表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/39

タイムリープ

 まどかは、頭にひどい頭痛を感じていた。


 思いっきり泣いた事も要因であろうが、それだけではないような気がする。彼女の体には少し火傷のような痛みもある。重いまぶたを開くと、古い民間のような天井が見えた。


「こ、ここは……どこ」まどかは少し眠っていたようだった。なぜか、見知らぬ部屋で布団の中に横たわっていた。たしか、大雨の中睦樹と初めてであったあの民家の軒下でいた時に大きなトラックが飛び込んできて・・・・・・、そこで彼女の記憶は途切れている。ケガでもしていたのだろうか、体には所々包帯と絆創膏ばんそうこうが貼られている。着ていた服も着替えさせられている。彼女が今着ている服は少し大きめの見た事の無い男性用体操服のようだった。


「やあ、目が覚めたようだね」聞いた事のある声が聞こえる。懐かしいその声は、まどかがずっと聞きたかった声であった。彼女の心臓の鼓動が一気に高鳴っていく。まさか、まさか・・・・・・!


 声の主のその顔を見てまどかの両目は見開いた。


「む、睦樹さん……なの?」まどかの、視線の先にはあの日雨の中で死んだ筈の睦樹の姿があった。息をするのを忘れるほどの衝動、強烈な高揚感こうようかんで彼女の胸は張り裂けそうになる。あわや、もう一度気を失いそうな位の衝撃だった。彼女は自分が寝かされていた布団から飛び出したかと思うと大粒の涙を浮かべながら睦樹と思われる男性の胸に抱きついた。もう二度と離さない!そんな勢いであった。


「睦樹さん!会いたかった!夢じゃ、夢じゃないのよね!やっと、会えたわ!!」まどかは、睦樹の身体に顔を埋め大泣きした。それはあの日睦樹と永遠の別れになると思われた時と同じくらいの勢いであった。


「い、いや、違う……!人違いだ!僕は、僕は……違う!」睦樹によく似た男はまどかの両肩を掴みその身体を引き離した。男の顔は真っ赤に染まっていた。


「えっ!?いえ、あなたは睦樹さん、彼に間違いない!!」まどかは大きな声で彼の言葉を否定した。


「そりゃあ、君のそんな大切な人と間違われるのは光栄だけれど、僕は君と会たのは今日が初めてなんだ。それに僕の名前は睦樹じゃないよ」男は頭を掻きむしりながら下を向いた。

まどかが改めて見た睦樹に似たその男の顔はまどかの知っている彼よりもかなり若そうに見えた。きっとまどかと変わらない位の年齢だろうと予測された。


「あなたが、睦樹さんじゃない・・・・・・・、じゃあ、あなたは一体だれなの?!」彼女の思考は酷く混乱している様子であった。


「俺は、近藤・・・・・・・、近藤利樹っていうのだけれど、君が川の傍で倒れていたんで家まで運んだんだ。怪我をしていたから治療と服を・・・・・・・・」


「えっ!あなたが私の服を・・・・・・!」彼女は自分の着ている体操服を目視で再確認したあと顔を紅潮させ胸の辺りを抱きしめながら少し男の顔を睨んだ。


「あっ、いや、服は俺の母さんが着替えさせたんだ。俺は何もしてないから、本当だよ!!指一本触ってないから!!」睦樹によく似た利樹という男は慌てた口調で弁解をした。


 少しの余韻があってから・・・・・・。「フフフフ」なぜかまどかは笑ってしまった。彼といるとやはり睦樹と一緒にいるようで色々な事を思い出してしまう。あのお互いが待ちぼうけされたと思ったデートの後、雨の公園で再会した睦樹の事を思い出していた。


「へ、へへへ」利樹は訳が分からず笑ってしまった。

「う、ううううう」急にまどかの目からまた涙がこぼれ落ちた。利樹は一体どう対応すればいいのか解からず頭を抱えてしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ