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伯爵令嬢は精霊の加護を受けることができるか?  作者: 江川 凛
第1章 出会い
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 アーノルド先生のおかげで、なんとなくわかったような気がしますが、かといって具体的に何をすれば良いかといわれるとさっぱりわかりません。

 貴族としての矜持というのなら、グーテンベルグ伯爵家らしさをだしながらということになるのでしょうが、何がグーテンベルグ伯爵家らしいのかというとさっぱりです。


 子女のたしなみとして、刺繍などは習っておりますが、お母様の足元にも及びません。

 楽器もある程度できるというだけで、とても人前で披露できるものではありません。

 とりあえず、自分のできそうなことを挙げてみましたが、それ以前に、刺繍も楽器も貴族としてどうかと言われると、専門の方がおられるわけで、貴族だからどうこうというものでもありません。


 「ほかに何ができる?」必死になって考えたときに、急にハルが「魔法を使って」といったのを思いだしました。


 しかし、相変わらず何をしたらよいかは全くわかりません。

 マナはきれいですが、見えない人には見えないものなので、どうしようもありません。


 そもそも魔法をどう使えばよいのかもわかりません。

 火を出してみせる、水を出してみせる。そんなものはただの魔法自慢です。

 

 確かに貴族の望ましい条件の一つとして、魔法が使えることというのがありますが、それは絶対ではありません。

 貴族は、魔法が使える可能性の高い貴族どうしが結婚することが多いので、結果として、魔法を使える人が多いというだけです。


 ただ、どうしても、生まれつきの要素が強いため、中には両親は素晴らしい魔法の才能を持っていたのに、その子はという方もおられます。

 結果、魔法は今一という方もおられるわけで、そうした人の前で魔法を使用して彼女達は気持ちよくなってくれるでしょうか、絶対にそんなことはないでしょう。


 では、どうしたら良いか考えてもさっぱりわかりません。

 その時、ふと花壇に目がいきます。

 まだかろうじて花を咲かせていますが、もうすぐ散ってしまいそうな花々。


 ハルと出会ったのもこの花壇ですが、今となっては、あまり思い出したくもありません。 

 お母様に聞いた話では、お母様がお嫁に来られた時、おばあ様から「これからはあなたが管理するのですよ。」と託されたそうです。

 

 ふと、その話を思いだして、やはりグーテンベルグ伯爵家の伝統、矜持といえば、花壇、花だと改めて思いました。

 しかし、それが枯れようとしている。

 どうするか・・・?


 その時、ふと、もしかしたら、これを魔法で何とかしろということなのではないかと思い当たりました。

 できることは限られています。

 火、水、風、土、光しかないわけですが、今回、風と土はまず必要ないでしょう。


 ヒールのことが頭をよぎったので、水はどうかと思いましたが、花は病気になったわけではないので、これも関係ないでしょう。


 寒いので、火かと思って赤いマナを花に注入してみましたが、花の中の水分が蒸発しているような感じです。

 慌てて、青いマナを注入して事なきを得ます。


 残ったのは光しかありません。黄色いマナを注入していくと、しおれかけていた花が明らかに蘇ってきました。

 茎もまっすぐになりましたし、花も最盛期とまではいきませんが、かなり綺麗に咲き誇っています。


 私はうれしくなって、隣にあった花にも黄色いマナを注入してみました。

 ただ、黄色いマナは集めるのに時間がかかるので、それほど沢山はできません。

 

 とりあえず、5本にマナを注入しましたが、この5本だけが見違えるほど生き生きしているのは一目瞭然です。

 結果として花壇をいじってしまったわけですが、これはお母様の花壇なのだから、お母様に御報告しなくてはならないと、今更ながらやっと気が付きました。


 それにしても私が魔法を使えるようになったことをお母様はご存知ありません。

 しかし、ここで悩んでいても仕方がありません。

 特にハルも口止めをしていなかったので、私はお母様の部屋に行き、精霊の加護について話をすることにしました。

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