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伯爵令嬢は精霊の加護を受けることができるか?  作者: 江川 凛
第2章 準備
39/41

狼狽

 「可愛い。」という言葉は私が以前ぽっちゃりしていたときに、何度か家族から聞いたことがあります。そして、その時は、うれしいという感情しかわかなかったのですが、今回は恥ずかしいというか、困惑している感じです。


 本当にラインハルト様はいつも、いきなりで全く予想のできないことをなさいます。


 私が顔を真っ赤して何も話せないでいると、「友達になることを了承してくれて嬉しい。ところで花はどうなっている。」と必死になって話題を変えてきました。


 しかし、大分うろたえていることは明らかです。

 あれから1週間で花がどうにかなるとでも思っているのでしょうか。ただ、そんなことを思っていると私もだいぶ落ち着いてきました。


 「すいません。まだ芽がでたばかりで、とてもお見せできるものはありません。」と少し余裕をもって答えることができました。


 すると、ラインハルト様は「そ、そうか・・・。そうだよな。」とおっしゃたきり、横を向いてしまいました。

 私は次に何と言って良いかわからなくなりました。なんとも気まずい雰囲気が流れます。


 私が「あ、あのー。」と声をかけると、ラインハルト様も何か言いかけたようで殆ど同時に「あ、あのー。」と声が聞こえてきます。

 私はびくっとして、言いかけた言葉を引っ込めてしまいました。


 ただ、それはラインハルト様も同じだったようで、何かを言いかけてやめてしまいました。

 顔を上げるの恥ずかしいので、下を向いてしまいました。またしても気まずい感じです。 

 しかし、こんなことをしていても仕方がないので、顔を上げると、ちょうどラインハルト様も上を向いたところだったようで、変な感じに目が合ってしまいました。


 おかげで、また下を向くはめになってしまいました。

 「もじもじ」というは本当にこういうことを言うのかという感じで、自分の手をひっきりなしに触ったり、ドレスを指でこすったりしております。


 「こんなことをしていても仕方がない。」と思っていると、「何を言おうとしたの?」と聞かれてしまいました。

 私も同じことを聞きたかったのですが、先に聞かれたのではどうしようもありません。思っていた疑問を聞いてみることにしました。


 「今日の突然の訪問もそうですが、どうして私なぞにそこまで関心をもっていただけるのでしょうか?」

以前の私だったら、伯爵家だから当然位に思っていてでしょうが、今では伯爵はしょせん貴族の中では並みということは嫌というほど自覚しております。

 だからこそ、その並みのなかから何故私がというのが不思議だったのです。


 ラインハルト様は、すこし考えてから、話し始められました。


 「最初はカノンの目を治したのが誰かということから始まった。彼女の目が治ったということはそれなりに話題になっていたのだよ。やはり侯爵家のご令嬢ともなれば、どこに嫁に行くという話は皆の関心事だ。」


 「当初目が見えないということで、高級貴族の間では敬遠されていた。だから、普段なら見向きもされないものたちから、持参金目当てにいろいろ画策する者まででる始末だった。それが、そうした状況が一変してしまったのだから。話題になって当然だよね。」


 「それで皆、侯爵家にどうして治ったのかいろいろ訊ねたが、どうも要領を得ない。肝心なことになると頑として口を割らない。そうなるとさすがは侯爵家だから、他の貴族はあきらめるしかない。それに、大事なのは目が治ったということであって誰が治したということではない。」


 「皆の追及はそこで終わるが、僕の関心はやはりあの目がどうして治ったかだった。カノンは小さいころから知っており、僕の知り合いの高名な医者も匙を投げたほどだからね。」


 「そこでいろいろ調べると、君の存在が浮かんできた。そして、会ってみたらどうも僕の知っている貴族の子とはちょっと違う。侯爵家で会った時のやり取りも面白かったし、それに君が、光のマナを補充していたのを見つけた。それで確信した。」


 カノン様の目を治すために光のマナを使っておりましたが、やはり集めるのは結構大変なので、時間があれば、集めるようにしていたのですが、それを見られてしまっていたようです。


 「訪問してみると自分で花の世話をしているという。更には、『今日はどういったご用件で?』ときた。正直僕は『よくいらしゃいました。』しか聞いたことがないんだよ。」


 「だから少しからかってみようと思ったんだが、僕まで恥ずかしくなってしまって・・・。」

 「いや、僕は何を言っているんだ。からかったわけじゃなくて、君のことを『かわいい』と思っているのは本当だから、変に誤解しないでくれ・・・。」


 さっきまでの雄弁が嘘のように、急にまた顔を赤くされてしまいました。

 しかし、ラインハルト様はまちがいなく本当のことを話してくださったと感じることができたので、顔はまだ火照ったままでしたが、「はい。大丈夫です。ありがとうございます。」と今度はしっかり返事をすることができました。

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