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004 1-04 SR a Sullen,but Reliable boy.

 メリークリスマスです、皆様。本編とは何の関係もありませんが!!ようやく三兄弟が登場しましたよ。

 『痛っ!なにも殴ることないじゃん!』

 『黙らっしゃい。そんなモン何に使う気だよ?』

 『え!?…見つかったとき用?』

 『見つかること前提かよ!?しかも、何心底不思議そうな面してんだよ!』

 『いや、きっと進が失敗すると思って。』

 『しかもオレかよ!?』


 (…なにやってんだか)

 監視カメラから流れてくる映像と音声を確認して、駆は頭を抱えたい気分になった。

 駆がいる場所は来栖市C地区住宅街のどこにでもある普通のアパートの、やはり普通にある一室。しかしその中の様子はとても普通とは程遠い。囲むように配置された複数の端末、宙に浮く何十枚もの立体映像モニター。その中で椅子に腰掛け忙しなく両手を動かす少年、駆。

 はあ、とため息を一つ。

 二人のやりとりを眺める瞳は流石兄弟と言うべきか、よく似ている。だが、中途半端に伸ばした髪と体のサイズに合わない大きめの服を着ているせいか、受ける印象が大分異なって見える。

 このビルの警備システムの乗っ取りとその管理、及びビル外や回りの交通の状況確認。常人ならば三、四人がかりで行う作業を駆は一人で行っている。どころか、まだ余裕があったりする。

 はあ、とため息をまた一つ、うなじに埋め込まれている端末接続プラグを掻く。

 正直な話、二人のフォローこそが一番の面倒とも言えるのであった。


 ***


 「大体私にこんなの無理なのよね。こそこそするやつ。」

 「少しは我慢しろ。オレだって我慢してんだ。」

 「もっとこう、シンプルにいこうよ、シンプルに。」

 「シンプル?」

 「正面ロビーから車で突っ込んで、それから――」

 「アホか。」

 「うわ、ひどっ!」

 文句を言い合いながらも二人の疾駆する速度は変わらない。足音は見事に殺せているものの、二人の話し声が色々と台無しにしているが。

 もっとも、この階には先程の警備員二人を除けば進と歩しかいないが。

 「でもホント静かだね。」

 「ああ、こうも静かだとかえって不気味だな。」

 「恐いの?」

 「………。馬鹿言え。」

 しかし言葉とは裏腹に、進の足の運びが遅くなった気がするが。

 「なに、今の間?」

 「き、気にするな。」

 『二人ともちょっと――』

 「ホゥワァァァアッ!?」

 思わぬ所から声が聞こえ、驚いた進の奇声が上がり、その後歩の笑い声が続いた。


 ***


 『かかかかか駆!なかに入ったら連絡しないんじゃなかったのかよ!』

 確かに侵入した後は傍受のことを考え、通信をしない手筈になっている。しかし非常事態となれば話は別である。

 つまり今が、その非常事態であると言えるわけで。

 「いや、あんまりしゃべりすぎると、見つかる可能性が出てくるでしょ。」

 『大丈夫、大丈夫。このフロアにはドローンしか他にいねぇーんだろ?』

 「でも声を聞き付けて誰か来るかもしれな――」


 『『問題なし』』


 心配性の弟の言葉を、ややビビリな兄と、先程まで笑い転げていた姉の一言が遮った。


 『『お前がいるだろ(じゃん)』』


 語尾は多少違えど、そこは兄妹。異口同音に弟への信頼を表した。

 「―――っ!」

 その言葉に駆は何も言えずただ、

 「うん、そうだね。」

そう返すのが精一杯だった。

 「じゃ、通信、切るよ。」

 『あいよ、またな。』

 『ん、また後でね。』

 通信を切っても、しばらくそのままだった。

 (またね、か…)

 二人はこの作戦が無事に終わることを信じて疑っていない。他ならぬ弟であり、信頼する駆がバックアップについているからか。

 ならば自分はその二人の信頼に応えねばならない。

 「うん、頑張ろう。」

 そう一言呟き、端末のキーボードに両手を滑らせる。

 立体映像モニターには二人を示すアイコンがゴールに辿り着いていた。


 ***


 「ここか。」

 「ここだね。」


 《第七研究室》


 目的の場所に辿り着き二人はようやく軽く息を吐く。別段、疲れているわけではない。

 「進。」

 歩の呼び掛けに進は、

 「ああ。」

とだけ言い、右のポーチから二枚の偽造カードを取り出し、その一枚を歩に放る。

 投げ渡されたカードを受け取った歩は扉の左側へ向かい、進はその反対の右側に向かう。

 この扉は両脇に配置されているリーダーと呼ばれる機器に二枚の専用のカードを同時に読み込ませないと開かないどころか、失敗すると24時間は絶対に開かない仕組みになっている


 失敗れば、後はない。


 進が歩に視線を向け、歩もそれに応えるように頷くのみ。

 「1、2の、3……!」

 ピピッと機器が反応し、 ――……プシュー

と音を立てて扉が開く。

 見事同時にカードを通すことに成功し、

 「「……ふう。」」

やはり同時に安堵の息が漏れ、それに気付き苦笑。

 「ミスんなくて良かったね、進。」

 「ああ。ミスったら駆の奴に何言われるかわかんねえからな。」

 進と歩は軽口を叩き合いながら、暗闇に包まれた目的地へと足を運んだ。



 来週の更新はお休みとさせていただきます。そもそも今日の更新すら危うかったですよ。何考えていたんだ、先週の自分……。たぶん一月八日ぐらいの更新になると思います。見捨てられそうな気がひしひしとしますが気にしない。ご意見・御感想いつでもお待ちしております。気軽にどうぞ。コメント無しでも構いませんよ。

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