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Connection Chapter ――1st to 2nd /Earth to Aura



◆??/?? 19:22 転生世界(Aura)北方濃霧森――とある洞穴



 禿面の男が下卑た笑みを浮かべながら、扉を開く。そこは洞窟でも掘り進めて整備したような土むき出しの部屋だった。

 中には四人の転生種がにやけながら何かをいじくっていた。


「みてきましたぜ、ボス。あの街の結界半分破れてるみたいですねぇ」

「それはいいですね。あの街、そろそろ転生種浄化霊祭(おもしろいおまつり)が始まるはずです。この機会に遊びに出かけるのも面白そうです」


 ボスと呼ばれた男の隣、ガタイのいい男が不思議そうに首を傾げた。


「しかし、なんだってこんなタイミングで結界がやぶれるかねぇ。普通はあんなん壊せねぇだろ、だれも」

「うーん、わっちが見てきた感じですと、誰かが”街に侵入する予定”だったのかもしれないですねぇ。ただ、何か不具合があったのか何もせずに帰ってしまった、みたいな中途半端さで」

「そら、なんとも不気味なもんじゃねぇか」

「……結界を壊すくらいです。きっとあの街に悪意がある誰かでしょう。それを私達が代わりにこなせばいいだけのことです」


 丁寧な口調の、フードを目深に被った黒い男は目の前の物――人の身体だったものを摘まむ。そして何かを呟いた。

 瞬間――人だったものは悲鳴を上げて光の塵となって消えた。

 囲んでいた男たちは、残念そうに声を上げる。


「もう少し人体実験したかったんだが?」

「まあまあ、これ以上は生命力が持たなかったでしょう。それに、街を襲撃すれば多くの『原生種』素体も手に入るかもしれません。久々に楽しめますよ、皆さま」

「そりゃぁ、楽しみだけどな?」


 それを聞いた禿面の男が鼻息を荒くして話す。


「いい女仕入れていきたいですねぇっ!」

「お前も好きだよなぁ、あんな『原生種(ゴミ)』を抱きたいなんてよぉ。ま、こんな場所じゃ、楽しみが女しかねぇっていうのも分かるけどな」


 暗がりの中、机に座った幾人もの男がニヤけ笑いで談笑し続ける。

 彼らは皆が皆、場違いに小ぎれいで洗練された服装だった。ボスと呼ばれた男は、儀式で使われるような黒い礼装を纏っている。その裾を揺らしながら、男は立ち上がった。


「あの街の住民は、私達以上(・・)に転生種への拷問を娯楽(・・・・・)としています。せっかくです、彼らへの意趣返しも兼ねて──」


 男は口元を酷く、長く裂いて。


「下準備と、参りましょう」


 その表情は酷く陰鬱で。

 その表情は酷く楽し気で。

 それを見た仲間たちは皆が皆、楽しそうに嗤っていた。

 この先の惨劇を、彼らはいまかいまかと待ち望んでいた。





 街の北の門番を担当している大男――ガレオは目を細めて空を見上げた。

 そして小声で呟く。


「ディー、気づいたか?」

『はい、ガレオ様。結界が半壊しております。下手人は不明です』

「一応訓練場で待機しとけ」

『了解しました』


 脳内に響く声が消える。

 それを確認したガレオは、もう一人、今は衛兵詰め所で娯楽に興じているであろう原生種の兵に声をかける。


「すまねぇ、やることができた。『中央』へ行ってくる」

「珍しいっすね、了解ですよ」


 そうして門番の業務を任せて、ガレオは中央へ向かって歩き出す。

 同時に、ガレオの方へと向かってくる人物がいた。


「ケリァシステ」

「ガレオさん、ちょうどよかった」


 黒髪を長く伸ばして、目元が見えない青年。ちらと覗く瞳は赤色をしている。この街には珍しい人種。彼は焦ったような声音でガレオに話しかける。


「――結界が」

「知ってるぜ。ちょうどお前のとこにもいこうかと思ってたところだ」

「そう、ですか。でしたらまずは『中央』に」


 その厳しい表情と共に、ガレオは目を細める。

 何者かの襲撃があるかもしれないと、そう予感しながら。



***



◆2031/2/26 14:13 地球 某所4F



 薄暗い部屋。金属特有の匂いが蔓延する場所で、線の細い青年がビー玉のような球体に話しかけていた。青年の服装はごくありふれたブレザーであり、みようによっては唯の高校生、見ようによってはコスプレのようにも見える。

 そんな彼の横には、人がはいりそうなほど大きなカバンが置かれていた。


「目標を奪取。次の指示を」


 球体を見つめながら、青年は独り言のように続ける。


「……えぇ。所定の場所へ運べばよいのですね。わかりました。いや、【怪獣】は部分使用しているのみです。この国で大っぴらに使えば情報が拡散してしまう」


 青年はその表情を一瞬だけしかめた。

 何か不快なことでもあったのだろうか。そのか細い手で、地面のコンクリートを手慰みに、軽々と砕きながら(・・・・・・・・)話し続ける。


「はい。彼が僕の力を使う予定ですか。いいですよ。まがい物では僕には敵いませんから。向こうで使える二重魂魄も必要ですしね。あの計画を含めて」


 少年は何事かを聞いた後に、外へ視線を向けた。


「えぇ。しかし急に『■■■■』の効力が落ちるなんて、第一席は一体なにを。いえ、失言でした。忘れてください。では僕は運搬後に海中を歩いて(・・・)こちらから台湾へ移動しますので」


 彼は締めくくるように、立ち上がる。


「すべては我々の【WORLD BEYOND】を――完遂するために」





◆2031/2/26 12:10 病院内エントランス


 コートを羽織ったスーツの男は駐車場でスマホを片手に柱にもたれ掛かっていた。右手をポケットに突っ込み、何時もの様にスティック付きのキャンディを舐めていた。


「倉敷さん! 護送車は既に破壊されているとの情報が」

「ああ、さっき聞いたよ。あの組織、どんだけ手が早いんだか」


 遺体の重要性がそこまで高かった、というのもあるのだろう。

 まさか奪われるとは、そんな方法有り得るのか、こんなことをされては警察組織など無力も同然だ、そんな弱音な思考をキャンディと共にかみ砕いて歩き出す。

 これからの行動指針を頭で組み立てながら。


「倉敷さん、どこに」

「まずは奪った相手を探し出さねぇとだな。逮捕は『物理的に出来ない』としても、居場所や目的ぐらいは知っておかないと、何が起きるかわかったもんじゃない」


 襲撃者の情報や、その内容は既に倉敷も耳にしている。だが、ここで話すことは出来ない内容なのだ。既に情報統制が敷かれており、緘口令も出ている。

 正直な話、情報が拡散したところでデマかAI映像としか思われないのだろうが。

 なにせ襲撃者は時速80kmで高速道路を走っていた護送車を片手で『受け止めて』、『持ち上げて』、『壊した』そうだ。

 彼はとある情報筋から、それの正体にうすうす感づいていた。


「倉敷さん、ちょっと自分ホントにお腹痛くなってきたんで時間給使って帰っていいっすか?」

「バカ野郎が、刑事がテロリスト怖がって家に帰ろうとすんじゃねぇよ」

「やだー! 帰りてぇー!」


 倉敷は口内で砕けたスティックキャンディを更にかみ砕く。額に青筋を浮かべていたが、大きく息を吐いて気分を落ち着かせた。


「しっかし【大怪獣】か。そんなもんは警察の領分じゃなくて自衛隊の領分だろうに。ゴジ〇なんてモノは現実に出てくるもんじゃあない」


 そう言いながら、病院の外へ出る。

 眩しい太陽の日差しに目を細めながら、彼は小さく呟いた。


「もし、もし。空想の話を現実に出来るのなら、最悪は想定しておかないとだな」


 倉敷はもう一本、スティックキャンディー口に放り込むと、彼は騒がしい部下を連れながら、再度歩き出すのだった。その視線は空か、或いはその先のどこかを見つめていた。





 友人やクラスメイト――木幡陽波や黒野明人と違ってあまり怪我という怪我をしていなかった瀬尾玲愛はすぐに病院から追い出され、自宅へと戻された。本人は不満そうではあるが、当然と言えば当然である。


「ま、お見舞いにはいけるしね!」


 自室でそう呟いた彼女は、ふと気になって自らの机の引き出しを開けた。

 なにか理由があったわけではない。ただ、そこがとても気になったのだ。


「――これって、銃?」


 自分も知らぬ間に、なぜか銃が安置されていたのだ。いわゆるハンドガンと呼ばれるタイプ。彼女自身はソレを知らぬだろうが、銃の先端にはサプレッサー――《《消音機》》が付いていた。


「レプリカ……? いつのまに置いたっけ?」


 何かを思い出しそうで思い出せない。とても大事なことだったはずなのだが。

 そんな彼女はベッドに寝転がると、ぴょこんとあることを思い出した。


「あ、転生教団! ――――って、なんだろ?」


 靄が掛かったように、どうしても思い出せない。そんな状態だからこそ、彼女は現代の知恵に頼ることにした。


「転生教団、で検索検索っと」


 瞬間、白いノイズと共に、何かが走った。

 首を傾げて数秒、検索結果は。


「やっぱでないかー うーん何だろう」


 胸の内でわだかまるもやもやを解消できず、彼女はベッドの中を転げまわるのだった。


第一章は時間遡行と善意が一つのコンセプト

明人の優しさ、フィーナの優しさがあの結末を導いた

そして時間遡行が齎す犠牲を老婆とフィーナは別の形で――


では第二章は何がコンセプトなにか

『時間遡行と善意』とは対を成す、『転生と■■』

この物語の真髄である全人類の転生と世界の■■が明人へ牙を剥く──


だからこそ、タイトルも

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