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イロナキシ-Discolored death-  作者: あきの梅雨
凄惨な日常に花束を
62/66

死神の足音

 色んな人の視点……。

 結城蓮は三〇階建てマンションの屋上から、黒煙を上げて燻る街並みを眺めていた。

 薄い茶髪が風になびいて、結城は鬱陶しそうに顔にかかった髪を除けた。髪で隠れていた顔には、珍しく苦渋の表情が窺える。

 結城はフェンスの錆びた金網にしがみ付いて、両手に力を込めた。ギシギシと軋んで揺れる金網は、落下防止の効果はあるようだった。


「どうゆうことかしら。わたしたちの計画なら、第三フェーズに移行している頃なのに、合図がないわ。指揮のためにわたしは同調していないのに、これじゃ意味がないわ」


 口調は憤りを感じさせるが、当の結城自身は怒りよりも恐怖を感じていた。

 自分達の手が及ばない場所で何かが起きているような、得体の知れないものに対する恐れだ。結城は仲間の実力は一通り把握している。それゆえに彼らの仕事に遅れが生じている事態が理解出来なかった。


「プロフェッサーにも通信が繋がらないわね。本当にあの人は各地の戦闘を観察しているのかしら? であれば、遅れの理由を教えて欲しいものだったけれど」


 結城はフェンスから手を離して数歩後ろに下がった。

 各地で戦闘中であるだろうメンバーからの連絡がないために、結城の方も行動に移れないのだ。餌は撒いた、あとはそれに喰いつくのを待つだけだろう。始まりの災厄、世界の大厄、ヨルムガンド。

 彼らが存在するのなら、今回にこそ動きを見せるはずだ。動かないのであれば、それこそ彼らは人類にとって完全に無害、それどころか存在すらしないのかもしれない。

 しかし、存在しないという可能性は極めて低いだろう。

 アンドロイドが造られた経緯、プレデターの誕生、プロジェクト・ラグナロク、そしてそれに関連した施設で行われた人体実験、人体と機械の融合。

 

 ニーズヘッグの諜報部が集めた情報を精査するまでもなく、彼らの痕跡はいたるところに残されている。これで存在しないなどと言われても、到底信じられるものではない。

 物思いに耽った結城は、出し抜けに足元から聞こえ始めた音に鳥肌が立った。

 金属をコンクリートにこすりつけたような不協和音は騒々しく、結城のいる屋上が微かに震動を始める。何かが近づいてきている、結城は即座に辺りを見回して脱出経路を確認する。唯一の出口は屋上に出るために利用したドアのみだ。

 駆け出した結城が振り向いて見たのは、フェンスを掴んだ爪の長い剛腕だった。およそ人間のものではない。そして、見たこともない型だ。


「警察かしら……ここがバレた? なにはともあれ、逃げるしかないわね」


 ドアはもう目前にあり、右手を伸ばしてドアノブを掴もうと────

 伸ばした手の先で、ドアが爆ぜた。ドアの残骸とコンクリ片が飛び散って、結城は顔を手で覆った。これは外部からの狙撃による破壊だ。

 我知らず振り返った先には、フェンスの向こう側から冷笑する人狼がいた。細長い顔は茶色の剛毛で覆われ、口から覗く犬歯は鋭い。実在の人狼だと言われれば頷ける精巧な造りだが、あれは紛うことなくアンドロイドだ。掌に見える銃口が弾丸を放ったのだろう。白煙が昇っている。


『キヒヒヒ、情報通りだぁ。ニーズヘッグのNo.2、あんたにゃワリぃが、死んでくれ』

「警察じゃないみたいね」


 銃口が結城に向けられ、再照準される。なんとも呆気ない終わりかたね、と結城は笑った。最期の瞬間ぐらい見守っていよう、と目を見開いてその時を待った。


『これで、二人目だぁッ────おい、何だこれ。どうして……何ガ、起キタ? ナ、ンデ』


 男の声は刻一刻と、聞き取ることが困難になっていく。

 結城はあまりの光景に呆気にとられた。

 人狼の胸にぽっかりと開いた穴は、熔けたように爛れている。アンドロイドはフェンスを手放して、呻吟しながら落下して視界から消えた。

 アンドロイドの胸を貫いた一撃。アレが出来るのは、七枝刀、No.3《ドライ》のグラールの兵装ぐらいだ。

 意表を突くように、結城の携帯が鳴り始める。慌てて取り出した携帯を耳に当てれば、相手は見崎謙吾だった。


『なんや、案外あっけないもんやな。すみまへん、姐さん。どうにか間に合ったんや』


 刀剣の持ち主はどこから話しているのだろうか、と結城はフェンスに駆け寄って眼下を探すが、その姿は見つからない。あのグラールの巨体が見つからないということはありえないのだが。


『いやー、グラールに通話機能があって良かったですわ。すんません、ワイらはしくじったんや。まんまと掌の上で遊ばされとったんや……他のメンバーも殺られ……とるで。奴らに情報がリークされ……とった……。姐さんは、身を隠してくれ……。ワイも肉体が死にかけとるんで、もう時間がないみたいや……。すんま……せん…………、最期に……一つ……グレゴール……って……誰です?』


 その言葉を最後に、見崎謙吾の言葉は途絶えた。

 結城は脱力して、その場で尻餅をついた。惚けた顔で手に持った携帯の画面を見遣った。謙吾の言葉が正しければ、もはや彼は生きていないだろう。そして、他のメンバーもきっと。何かが、裏で動いているらしい。

 そして、最期の謙吾の言葉だ。グレゴールとは誰か、など分かっていることだ。ニーズヘッグの、ニーズヘッグの誰だったろうか。


 ざわッと風が屋上を吹き抜けて、結城の体温を奪っていく。



「君はこの男に覚えがないのか?」


 酷く荒らされた住宅の一室で、黒一色の外套を着た少年は足元に転がった痩せこけた男を見下した。男は白目を剥きだして、うつ伏せになったまま動く気配がない。離れた場所には、男の所持品であった日本刀が壁に突き刺さったままにされている。

 つい先ほどまでこの部屋では戦闘があった。


「見たことない人だよ。てか、それ人じゃないよね。はっきりしてるのは、それがアンドロイドだってことだね」

「そうだな。どんな趣味の人間か知らんが、ここまで冴えない人間の見た目の騎士も珍しい」


 黒服の少年、鳴鳴かさなりの操者であるウルは、部屋の中央に置かれたカプセル状の装置に視線を向けた。そこには半身を乗り出した、少女と見紛うばかりの少年の姿がある。相良瑠衣さがら るいを名乗る、ニーズヘッグのNo.12だ。転送装置の傍には、両腕を損傷して大破した状態の痩躯の龍をした騎士が倒れている。


「それでも動きは、今までにないくらいに人間らしかったけどね。そいつが武器を咽喉から取り出すのを見るまでは、騎士だとは思わなかったよ」


 瑠衣は驚きを隠さず、興味深そうに倒れたままの男を観察した。


「しかし、こいつが騎士なら何で気絶なんてしてるんだ?」


 ウルは男を足で蹴って転がすと勢いよく仰向けにした。それでも一向に目覚める気配のない男。それは完全なアンドロイドであり、当然ながら操者の存在がある。擬似脳を破壊または燃料電池の破壊をせず、同調を維持しての生け捕りにしたはずだった。

 ウルが見舞った蹴りを腹部にまともに喰らった男は、それからずっと意識を手放したままにいる。かれこれ一〇分近くになるだろう。


「カーソルが表示されて、それを敵の対象として捕捉してるなら、同調は維持されてるんだろうね。考えられるのは……相手の精神体に障害が生じたとか?」


 瑠衣の言葉にウルは首を横に振った。精神体に障害が生じれば、緊急機能として精神が回帰される。同調に不具合が生じた場合には、肉体に精神が戻されるのが常識だ。

 普通ではこの状態は起こりえない。これではまるで、この男が生きた人間のようだ。

 痛みに気を失うアンドロイドなど、前代未聞だ。

 それに起こりえたと考えても、同調時の痛覚は操者の同調率に大きく左右される。痛みを本物の痛みのように感じるためには、それこそ九〇%以上の同調が必要になってくる。

 しかし、九〇%を超える操者など、蛇以外にいるだろうか。

 ボレアースの所有物ではないのは確実だが、ニーズヘッグのものでもないらしい。残る可能性は、きっとありえない。


 自分達の存在理由を証明するあの組織が、実在すれば今までの苦労が報われると思っていた。だが、今となっては存在しないことを願わずにはいられない。

 このアンドロイドがあの組織の関係物ならば、彼らの一番の標的は蛇だ。この世界の如何なる紛争や戦争の沈静よりもまず、彼らは蛇を根絶やしにするだろう。

 既にボレアースには犠牲者が出ている。彼の死が何者の仕業かまでは分からないが、ニーズヘッグのランカーである瑠衣が襲われかけたあたり、何か関連性がありそうだった。


「そうだ、相良君。君はこれから医者の元へと連れて行くぞ。安心しろ、俺たち蛇の事情を把握している人だ。警察には突き出さない。まぁ、組合連合の監視下に入る可能性はあるが」

「んな、嫌だ。ボクはいたって健康だよ。なんで医者に診てもらわなきゃなんない」


 瑠衣の抗議の声にウルは片手を上げて、静粛を求めた。短く息をつくと、ウルは鋭い目で瑠衣を射竦めた。瑠衣が身を固くして黙ったのを見計らって質問した。


「君の体内汚染率はどのくらいだ? 隠さなくていいぞ。君が戦闘中に見せた凶暴性は、ボレアースでも使用された強化薬の副作用に似ていた。君の肉体は相当蝕まれているんだろ?」


「……67%の汚染率だよ。もう投薬を止めているけどね。カグツチをNo.1(アインス)から引き継いだときに、安定した同調が出来るまでの期間は薬漬けだったよ。それでも仕方がなかったんだ。妹だけでも助けたかったんだ」


 悔しそうに表情を歪めた瑠衣は、転送装置から出てウルの傍に歩み寄った。

 抵抗するつもりはないことを示すように、両手を上げている。


「あなたを信じることにするよ。どうせボクにはもう術がないしね」


 戦闘中に人格が変わることがあったが、現在は落ち着いているようだ。

 ニーズヘッグが、ボレアースで開発された強化薬と似通った薬を所持していた事実は衝撃的だった。何か自分たちは見落としているのではないか、そんな気がした。

 ボレアースとニーズヘッグの類似性、そこに何か重大な事実が隠されているような、悪寒がした。


「妹のために君はニーズヘッグに入ったのか。深くは聞かないが、払った代償は高くついたな」

「そうだね。それにボクは妹を救えたのかさえ分からない。妹が生きているのを確認出来たとき、ボクは二度目の絶望を味わった。一度目は目の前で人が次々と死んで、父さんも母さんも殺された瞬間だった。そして、二度目は、ボクのせいで妹の心が死んでたことを知ったとき」


 そう言って瑠衣は哀しそうに笑った。

 話を聞いていたウルが思ったのは、自己犠牲の正義がただの偽善なのだ、ということだった。




 ◆◇◆◇◆◇◆

 



 多聞は現在の状況を理解することに苦しんでいた。

 意味が分からない、というのが本音だった。いきなり鈴の音が聴こえたかと思えば、全身を襲う倦怠感だ。鎖で縛られたような圧迫感と不自由さに雁字搦めにされている。

 そして何よりも分からないのが、目の前の騎士の様子だった。

 異国風の金髪少女で狩衣を纏った騎士の、彫りの浅い顔貌に浮かべられたのは、荒削りの獰猛さ。先ほどまでとはまるで別人、殺意に似た敵意を剥き出した破壊者がそこにいた。


「オメェは何だ? さっきの奴と同じ人間か?」


 多聞の驚きを鼻で笑って、少女は初めてその名を語った。


「元創世の蛇の執行者。創世者の顎、アギト」


 多聞の全身を驚きが電流のように駆け抜けた。その名を聞いた多聞は愕然とした。

 アギトの名を持つランカーは伝説的な存在だ、と多聞は考えていた。単身で八〇体の騎士を破壊したなど非現実的すぎる。

 だが、目の前のランカーはそう名乗った。ここまでの戦闘の実力で推し量っても、十分納得できる事実だ。


「オマエは……暴食の怪人、か。白銀のディアブロ、ベヒーモス、八〇騎殺しの灰狼」

「そこまで多くの名は把握してナイ。暴食だけで十分だ」


 多聞は素っ気ない操者の態度に笑いがこみ上げた。暴食の怪人、破壊に飢えた戦闘狂だと聞いたが、意外にも人間の欠片が残っている。先ほどまでの人柄とまるで違っていることが少々気になりはしたが、戦うことには関係ないことだ。

 久しぶりの上等な獲物に多聞は舌なめずりした。



 完全に七彩の主導権を握ったアギトは、音による抑制で著しい同調率の低下を引き起こした多聞に歩み寄る。さっさと刈り取ってしまおう、と決める。

 未だに倒れたままの小埜崎を後ろに残して、アギトは歩を進める。ツギハギされた人形の姿であるピグモが、多聞の狂気を忠実に面貌に浮かべている。

 憐れだと思った。吹切多聞は戦いに心を虜にされた人間だ。かつてアギトとミツルが葬った八〇騎、序列抗争中のランカーたちは数字を上げることに夢中になっていた。

 質の悪い依存症にかかっていた。

 だから、全員を破壊した。完膚なきまでに破壊し尽した。

 そのおかげで付けられたあざなが《暴食の怪人》。


「あまり手間をかけさせるナ。ニーズヘッグ」

「へッ、元ボレアースの怪物と戦ってるってのに、黙って負けろと? そりゃ無理な相談だろ。おいらはオメェみたいな常識外れの強者と殺りたかったんだ」


 多聞は同調率に抑制がかかり、動作にラグが生じているにも関わらず、それを微塵も感じさせない動きでアギトに迫る。ピグモの足が地面を踏みしめる度に、大地が揺れる。


「小埜崎という操者、オマエは彼女たちの元に行けるカ?」


 アギトはちらりと背後の小埜崎を窺った。

 小埜崎は何とか上体を起こすと、頷いた。


「あなたは美鶴君じゃないわね。あたしの目には別人に見えるわ。ねぇ、美鶴君はどうしたの?」

「もう手遅れだった。彼の消滅は回避出来なかっタ」

「それって……」


 唖然とした小埜崎に応えず、アギトは七彩の身体を跳躍させた。

 もう手遅れだ、僅かに残っている美鶴の存在だが、それを救う手立てはない。今の自分に残されたことは、ニーズヘッグのNo.8を倒すことだ。

 その後のことは終わってから考えよう。


「サッサと失せろ、ニーズヘッグ」

「それは無理な相談だぁ、ボレアース」


 七彩とピグモが交差し、両者の間に激しく火花を散らせた。

 最凶同士の戦いの火蓋が落とされた。





 その様子を遠巻きに見守る少女たちは、どこか脱力しているようだった。

 その中でも特にショックを受けて青ざめた少女の頬を透明な雫が線を描いている。少女の制服の左袖に止まった天道虫型ロボットが表示する映像、その右上に94%の数値が赤く浮かんでいた。

 その数値が示すのは、今までの美鶴の人格の消滅だった。

「ねぇ、嘘だよね。消えたなんて、冗談でしょ?」

 由佳里の流した泪は、宙を舞って地面に黒く染みを残した。

 




 左から右へと薙払われる蛇腹の刀身を身を屈めることで躱し、アギトはピグモの懐に飛び込む。右から跳ね返ってくる刀身を尻目に、アギトはピグモの脇をすり抜けるとともに狂刄鈴蟲を抜刀してツギハギ人形の右脇腹を切り裂いた。

 表面のツギハギされた布が引き裂かれて、中の綿を飛び散らせる。しかし、そのすぐ下の装甲には傷がつかない。

 恐ろしく硬い相手だ、アギトは舌打ちすると、地面の上を転がった。

 真上を刀身が掠めていき、切られた七彩の金髪が風に運ばれる。蛇腹の刃は間合いが測りづらく、動きが変則的だ。


「オラオラ、どうしたぁッ。またラグってんのか?」


 多聞が茶化すように、おどけた口調で言う。しきりに繰り出される伸縮自在の刃を紙一重に回避しながら、アギトは負けじと嘲りの声を大きくする。


「どこを狙ってんダ。さっきから無闇やたらと剣を振ってるだけダナ。おっと、今のは惜しかった」


 戦いを長引かせるつもりはない。狂刄鈴蟲で傷を付けられないなら、もう一つの手段を使うだけだろう。狩衣の袖を捲り、後ろ向きに地面を跳んでピグモから距離を置く。




──副兵装、鈴歌重奏れいかじゅうそう展開。




 サブウェポンとして、七彩の関節部に仕込まれた振動刃が一斉に生える。肘、膝、踵から伸びる曲刀が盛んに震える。既に一帯を飲み込んでいるレクイエムの音響に、高低差のある鈴の音が加わった。

 それはまさに、鈴の音による重奏曲。


 幻想的でありながら無常感を残す、儚く哀しい調べ。


「うるせぇぜ、その音色。動きづれぇのはそいつの影響なんだろ?」


 多聞が忌々しいと言いたげに頭を押さえて、憤りを露わにする。


「オマエが倒されてくれれば、すぐにでも終ワル。ボクも長引かせたくナイ」


 アギトは地面を蹴り上げて、慣性力を殺すと一気にピグモに接近する。

 突然攻めに転じたアギトに、多聞は仏斬りで目の前を滅多に斬りつけた。

 空気を裂いて、ヒュンという音が響く。それをものともせず、アギトは斬撃の中に突っ込んだ。

 巧みに斬撃を躱すと、耐久力のない蛇腹剣のワイヤー部分を切断する。毎秒五〇〇〇回の振動刃にとっては、金属さえも紙切れに等しい。

 火花が舞う中で七彩の身体を前へ前へと運ぶ。分離された蛇腹の刀身が地面に深々と突き刺さり、ネック・チョッパーの刀身を短くする。

 ピグモの手元に残った剣柄には、もはや武器として使えない程度の刀身が残された。


「バケモンすぎんだろ、ありえねぇ。ありえねぇぞ、暴食の怪人ッ」

「騎士に頼らず、どんな騎士でも最凶のランカーとしてあるようにされたのが、ボレアースの執行者ダ。騎士に頼りすぎたオマエの負ケダ」

「そうは言っても、アダマンタイトの装甲は抜けねぇ……ぞ?」


 多聞の話が終わる前にアギトはその無防備な鳩尾に肘鉄をかまし、絶叫する金属音を響かせて、振動刃を突き立てた。完全にピグモの身体に埋まった刀身を見下ろして苦悶した多聞は、その場に両膝をついた。

 アギトはその胴体から振動刃を引き抜くと、戦いが終わったことにホッと一息ついた。


 だから、その登場に対応が遅れた。

 何かが空から地上に降り立って、けたたましく嗤った。


「いやはや、素晴らしい戦いでしたぁ。ワタクシ、感動致しましたぁ。ところでー、第二ラウンドにいってみませんか?」

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