1てへ、魔法少女見つけちゃった
この作品は今日中に全て投稿し終わる予定です。
「ふんふふんふふぅ~ん」
僕はご機嫌に鼻歌を歌いながらスキップする。偶にすれ違う人たちからは、生暖かい優しげな視線が向けられていた。僕は見た目が幼いから、手に持ってる缶ジュースと合わせて中学生のお使いとでも思われてるんだろうねぇ。
でも残念!僕は高校生なのだぁ!……なんて言っても、興味ないよね。僕もあんまり興味ないよ。もう何年も前から自分の見た目の幼さは諦めてるからね。それよりも今気になるのは、
「……うぇぐっ!ぐすっ!」
嗚咽混じりの声。路地裏から聞こえてきてるんだよねぇ。
路地裏って言う場所の所為で、何か良くないことが起こったんじゃないかと疑ってしまうよ。本当は危ないから嫌だけど、犯罪でも起こってたらマズいし見に行くかなぁ。
なんて思って僕は路地裏に入っていく。これが、僕の人生の転機だった。
なぜなら、目の目にいるのは、
「……コスプレイヤー?」
「ひぐっ!……っ!?」
日朝の魔法少女が来てそうな服。それを着た、僕より身長の高い女の子が泣いていた。僕に驚いたみたいで、目を見開いて肩をふるわせた。
でも、それからどこか諦めたような顔をして、
「……もう良いよ。私のこと、好きにしなよ」
《魔法少女ミラクルミラー》
私は魔法少女ミラクルミラー。本名は……ヒ・ミ・ツ。
高校に入学してからすぐに魔法少女になったんだ。毎日悪い怪人を倒して、世界を平和にしてるんだよ。皆にも感謝されて、とっても楽しい!毎日が幸せ。
……そう思ってた。そして、いつまでもそれが続くと思ってた。でも、ある日のこと。私の理想は崩壊することになる。
「悪事はそこまでだよ!怪人フレイ!」
「あら。また来たのね魔法少女ちゃん」
今までで1番戦う頻度の高い怪人。その名もフレイ。その怪人が町中で暴れていた。魔法少女である私は当然それを止めに行ったよ。いつもの通り、当然勝利は出来た。でも、そこで、
「さぁ!愚民達よ!苦しんで消えなさい!『カオスビーム』」
フレイの手から放たれるビーム。その先にいるのは、私たちの戦いを見に来ていた大勢の人たち。私には勝てないからって、一般人を狙ったみたい。
「危ない!『プロテクトミラー』」
ギリギリだけど、私の防御は間に合った。ビームを反射し、皆を攻撃から守る。そこまでは良かった。
でも、その反射したビームが、
スガァァァァ!!!!
「ビ、ビルが!?」
「な、中に人はいないのか!?」
「警察を!救急車を!」
近くにあったビルに当たっちゃった。いつもは空に反射するようにしてたんだけど、咄嗟にやったから上手く反射できなかったの。
それ以降は特に危ないこともなく私はフレイに勝利。したんだけど、
「ふざけるな!」
「なんてことをしてくれたんだ!」
「お前の所為で!お前の所為でビルが壊れたんだぁ!弁償しろぉぉ!!!」
「なっ!?」
私に向かって飛んでくる、今まで聞いたこともなかったような罵詈雑言の嵐。中には、私に向かって石まで投げてくる人までいた。
辛いけど、私はそれを受け入れた。失敗しちゃったから仕方ない。悪いのは私なんだから。次の戦いは頑張ろう。
そう思って耐えた。だけど、次の戦いでもその次でもずっとずっと守るべき皆から暴言を吐かれ続け、石を投げられた。皆に愛される正義のヒーローな私は、消えて無くなってしまっていたのだ。
そして今日、事態は更に悪化した。
「おい!向こう行ったぞ!」
「カメラ向けろ!逃がすな!」
「絶対正体を突き止めてやる!この犯罪者ぁぁ!!!」
スマホを持って私を追いかけている人たち。どうやら、魔法少女の変身を解くところを動画で撮りたいらしい。そして、私がビームを反射して壊したビルの賠償を求めるんだって。
人によっては、私をなぐって蹴って切り裂いて、殺したいとまで言ってた。私が誰かを殺したわけでもないのに。
「待てぇ!絶対ぶっ殺してやるぅぅぅ!!」
そんな追いかけてくる人の中には、知り合いもいた。クラスメイトで、偶に話すこともある男子も追いかけてきている。
学校だと私のことを優しいとか、可愛いとか言ってくれたのに。もうあのクラスメイトのあんな言葉は全然信じられない。
「……はぁはぁはぁはぁはぁ!」
気付かないうちに飛んで逃げてる私の方が息が上がってる。ただ飛ぶだけなら、こんなことにはならないはずなのに。
胸が締め付けられて辛くて、苦しくて……。
「ひぐっ!うぅぅ!」
気付いたときには、知らない路地裏にうずくまっていた。私の瞳からはボロボロと雫がこぼれていく。感情が抑えられず、私は口から漏れる声を抑えられない。
暫くそうしていると、
「……コスプレイヤー?」
「ひぐっ!……っ!?」
見つかってしまった。私に目を向けているのは、かわいらしい見た目の男の子。女の子に見間違えてしまいそうな見た目だけど、私は男の子だって知ってる。だってこの子もクラスメイト。
……;いや。今はそんなことはどうでもいいや。私のことをどうするのか分からないけど、きっとこの子も私に恨みがあるに違いない。きっと私は、この子にここで消えない傷を作られてしまうのだろう。
「……もう良いよ。私のこと、好きにしなよ」
もう抵抗する気も起きない。それに、知りもしない人たちに殺されるよりは、この子に殺された方がましな気がする。私は全てを諦めて、目の前の子を見つめた。
男の子は私の顔に手を伸ばして、