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平行世界  作者: 返歌分式
三日目
23/34

習慣

 もしもし。

 その耳は聞こえていますか。

 もしもし。

 聞こえていませんね。




***




 すぅ、と呼吸をする。

 意識が現実に引き戻される感覚の味わいながら、私はしばらく天井をぼんやりと眺めていた。

 あぁ、もう起きなくちゃいけないのか、とまどろむ思考。

 ふわふわと霧散しようとする意識をなんとか掻き集めながら、私は意識が途切れる前のことを思い出すことにした。

 

 確か眠る前は、義呂絵君と白い猫と一緒にお茶を飲んでいて、色々と訳が分からない話をされた。

 それでその後何故か意識が途切れて……。寝返りをうとうと身体を横に向けようとした時、はたと気付く。

 

 

 あれ。なんで私家にいるんだろう。

 

 

「…………あれ?」

 

 

 がばりと起き上がって周りを見る。

 そこは、夏場だとは思えない程に冷え切った私の部屋だった。

 夏場なのに寒いのは、義呂絵君が言っていたように、私が本来住んでいた場所と違うからだろう。

 十分な睡眠を取ってすっきりした頭なら、その事実を受け入れることができる。

 ……できれば嘘であって欲しいけども、ね……。

 

 窓からは日の光が差している。

 部屋にかかった時計を見てみると、10時。全然朝じゃないし……。

 さらの家で青褪めた時間と同じということに、溜息を吐く。

 

 ベッドからのそのそと降りる。

 今日は、どうしようかな。また探索でもしようか。

 そんなことを考えながら、制服に着替えていく。

 

 習慣というか癖というか、私にとって学校の制服は、着慣れて自分にしっくりとくる服装なので、学校が無い日でも制服で過ごしたいと思えるものだった。

 自分の私服に自信が無いというのもあるが、基本的に制服は動きやすいので、こちらの方がいいと私は思う。

 着替えた後、机の上に置かれた鞄を手に取る。

 中には教科書と底にナイフがあった。

 

 教科書は使わないと判断した私は、邪魔なものをどかして、中にはナイフ一本入っている状態にする。

 他にいるものは無いかな、と見回して、本棚の上にある救急箱に目を留めた。

 いつの間にか増えていく傷に、すぐに対処できるように色々持っていた方がいいか。

 包帯や消毒液、絆創膏、その他いるかもしれない物を詰めていく。

 

 

「……よし」

 

 

 あらかた手当て道具を詰め終わって、私は少し重い鞄を持ってリビングに向かった。

 

 

 

 

 

 


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