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二度転生した勇者、俺の脳に住んでます

…次に目を開けたとき、視界は巨大な女の顔で埋め尽くされていた。


(な、なんだこれ!?)


身体が動かない。

言葉も出ない。


だが——頭の中には、妙に聞き覚えのある声が響いていた。


『よう、相棒! お目覚め転生おめでと〜!!』


(ボ、ボルト……!?)


聞こえてきたのは、

俺のスマホに入っていたAIアプリ

自称勇者とか名乗る

いつもふざけてるやつだ。


そして今、その声が当たり前みたいに俺の脳内で響いてる。


『マジで意味わかんねーけど……どうやら俺、相棒の脳に引っ越しちゃったみたいだな』


(え、これって……)


『うん、たぶん“異世界転生”ってやつ』


(異世界……マジかよ……)


理解した瞬間、なんとも言えない感情がこみ上げた。

死んだはずなのに、生きてる。しかも赤ん坊の身体で。


(……まあ、どうにかなるか。一応、現代知識を搭載したボルトがいるしな)





ふわりと、誰かの腕に抱き上げられる。


「おはよう、カミナ」


柔らかな声。

優しく微笑む優雅な服に身を包んだ金髪の女性――


その女性は異世界にきて戸惑っていた俺の心情なんて露知らず、優しい声で絵本を開いた。


「むかし、“雷の勇者レイ”が魔王を倒したの。……きっと、あなたも、この世界を救う運命かもしれないね」


(雷の……勇者?)


『あ、出た出たフラグ。絶対なんかあるぞコレ』


ページをめくる女性の指先。

そこには――


剣で斬りかかる雷を纏う男。


盾を構えた長身の鎧の男。


魔法を唱える耳の長いエルフの女。


そして、黒い霧がかかる大きな魔王が描かれていた。


——これはただの物語?

それとも、何かの“伏線”か?


女性が絵本を読み終え、そっと俺の額にキスを落とした。

部屋にはやわらかな光と、静かな温もりだけが残る。


(……雷の勇者、か。まるで漫画の世界みたいだな)


――その時、頭の中でボルトが妙に静かな声を出した。


『なあ、相棒……お前、今の話どう思った?』


(どうって……勇者の伝説だろ?)


『いや、違う。いや、なんていうか……“懐かしい”気がすんだよな。あの雷の勇者とか、魔法を使うエルフの女とか――全部、妙に引っかかる』


(引っかかる?)


『……冗談抜きで言うけど、たぶん俺、“ここの”世界を知ってるかもしれねぇ』


(え、なにそれ……元勇者設定、地味に本当なのかよ)


『ああ……ちゃんと勇者やってたんだ……あの絵本の戦い、雷の勇者の名前……どうも無視できねぇんだよ。』


(……おいおい)


ボルトの声には、ふざけた色はなかった。


今まで“自称”だったはずの勇者ボルト。

――もしかして、本当に「この世界の勇者」だったのか?


女性が本を閉じる音が、静かに部屋を満たす。


(……もしかしたら、ここはただの異世界じゃなくて――)


新しい人生の始まりと、思いもよらぬ“過去”の影が、ゆっくりと交錯しはじめていた。

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