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亡国の女王
そして、南の国は死にました。 多くの民が亡くなり、多くの民が逃げました。南の国に残っているのは女王と女王の忠臣と王女です。
「女王陛下・・・この国はお終いです」
南の国の終焉には抜け殻のような女王が居たと伝えられる事でしょう。姉を見詰めて告げた王女は痛ましげに女王の最後を見届けました。女王は最後まで自分を変えられない人でした。
ですが、王女はそんな女王を愛しておりました。
王女にとって家族だからです。たとえ、女王がこんな最後を迎えたとしても大切だったのです。
「お休みになって下さい」
王女は女王に微笑みました。
南の国の女王はゆっくりと眠りに就きました。それは民から嫌われ、国を終わらせた女王の最後としては穏やかな物でありました。
「さよなら」
そして、新しい国が始まります。




