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伯爵令嬢は精霊の加護を受けることができるか?  作者: 江川 凛
第2章 準備
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願い

 サリーは当然ですが、マナを見て驚いておりました。

 そして私が「今あなたが見ているものがマナ。これが見えるということは魔法が使えるいうことです。」というと本当に心の底からびっくりしているようでした。


 サリーはおそらく私以上に、獣人は魔法が使えないものだという思い込みが強かったのでしょう。

 また、獣人は、魔法が使えないから、人間より一段下だと思いこまされてきたわけですから、魔法に対していろいろ複雑な思い入れもあるのでしょう。


 そんなことを思うと、私はもしかして私の都合だけでサリーで魔法を使えるようにしてしまったのではないかと不安になりました。

 

 「サリー。魔法を勝手に使えるようにしてしまったけれども、怒っていない?」


 私はおそるおそる聞いてみました。

 正直、サリーがこんなに簡単に魔法を使えるようになるとは思っておらず、単なる思い付きが、予想以上にうまくいってこわくなってしまったというのもあったのかと思います。


 サリーは「とんでもございません。憧れの魔法が使えるようなって本当に感謝しております。」と満面の笑みを浮かべて言ってくれました。


 それを見て安堵の息をこっそりついたのは内緒です。

 

 次の日、私はお父様とお母様を前にお願いをしておりました。

 護身術を学びたかったのです。

 理由は言うまでもありません。ハルが見せてくれた未来で私がいじめられている姿があまりにも強烈だったからです。


 ただ、さすがにこれには二人とも良い顔をしませんでした。

 理由はわかりきっております。貴族の子女ともあろうものが護身術などは何事かというわけです。


 貴族でも男子であれば騎士として国を守るために武芸を磨く必要があるでしょう。

 ところが、女子の仕事は家を守ることであり、そこに護身術などが出てくる場面はありません。

 しかし、魔法学園で私は実際に殴られていたのです。何としてもそれに対処したいというのが私の切実な願いでした。


 おそらくハルが見せてくれた未来視のことなどを話せばまたお二人の対応を変わったのでしょう。

 しかし、私はお二人に心配をかけたくありませんでした。

 いや、正直に言いましょう。私が誰かにいじめられて自殺するなどという情けない者であることをお二人に知られたくなかったなかったのです。


 お父様がやさしく問いかけます。

 「どうしても理由は話したくないのかい?」


 それに対して私は「はい。」と答えるのが精いっぱいでした。

 「ただ、どうしても必要なことなのです。だからお願いします。護身術を習わせてください。」

 「相手を攻撃したいとは思いません。ただ相手が攻撃してきたときに、それを避ける技術を身に着けたいだけなのです。」


 「だからその理由をいってくれないか。ミシェル。」


 同じことが何度繰り返したかわかりません。

 ただ、私はさっき言ったようなことを考えていたので、どうしてもその理由だけは話したくなかったのです。


 ただ、悪いことをしているつもりはなかったので、お父様の目を正面から見据えてお願いすることだけはできました。


 すると、お父様は「仕方がない。きっと何かあるのだろうが、以前言った様に、私はいつもミシェルの味方だよ。ただ、ミシェルが自分で言った通り、間違っても自分から攻撃してはいけないよ。」と言ってくださり、護身術を学ぶことを許してくださいました。


 お母様はまだ不満げでしたが、お父様が許可をだされた以上、どうこうおっしゃるつもりはないようです。


 「ミシェルがそこまで護身術と習いたいという以上、おそらくそれが必要になる事態があるということなのだろう。できればおまえが危険な目にあうのは避けてもらいたいが、どうしても避けられないのであれば、それを予防するのも必要だと思う。」

 

 礼を言って部屋を出ようとしたときに、お父様がそうおっしゃたときは、すべておそらくすべてわかったうえで、許可をしてくださったのだと感謝しました。


 見るとお母様も頷いております。本当にありがたいことです。


 そして、サリーも一緒に習うように言ってきました。

 できるだけ私の安全を考えてのことだと思います。本当に心から感謝申し上げました。


 すると、それだけでなく、「魔法も習ってみないか。」と言ってくださいました。

 「喜んで。」と答えると、「普通もう少ししてから習うのだが、護身術の話を聞いて、いろいろ思うところがあった。できる限りの準備は私もしておきたい。」ともおっしゃて下さいました。


 そこで私がすかさず、「サリーも一緒に。」というと、「獣人には無理だよ。」と言われたので、サリーは既に魔法を使えるようになっていることをお話申し上げました。


 すると、何か言いたそうな感じでしたが、特に何もおっしゃらず、「わかった。一緒に頑張って学ぶように」とだけ言ってくださいました。

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