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魔法学園の休日

作者: 神崎千城

 大陸から海を挟んだ小さな島。そこには小規模な魔法都市が存在した。

 一人の少女が廊下を歩いている。名をエレイン、この魔法学園に通う魔術師の一人だ。

 今日は休校日ではあるのだが、自主学習をする生徒のために学園は解放されている。

 エレインもまた、学びのためにここにいる。彼女は学園付属の図書館へ行くべくして歩み続けている。

 暫くしてエレインは図書館前に到着した。エレインが閉じた扉に向かって名にかを唱える。すると誰の力を受けることなく扉が開く。いや、正確には誰の力も受けていないように見えるだけだ。実際には、言葉に込められた魔力を受けて動作している。

 「失礼します」

 小声で挨拶をしたエレインは、直ぐに奥の本棚へと向かい歩み出す。

 暫くして本棚から一冊の魔術書を抜き取り、近くのテーブルで読み始める。

 魔術書は本来エレインが読めない文字で書かれているが、翻訳の魔術により目で見た文字は全て彼女が理解できる言語に脳で変化されいる。

 数時間の後にエレインは図書館を退室し、魔術書を抱くように持ち学園の外に建てられた学生寮へ向かった。


 学生寮二階にある自室の前へと辿り着いたエレインは、迷い無く目の前の扉に一節の言葉を唱える。すると。先ほど図書館と開いたのとおなじように扉が開かれる。

「面倒くさいなぁ……この仕掛け」

 そんな愚痴を吐きながら、エレインは部屋の中へと入った。中は二人部屋となっており、エレインの他にもう一人の少女が生活している。

 部屋には軽快な音楽がかかっている。音楽は人の心を繋ぐモノ、それが彼女らの共通見解でもあった。

「エレイン、おかえりなさい。遅かったね」

「ちょっと読むのに熱中しちゃって…………」

 エレインのルームメイトであり、数少ない友人である彼女、神崎千城。学園唯一の日本人である。

「勉強ばっかりもいいけど、たまにはゲームしない?」

 千城がエレインに提案する。まぁ、本人的には自分がやりたいだけなのだろうが。

「ゲームか………やってみようかな」

 エレインがそう返すと千城がどこからか箱に入ったゲームソフト(初回限定版総重量5kg)を持ってきた。


 ーーーー十数年前、突如として空が闇に包まれた。それ以来、昼夜の境はなくなり人々からは活気が消えた。人々の活気が消えることと時を同じくして、モンスターと呼ばれる人ならざる存在が活発に行動するようになった。モンスターによる行動は、野外に限るものでは無い。それらは村を町を城を襲いだした。まるで、何者かに命じられたかのように。モンスターによる攻撃から身を守るために、壁で村や町、城を外界と隔離した。だが、それにも限界がある。度重なるモンスターの攻撃により各地で壁が壊されていく。----


「結構、面白いかも………」

 起動させたゲームはよくあるRPG物でほとんどテンプレのようなものであったが、エレインはゲームのようなものは初めてするために、案外楽しんでいる様子だった。


 ----「皆さん、おはようございます」入室から数秒で教壇に立ち挨拶をし終えた彼女は、このクラスの担任教師だ。「今日から、このクラスに転校生が来ます」彼女が告げた瞬間、あちこちで騒ぎ出す。「皆さん、お静かに。黒姫さん、入ってきなさい」生徒達を窘め、教室の外にいる少女、黒姫と呼ばれた転校生へと声をかける。

 すると、すぐに扉が開かれる。少女は無言で教室へ入り、目の前の生徒達に一礼すると「黒姫冷亜。……よろしく頼む」それだけ言い、指定された席へと向かった。----


 次にプレイしたのは学校に転校してきた主人公が恋愛する所謂ギャルゲー………ではなく、主人公も攻略ヒロインも女子という要するに百合ゲーだった。

 これにエレインは困惑しているようで、先程から「何故、どうして」を繰り返している。


「楽しかった〜」

 初めてのゲームプレイを体験したエレインだったが、予想外に彼女は楽しんでいた。提案をした千城として満足のいく結果となったようだ。

「千城〜あれなんだっけ?」

「あれって?」

 ゲームを終えたエレインが、突然話題を変える。

「ほら、自分で研究して、レポートにまとめるみたいな…………」

「あぁ、自由研究のこと?」

「そう、それ!」

 以前に千城が日本にいた頃の話をエレインにした時に話した中の一つにそんな話があったのだ。だが、何故今になってそんな話をしたのか千城は疑問に思う。

「なんで今そんな話を?」

 千城が問うと、エレインは目を輝かせて言う。

「私達で、今度やってみない?」

「いいよ〜」

「じゃあ、また今度詳しく話そうか」


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