伯爵令嬢である私ができない。」私はその言葉を聞いて、またしてもショックを受けてしまいました。


 そんな私を特に気にせずに、ハルは「魔法はどう発動するかわかるかい?」と聞いてきます。

 魔法は基本入学まで勉強してはいけないことになっていますが、予習としてお金に余裕のある貴族は10歳前後から家庭教師をつけて、学ばせます。


 しかし、私はまだ8歳なので、そうしたことを学んだことはありません。

 そう正直に言うと、ハルは「マナとか魔素とか呼ばれるものは血管を通って体中を巡るわけだけど、太っている人の血管にはいろいろ障害物があって、マナが詰まりやすいんだよ。」と教えてくれました。


 「だったら先に痩せないと・・・」と思っていると、ハルが「まだ君は小さいから、障害物もそう多くない。いまからマナを大量に送りこんでその障害物を除去する。」といいます。


 いざ、これからという時に、「ただし少し痛いけどね。」と言ってきました。「今更どうしようもありません。」

 その途端、いきなり大量のマナが右足を流れているのがわかりました。

 最初はそうでもなかったのですが、急に痛くて仕方がなくなりました。


 どうやら、ハルが注ぎ込んだマナが私の血管のつまりを取り除いてくれているらしいというのは理解できましたが、取り除くというより、汚れを削りとっているような感じで、右足のかなり深い部分が痛くて仕方がありません。


 時間的にはそれほどでもなかったのでしょうが、あまりの痛さにかなり長い時間が経ったような気がしました。


 私が涙目になって痛む右足をさすっていると、ハルは「次は左足だよ。」と言ってきました。

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