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013 2-05 ID Interval Days.『桃中家荘』の、ふ愉快な住人たち その1

今回ははっちゃけました。…それはそれとして最近スランプ気味です。

 瞼をうっすらと開ける。

 瞳がまばゆい光をとらえる。

 ボーッとした頭を覚醒に促しつつ、歩は現状の把握に努める。


(ええ、と……私は)


 まばゆい光の正体は照明灯のようだ。

 次に自分の状態を確認する。

 緑色の手術着を着せられている。

 そして大の字になって寝かされている。


 まだ、麻酔が抜け切れていないようだ、頭がくらくらしている。


「ひーひひひひ!施術は完璧じゃあぁぁぁぁッ!!」


 首をその奇声がしたほうへ向ける。正直見たくはないのだが、傍らに怪しげな老人が立っていた


 怪しげな老人。その表現は決して過剰な表現ではない。

 頭は淋しい状態で両脇に灰色じみた白髪が残るばかり…もっともその残った部分は重力に逆らうように逆立っていて自己主張に余念が無い。

 ヒゲも髪と同じ色で同じようにやはり自己主張が激しい。

 本来清潔であるべき白衣は、どれだけ洗われていないのか解らぬほど汚れている。


 だがそんな特徴よりもまず痩せ細った顔にある、むき出しの義眼が目につくだろう。

 そして左腕は肘から先が無く、代わりに備わっている四本の小型マニュピレーターが忙しなく動き回っている。


「くくく、目が醒めたかねェい」

 歩は一瞬で覚醒した。

(ああ、そうだ。義体の調子が悪かったから看てもらったんだっけ…。まあ、それはそれとして)


「ねえ『ドク』。やりたいことがあるんだけど」

「うむ、ワシもじゃ」


 『ドク』と呼ばれた老人は、歩の言葉に頷いた。

 そして歩は、大きく息を吸い込む。


「やめろ!ショッ――」

「木梨ノリタ――あ違う――歩は改造人間である」

「――ぶっ飛ばすぞ〜、ってフライングした上に台詞トチるな」

「ああ、スマン」


 歩の言葉に頭を下げる『ドク』。


「テイク2いくぞい」

「ん」


 歩が再び息を吸い込む。


「やめ――」

「何やってんのさ、二人とも」

「タイミング悪ッ!?」


 呆れたように話し掛けたのは駆であった。


「くくく、見てわからぬか」

「うん。わからない」

「ひーひひひひ、お約束というヤツじゃあああ!!」

「あ、そう」

「なーんじゃ。つまらん反応じゃのう」

「それより歩、調子はどう?」

「んー」


 言って身体を起こし、義手である自分の両手を見る歩。


「少し反応が悪いけど、まあ、こんなモンかな」


 ゆっくりとした動きで手術台から下りるも、足元がおぼつかない。バランスを崩して倒れそうになるが、駆が素早く駆け寄って支える。


(重ッ!?)

 そう思いはしたものの口にはしない。


「くくく、ワシの施術は完璧じゃ。万に一つ…いやさ!億に一つの失敗も無いわ!!ひーひひひひ……げほげほ!?」

 どうやらむせたようだ。


「んで駆。なんか用があったんじゃないの」

「ああ、そうだった。『ママ』が呼んでるよ」

「アレ?ワシってばガン無視?」

「「うん」」

 あっさりとそう言い放つ二人。

 だが、そんな扱いにショックを受ける老人ではない。


「ひーーひひひひ!それはそれとして頼まれていた新兵器が完成したぞい!」

「ねぇ『ドク』。僕が頼んだのは確か進のナイフの修繕だったと思うんだけど…」

「頼まれとらんのに余計な機能まで付けといたぞい!」

「わかっててやったの!?」

「くくく、見るがイイ!そして恐れるがイイ!!ワシの才能を!!」

「もう十分恐れているよ」


 駆のぼやきなど一顧だにせず『ドク』は部屋の奥に無造作に積んであるがらくたの山を漁りだした。


「私着替えてくるから、あとよろしく」

「あ!ズルッ!?」

「ん〜ここかな〜それとも〜…、コレじゃあ!!」

 奇声を放ちつつ振り上げた右手に奇妙なモノがあった。


「ドリル………?」

 ナイフの刀身はなぜかドリルになっていた。


「そうドリル!ドリル、それ即ち(おとこ)のロマン!ドリル、それ即ち(おとこ)の夢!!この光沢この形状!さすがワシ!!天才じゃあ!なに、みなまで言うな。拍手はいらん!……どうした少年?近くにあったスパナなんぞ手に持って?ああナルホド拾ってくれたのか。ん?どうした少年?なぜそれを振り上げる?ところで顔が笑っとるのに目が全然笑っとらんのじゃが――」

「アホかぁぁぁぁッ!?」


 ***


「お待たせー、てアレ『ドク』は?」

 緑色の手術着を脱いでいつもの格好――チェックのスカートに昨日進に買わせたシャツ、髪は結ばずそのままにしてある――に戻った歩が、なぜか肩で大きく息をしている駆に声をかけた。


 そんな駆は静かにがらくたの山を指差した。

 その山からなぜか、にゅっと二本の足が生えていた。

 ドリル〜と怨念じみた声がするのも、どこか鉄錆びた匂い…つまり血の匂い…がするのも、きっと気のせいだろう。


「じゃあ、行こっか?」

 とりあえず、コレは見なかったことにしようと心に決めた歩であった。


「ああ、うん。行こう」

 駆もとりあえず、老人については気にしないことにした。



勝手に好評?誤変換シリーズ!○見てわからぬか、×みて羽から糠。○つまらん反応じゃのう、×妻らん反応じゃ脳。――嘘みたいですが本当に一発変換で飛び出ました。しかし明日ケータイを買い替えるので、多分このシリーズは最終回だと思います。

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