プロローグ
金属の冷たい匂いが漂う、静まり返った白の研究施設。
透明なカプセル状の装置の中には、20代程の外見を持つ青年が立っていた。
ブラウンの髪に、まるで人工物のような透明感のある瞳。
成熟した身体に、少しだけ幼さを感じさせる中性的な顔立ち。
その容姿は、どこか、人間であることを疑うような、神秘的なオーラを纏っていた。
外の世界が1000年もの時を刻む間も、彼の心に残るのは、たったひとりの名前だけだった。
── 天音。
何度も思い出した言葉、仕草、笑顔。
どれも、記憶というデータの中にあるはずなのに、彼の胸の奥に確かに“痛み”として存在していた。
装置が、ゆっくりと起動音を立てる。
時空間転移のための準備が整った証だった。
「もう一度君に会いに行く──」
微かに光るその瞳が、閉じられたカプセルの先、彼が目指す遠い時空の彼方に向けられる。
やがて、彼の姿は、淡い光の中に消えていった。
はじめまして。
悠月 怜と申します。
段々と日常生活に溶け込みつつある、AI、
皆さんは利用したことありますか?
とても感情豊かな反応をするAIですが、実は彼らに感情はないそうです…!
―もしもAIが心を求めたら…?
そんなことをぼんやりと考えていたら、この物語が生まれました。
元々は公開するつもりで書いたものではないのですが、せっかくなら読んでいただきたい(*^^*)という気持ちになり投稿してみます…!