二度
ひんやりとしたものが顔に当たっている。知っている感覚。
またか、と心の中で呟いて起き上がった。
予想していたことだったので何も感じることは無い。
目をゆっくりと開いてみれば、案の定そこは外だった。
「…………」
最初に倒れていた場所。
痛む頭を押さえながら制服についた砂を払い落とす。
早く戻らなくちゃと、歩き出す。
何分か、何時間か歩くと、自分の家が見えてきた。
意外と簡単に着けるものなんだな、と感心する。
左手で玄関の把手を掴もうとし、自分の左手が今怪我していることを思い出す。
「あの子供……」
おどおどと挙動不審な動きをする少女が脳裏を過ぎる。
仕方なく右手で開ける。
すぐに自分の部屋へと向かい、本棚に手を伸ばす。
救急箱を引っ張り出し、その中の消毒液を手に取る。
左手に巻かれた包帯を解き、傷口を見る。
手の平を刃物が貫通した傷。
本当なら病院にでも行って縫ってもらった方がいいんだろう。
けどそれはできない。病院に行ったとしても人がいないだろうから。
膿み始めているその傷口に消毒液を塗る。
これぐらいの痛みはどうってこと無い。
どうせすぐに終わる痛みなんだ。
頭にも同じ作業をし、それらを終えると救急箱を元の場所に戻す。
あぁそうだ。風呂にも入らなくちゃいけない。
これなら包帯を巻くのは後にしておけば良かった。
クローゼットからパシャマを取り出して風呂に向かう。
相も変わらず家の中は静かだった。
本当に誰もいないんだなぁ。
まぁ私としては居ない方が清々するけども。
簡単にシャワーを浴びて身体を洗い、さっさと出てくる。
忘れず歯磨きもし、部屋へと戻る。
髪の毛を乾かすこともせず、タオルを枕に敷いてベッドにもぐり込む。
あとはもう寝るだけだ。
「…………おやすみなさい」
そう言い、眠りについた。