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最終決戦

「・・・!光が、消えた・・・!」

 黄色い光に苦しめられていたレイが、光の消失に驚きの声を上げた。それと時を同じくして、アパテーは全ての力を使い果たし、荒い息をつきながらその場に膝を折った。

「リン・・・・・・君は・・・・・・」

 思わず声を上げた誠人に、リンはアパテーの仮面の下から視線を向けた。と、その時。黄金色の鎧を纏った腕が、その体を貫いた。

「あっ・・・ああっ・・・!」

「リン!」

 体をのけぞらせるアパテーの体を、ウラノスの右腕が貫いていた。彼女はアパテーの体に右手を突き刺し、そのエボルバーとしての力を吸い取り始めた。

「この・・・裏切り者が!お前の力、あたしが全部吸い取ってやる!」

 怒りに声を震わせながら、ウラノスは一気にリンのエネルギーを奪い取った。それと同時に彼女の変身が解け、その体が塔の床に倒れこんだ。

「ミナミ!」

「はい!」

 誠人の声に応え、ミナミがウラノスに向けてGPブレスから光弾を発射した。ウラノスがそれを回避すると、ミナミは誠人を縛り付ける十字架の枷を壊し、彼の体を解放した。

「リン・・・リン、しっかりしろ!」

 自由になるなり、誠人はすぐにリンのもとに駆け寄った。彼がその体を抱きかかえた時は、既に彼女は虫の息であった。

「誠人・・・君・・・・・・私、少しはやり直すこと、できたかな・・・?」

「ああ、できたさ・・・・・・君のおかげで、エボリューションタイムは防げた」

 誠人は心からの感謝を込めてそう言ったが、リンは小さく首を横に振った。

「まだ・・・イヴさんはあきらめてない。あの人・・・私とカガリさんの力を、その身に取り込んだ。だから・・・・・・あの人一人でも、エボリューションタイムを実行できる・・・」

 そう言うと、リンは腰に手を当ててGPドライバーV2を取り外し、最後の力を振り絞ってそれを誠人に差し出した。

「お願い・・・・・・あの人を、止めて・・・・・・これ以上・・・悲劇を増やさないで・・・・・・」

 ドライバーを持つリンの手が、光の粒子となって消えていく。誠人は強くうなずくと、彼女の手からドライバーを受け取った。

「ああ・・・分かった・・・!」

「誠人、君・・・・・・私にも、今やっと夢ができた。あの子供達や、皆が・・・・・・争うことなく、幸せに生きられる世界ができたら・・・・・・」

 誰もが笑顔で幸せに生きる、理想の世界。消えゆく意識でそれを垣間見ながら、リンは静かに目を閉じた。

「できたら・・・・・・いい・・・な・・・・・・」

 そう呟いたリンの体が、光となって完全に消滅した。その体が消滅する間際、彼女が使っていたアパテーのカードが地面に落ち、模様が消滅してブランクカードへと戻る。

「リン・・・・・・君の夢は、僕が引き継ぐ」

『Authentication start、please wait a moment.』

 誠人はブランクカードを手に取ると、自身のGPブレスにかざしてスキャンさせ始めた。

「どこまでやれるか分からないけど・・・・・・君の夢は、僕が未来につなぐ・・・!」

『Authentication complete』

 誠人が強い決意と共に呟いたその時、カードの認証が完了した。誕生した真紅のカードを握り締めながら、誠人は最後の戦いに向かう。

「はあっ、はあっ・・・うあああああああああああああああっ!!」

 それと時を同じくして、ミナミの攻撃をかわしていたウラノスがリンの力の制御に成功し、天を仰いで雄叫びを上げた。それと同時にウラノスの左腕が、アパテーと同じ白い輝きを放つ。

「ふ、ふふ・・・これで、全部の力が揃った。後は・・・エボリューションタイムをやり直すだけ・・・!」

「させないよ。悪いけど」

 その時、誠人の鋭い声がウラノスに向けて放たれた。彼はGPドライバーV2を腰につけると、ミナミのもとに歩み寄る。

「誠人さん、そのドライバー・・・!」

「ああ、リンから託された。・・・彼女の最後の願い、ここで終わらせるわけにはいかないんだ!」

「フン。あんな弱い奴が遺した願いなんて、あたしがこの手で微塵に砕いてやるよ!」

 ウラノスは両手を誠人達に突き出すと、そこからそれぞれ黄金色と白色の衝撃波を放った。それをミナミと共に紙一重でかわすと、誠人はウラノスを睨みつけた。

「リンは・・・弱くなんかなかった!確かに彼女は、過ちを犯した。だけど・・・その過ちを償うために、最後は自分で道を決めたんだ!」

 腕の中で消えていった、リンの最後の笑顔。それを思い出しながら、誠人は震える拳を握り締めた。

「彼女の思いは、僕が絶対に未来につなぐ!ミナミ・・・・・・行くぞ!」

「はい!」

 二人は同時にドライバーのパーツをスライドさせ、待機モードにした。そしてそれぞれの変身用カードを、同時にドライバーに挿し込んで再展開させる。

「「アーマー・オン!」」

『『Read Complete』』

 二人のドライバーから、同時に電子音声が鳴り響いた。そして二人の体が、それぞれ真紅と黒の鎧に包まれていく。

『灼熱!焦熱!光熱!アーマーインサンライズ!サンライズ!』

『進撃!斬撃!突撃!アーマーイングランド!グランド!』

 二人のイリスV2が並び立ち、変身完了と共に両者の複眼が一瞬光輝いた。二人は同時に腰を落として構えを取り、息を合わせて目の前のウラノスに立ち向かう。

 その一方で、レイ達は再びエボルドロイドとの戦いを始めていた。レイが両手をかざして空気中の水分を集め、大波と化してドロイド達に浴びせかける。押し流されたドロイド達を、カグラが両手に握りしめた炎を纏った剣で次々と斬り裂き、両断して破壊した。

「ほら、こっちこっち!」

 別の場所では、城内のオブジェをまるで木の枝のように跳び移りながら、ミュウがドロイド達を翻弄する。ミュウに気を取られたドロイド達にキリアが高速移動で襲い掛かり、次々と破壊した。

 またさらに別の場所では、ソフィアがドロイド達の攻撃を黄色い光の壁で防ぎ、さらに念力を使って敵の動きを封じ、その体を宙に持ち上げた。敵の体が宙に浮くと、ソフィアはデュアルと化して戦うシルフィに叫びかける。

「シルフィ!」

「はい!」

『Read Complete.Be prepared for maximum impact.』

 プラモデライザーにカードを読み込ませ、デュアルは武器に風のエネルギーを充填させた。そしてその力が最大まで溜まると、彼女は武器のトリガーを引く。

『ハリケーンブラスト!』

 放たれた光の矢が、ドロイド達を次々と破壊する。だがまだ残っていたドロイドが、一斉に二人に向かってきた。

『おいシルフィ、オレにも遊ばせろよ!』

「ええ、好きにして!」

 シルフィの同意を得ると、ディアナは体の主導権を握った。そしてドライバーに、自らの変身用カードを挿し込む。

「アーマー・オン!」

『Read Complete.アーマーインライトニング!ライトニング!』

『Read Complete.Be prepared for maximum impact.』

 ライトニングアーマーとなったデュアルが、ハンマーモードのプラモデライザーにフィニッシュカードを挿し込む。雷のオーラを纏わせた武器を振り回すと、彼女はトリガーを引きながら力いっぱい振り下ろした。

『ライトニングクラッシュ!』

「おりゃあああああああああああああっ!!」

 振り下ろされた紫の一撃が、残っていたドロイド達を完全に殲滅した。その爆発音が城内に響き渡ると同時に、塔では二人のイリスV2に向けて、ウラノスがマグナムモードのプラモデラッシャーを連射した。

「はっ!」

「はあっ!」

 二人はそれを大きくジャンプしてかわすと、一気にウラノスに接近してその両サイドから攻め立てた。二人の息の合った連撃にウラノスは押され気味となり、グランドアーマーのイリスV2が繰り出したパンチが右腕に直撃したことで、彼女は武器を手放すこととなった。

「はああああっ!」

 その隙を見逃さず、サンライズアーマーのイリスV2がウラノスに跳び蹴りをお見舞いし、彼女を大きく後退させた。

「おのれ・・・はあっ!」

 苛立ち混じりの声と共に、ウラノスが右手から蒼と黄金色が入り混じった色の衝撃波を放つ。だが誠人が変身したイリスV2がその右手から灼熱の炎を放ち、衝撃波にぶつけて爆発させ、その余波でウラノスの体勢を崩した。

「今だ。行くぞ、ミナミ!」

「はい!」

 二人のイリスV2は互いにうなずき合うと、フィニッシュカードをホルダーから引き抜いた。それを見たウラノスも、ドライバーにフィニッシュカードを挿し込む。

『Read Complete.Be prepared for maximum impact.』

 三人のドライバーから、同時に電子音声が鳴り響く。大きくジャンプした二人のイリスV2に目を向けると、ウラノスはドライバーを再度展開させて必殺技を発動した。

『ウラノスフィニッシュ!』

「はあああああああああああああああっ!!」

 ウラノスはエボルバーの力を全て解放し、その両手から蒼、黄金、白の三色の光線を放った。一方のイリスV2達は誠人が右足、ミナミが左足を突き出し、跳び蹴りの姿勢でその光線を迎え撃った。

「絶対にお前を倒す!リンの夢を・・・守るために!」

「なら私は、誠人さんのために!あんたなんかに・・・負けるもんですか!」

 光線の強大な威力に、二人のドライバーがショートし始める。それでも二人はドライバーを展開させ、同時に必殺技を発動した。

『グランドフィニッシュ!』

『サンライズフィニッシュ!』

 大地と太陽、それぞれの力を足に凝縮させた二人のイリスV2が、光線を押しながら一気にウラノスに迫った。そして二人のキックが同時にウラノスに炸裂し、その体を吹き飛ばして二人が着地した瞬間、彼らのドライバーは限界を迎えてその変身が解除された。

「うっ・・・うっ・・・うあああああああああああああああっ!!」

 吹き飛ばされたウラノスは断末魔の叫びと共に、空中で大爆発を起こした。彼女の死と同時に、城がガラガラと崩れ始める。

「ここは危ない。ミナミ!」

「はい!」

『グランドアーマー!』

 二人は合体してイリスとなると、イリスピーダーを呼び出して塔を駆け下り、なんとか城の崩壊から免れた。いち早く脱出していたレイ達と合流した瞬間、城は音を立ててガラガラと崩壊し、元の砂に戻っていった。

「終わった・・・やったぞ、リン・・・」

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