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伯爵令嬢は精霊の加護を受けることができるか?  作者: 江川 凛
第2章 準備
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尻尾

 それからというもの、サリーは毎日金木犀のポプリを身に着けておりました。

 お母様のおっしゃたとおり、既に、この匂いがするとサリーがいると感じになってきております。


 サリーは確かに、奴隷商人のいうとおり、それなりに良いところの出身だった様で、小さい頃から教育を受けていたので、読み書きは全く問題ありませんでした。

 それに獣人ですので、体力は私とは全く比べものにならないくらい優れております。


 ただ、確かに魔法は全く使えないようでした。

 というか、獣人とはそういうものだと皆思い込んでいるようで、私も家庭教師の先生からそう習っておりました。


 しかし、実際にサリーを見てみると、猫耳と尻尾がついているだけで、特に私と変わった様子はなく、これで魔法が使えないのが不思議な感じがしました。

 そこで、マナを目に集めてサリーの体の中のマナの動きを見てみました。

 どうやら上半身はそれなりに動いているようです。


 ただ、身体全体となると確かに上半身と下半身がどうも断絶されているような感じがします。

 注意してみていると、どうやら尻尾のところで流れが邪魔されているようです。

 いろいろ観察してみましたが、特に座ったときは尻尾で圧迫されるのか、殆どといってよい程、マナが流れなくなっておりました。


 どうやら、獣人はあの尻尾が体を圧迫している結果、マナがうまく流れないから魔法が使えないではないか?そんなことを考えました。

 だったら、私がハルにやってもらったのと同じことをすれば良いのではないか、ふとそんなことが脳裏をかすめます


 何にしろ、サリーは、できれば魔法学園には連れていきたいと思っています。

 しかし、魔法学園で魔法が使えなければ、何を言われるかわからない。だったら試してみる価値はあるのではないかと考えました。


 さっそくサリーをベットに寝かせて「実験」の開始です。

 マナを取り込むのはもうだいぶ慣れました。

 青い色のマナを重点的に取り込みます。


 ハルは意地悪をして私にヒールを使ってくれませんでしたが、私はそんなことはしません。

 というか、水属性のマナだけを最初から集めて、それを尻尾周辺に大量に流し込む、いわば身体の中にヒールをそのまま流しこむ感じで、注入してあげるつもりです。


 サリーはこれから何が始まるのかわからず、かなり緊張しているようです。

 正直私も初めてなので、かなり緊張しておりますが、そこは貴族ですから、そんなことは臆面にもだしません。

 もしかすると、少しは出ていたかもしれませんが、出しておりません。


 最初は正直どの程度のマナを注入したら良いのかわからず、少しずつおっかなびっくりだったのですが、あまり効果がないようだったので、途中から、思いっきり注入したら急にストンと通りました。


 あっけなくてこっちほうがびっくりする位でした。

 そこで、サリーの体質がそうだったのかとか、痩せていて余計な老廃物がたまっていなかったからなのかとか、まだ子供なので尻尾で圧迫されるのが軽かったのかとかいろいろ考えましたが、当然正解はわかりません。


 ま、何にしろマナが全身を回るようになったので、これで魔法が使えるはずです。


 「サリー、さっき身体中を回った物質をもう一度意識しながら、手を前に出して、それを捕まえようと思ってみて。」


 サリーは私の指示を受けて、そのとおり、手を前に出します。

 手を握ると確かにマナが手に吸い込まれ行くのがわかります。


 「それを、そのまま身体の中に入れるようにイメージして。」というと、本当にきれいに循環していくのが見えました。


 一回でここまでできるなんてびっくりです。

 

 「今のを目の周りに持ってきて。」そういうと、本当にきれいに目の周りにマナを集中されることができていました。


 すると、「え。」という声が聞こえ、サリーが絶句しているのがわかります。

 私もそうでしたが、あの光景は初めてみるときっとかなり感動するはずです。

 世界中に、こんなにマナがたくさんあるなんて、今まで知らなかった世界を見ることができて本当にびっくりしていることでしょう。

 

 それをみて私はハルに教えてもらったキザな科白を少し変えて「世界はマナであふれているのよ。新しい世界へようこそ。」とサリーに微笑みながら話かけておりました。

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