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006 1-06 SR Shot&slash,Run away&go away. 02

前回、次回更新について何も言ってなかったことを激しく後悔。それはさておき。今回は歩について色々書いてます。説明文っぽいかもしれません。

 首筋から脊椎にそって埋め込まれている鋼化神経ハードワイヤードを起動、反射速度を上昇させる。

 と同時に両手両足の義肢を通常モードから戦闘モードへ移行。


 歩は自分の身体が戦闘用に換わっていくのを感じ、我知らず口元に笑みが浮かぶ。

 幼少の頃、兄弟をバラバラに引き裂いた事故により、歩は身体の半分以上の義体化を余儀なくされた。

 さらにD地区で生き残るため通常の義体ではなく、戦闘用の義体化にまで手を出し、挙げ句、健康な箇所さえ切り取っていた。

 両目・両耳がまさにそれで、耳は数百メートル離れた音や、可聴域を超えた音を聞き分け、目は紫外線、赤外線その他各種熱線を知覚し、さらにスマートリンク対応している。

 スマートリンクとは、同じくスマートガン・システム対応の銃器とこの義眼がネットワークを通じて繋がっていて、銃口を向けた場所が照準として視界の中に表示される技術のことである。

 そしてそのスマートガン・システム対応の拳銃『紅風・改』を両手に握る。


 戦闘準備は整った。


 今述べた歩の義体の内容は、ここ日本ではほとんどが違法で二桁以上の刑が確定することを忘れずに明記しておく。


 二人して非常灯が点滅する廊下を走る。先程のように静かに走る必要はない。多少喧しくても今はスピードが肝心だ。

 故に二人は尋常ならざるスピードで走る。


 ちなみに、歩より進のほうが若干速い。

 単純に直線ならば歩のほうが速いが、建物内のように入り組んだ場所は進に分がある。


 右に曲がり、左に曲がり、非常用階段を駆け降り、直線を走り抜ける所で、駆に通信を入れる。

 「ねぇ駆、そっちの状況は?」

 歩の問い掛けに対する駆の返答は、

 『あまり良くない。』

だった。

 『向こうの通信システムは完全に取り返された。一応ドローン制御用サーバーに仕掛けしておいたから時間は稼げると思う。』

 駆は駆で、警備システムの奪い合いをネットワーク上でやっているようだ。


 警備員側のほうが人手や設備に分がある。さしもの駆も苦戦は免れない。

 「仕掛け?」

 進はどうやらその言葉に一抹の不安を感じたらしく、露骨に嫌な顔をした。

 と、眼前に先程まで職務放棄した警備用ドローンの集団が姿を見せ、

 『うん。標的を無差別に設定したから。』

内蔵してある機関銃を構え、


 《サァァァァチ・アンド・デストロォォォォォイッッッ!!》


合成音にしてはやけに抑揚のある声を上げながら一斉に掃射を浴びせてきた。

 ――否、正確には浴びせようとした。


 「遅い。」


 機関銃による掃射が始まる直前、確かに歩はそう言った。

 ドローンの銃撃より、鋼化神経で加速された歩の『紅風・改』の射撃の方が速い。

 進は素早く下がって歩の射線を確保。

 視界の中で踊る二つの照準がドローンと重なった瞬間、歩は引き金を引く。

 ――ダダダダダッッ……!! 

 フルオート射撃と見間違える程の連射はドローンをスクラップにするのに十分な威力であった。

 だが全てのドローンを破壊するには至らず、無事だった二体が今度こそ銃撃を浴びせた。

 「くっ……!」

 咄嗟の判断で、歩は身を屈めつつ両手をクロスさせ頭部と胴体をガード。

 進はドローンの照準が歩に向いていると判断、その照準が自分に向く前に、壁面に跳躍しそのまま疾走、高速で過ぎていく銃弾を感じつつ、ドローンと肉薄する。

 「あらよっと!」

 掛け声とともにナイフの柄にあるスイッチを押して高周波を発生させ、ドローンたちを斬り払う。

 まるで紙を斬っているかのような気軽さで、ドローンたちを、やはりスクラップにした。

 足元に転がる残骸を小突きながら進はナイフのスイッチを切って後ろ腰にある鞘に収める。

 「うう、痛い……。」

 そう呻きながら歩は進に駆け寄った。

 「この服、結構気に入ってたのになぁ。」

 見れば歩の服は先程の銃撃でかなりボロボロになっていた。防弾効果が無いので当然といえば当然である。

 しかし歩が受けた被害は概ねそんな所である。

 身体は皮膚装甲で守られ、完全に無傷であった。


 「乙女の柔肌になんてことしてくれるのよ、このガラクタ。」

 (22世紀の乙女の柔肌は銃弾を弾くのか。)


 ドローンの残骸を蹴り飛ばす歩を見て、ふと進の脳裏にそんな言葉がよぎった。

 ――きっと駆も同じ思いだろう。

 「いま失礼なこと考えなかった、進?あと駆も。」

 「さて先を急ごうか。駆この先にあるエレベーターに乗り込めばいいんだよな。」

 『うん乗り込んで5階に降りたらオッケーだよ。それじゃあ迎えの準備をしておくね。』

 早口にそうまくし立てると進は、足早にエレベーターに向かって走っていった。その速さは今までの比ではない。

 「あ!コラ待て。」

 それに歩が続く。やはりその速さは尋常ではない。

 駆は矛先が自分から逸れてホッと一息を――

 「駆、あとで色々と話があるから。」

吐けなかった。


 その後、進は逃げ込んだエレベーター内で歩と二人きりになってしまい、延々と文句を言われ続け、新しい服を買う約束を押し付けられるのであった。



○蹴り飛ばす、×蹴りとバス。相変わらず絶好調です、我がケータイ。今回戦闘シーンは軽めにしました。『SR』は戦闘より、主要キャラの顔見せがメインなので。いずれ戦闘シーンは他のところで、がっつり戦るつもりです。ご意見・御感想お待ちしています。では、ロドリゲスでした。――次回更新は一月二十二日(火)を予定してます。

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