エピローグ
こうして、三人のエボルバーが起こした一連の事件は、収束することとなった。
全てが終わった後、誠人は採石場に咲いていた小さな花を一輪、城が建っていた場所に手向けた。昇ってきた太陽の光に白い花びらが照らされ、美しい輝きを放つ。
「それ、リンに?」
ミナミが問いかけると、誠人は小さくうなずいて答えた。
「彼女は・・・ずっと自分に問いかけ続けていた。今の自分がしてることは、本当に正しいことなのか、って・・・・・・その答えを見つけた時、ようやく彼女は、自分の意志で道を選べたんだ」
花にそっと祈りを捧げると、誠人は立ち上がってミナミ達の方へ振り向き、深々と頭を下げた。
「皆・・・本当に、ありがとう。皆のおかげで、この事件を止めることができた」
「誠人さん・・・」
誠人に頭を下げられ、ミナミが照れ臭そうに頬を染める。それを見て微笑むと、誠人はミナミ達に言葉をかけた。
「まだ夏は始まったばかり、か・・・・・・なら、今日はこれから、皆でどこかに行きますか!」
その言葉に、ミナミ達からどよめきが起こった。だがそれも束の間、彼女達は一斉に誠人のもとに駆け寄り、思い思いの行きたい場所を誠人に訴え始めた。
「じゃあ、キリアが昨日言ったとおり、海に行こうよ!」
「キリアちゃんずるい!まずは森とか山でキャンプ!」
「流れるプールで一日中泳ぐ、とかどう?」
「そんなの風邪ひいちまうよ。それより、旅館で温泉っていうのはどうだい!?」
「あらあら。皆子供みたいに・・・」
誠人に群がる後輩達の姿に、ソフィアが思わず苦笑いした。
「ですが、たまにはこういうのもいいかもしれませんわ。・・・あなたもそう思うでしょ、ディアナ?」
『へっ・・・まあな』
ソフィアの隣に立ちながら、シルフィとディアナが言葉を交わす。そんな彼女達の目の前で、誠人が大きく声を上げた。
「分かった、皆分かりました。じゃあ・・・皆の希望を順番どおりに回っていきますか!」
「たとえどこに行くとしても、私が常にお供いたします、誠人さーん!!」
誠人の腕を組みながら、ミナミが嬉しそうに声を上げる。彼女にとって熱い夏は、まだまだ始まったばかりだった。
「ベンブリッツ刑事から報告です。以前送ったV2ドライバーが、エボルバーとの戦いで破損したと」
それから、数日後。ギャラクシーガーディアンの船長室で、ジョージが一人の男と通信していた。
「ならば、新しいものを送ればいい。完成品はまだあるのだろう?」
「一つだけですが・・・では、それを地球に送るとして・・・もう一つ報告が」
ジョージは重い表情で、通信機に映る男のホログラムを見つめた。
「エボルバーのイヴが、ガイア刑事に対して語ったそうです。10年前の・・・エボルバーの反乱の『真実』について・・・」
その言葉を受け、ジョージと話していた男がわずかに眉を上げた。それを見て目を伏せながら、ジョージが早口で言葉を続ける。
「オケアノス刑事から、エボルバーの反乱について再調査してほしいと依頼されています。・・・いかが対処いたしましょう?」
「事実の積み重ねが、真実になるとは限らない。・・・分かるな?ガイルトン長官」
「はい・・・では、記録に間違いはないと回答いたします」
「それでいい。では・・・銀河に平和あれ」
「はっ・・・銀河に平和あれ」
互いに同じ言葉を交わすと、両者の通信は打ち切られた。ジョージと話していた左目に眼帯をつけた男が、左腕に着けた装置に別のホログラムを浮かび上がらせる。
「計画は順調・・・・・・あとは、彼の才能が完全に花開くのを、待つのみだ・・・」
そう呟きながら、男はホログラムを見て笑みを浮かべた。彼が見つめるホログラムは、虹崎誠人の顔を浮かび上がらせていた。
ここまでご覧いただいた皆様、誠にありがとうございました。
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今作からご覧になって興味が湧かれた方は、ぜひ『チーム・イリスの事件譚』本編もご覧ください




