伝説 俺の時代は終わった!
寿司職人として、何十年も修行してきた
男!
遠くを見る目をして、少し笑みを浮かべ、その口元からは、声にならない息が何度も漏れた。
小説から現れたように、男前の雰囲気を醸し出してる彼は、シラフのまま、
俺の時代は終わった、と呟いた!
この12月は、寿司割烹職人にとっては、年に一番に、忙しい月!
その彼が、この平日の夜7時に、私達と居酒屋に居るなんて!
子供の頃からの夢をやっと叶え、洋食、和食、寿司割烹での修行から、やっと自分の寿司割烹店を持てた彼。
早朝の仕入から、昼定食の営業、夕方の仕込、夜の会席の営業。
休みなく働いてる割には、
(定年無いし、体力ある限り、好きな仕事だし、頑張っていく)と満面の笑みで、滑舌よく答えてた彼。
なのに、これからという時に、コロナの影響! 仕事のほとんどを奪われた彼。
心無い人に、(飲食店はいいよ。給付金もらえそうだし)といわれる彼。
もちろん、本人にとって、給付金も助かるだろう。
給付金で、この危機を、何とか乗り越えられるかもしれない。
ただ、彼の寿司割烹店での仕事に向き合うスタンス
1 いつもカウンター越しに対面で、お客さまと会話しながら、ひとつひとつ、お勧め料理を出来上がり次第に出したい事。
2 目の前で、お客さまの料理を召し上がった時の表情を見たい事。
3 万が一、料理を残され帰られた時は、再度、何が悪かったのか、理由を考える事。
その結果
1 儲かり度は、低い
2 コロナの影響で、店は、すぐさま自粛を決断
3 今はやりの、出前配送してくれる契約は料理へのこだわりが強く無理、無理
4 頑固だから、職人気質を変えられない
ゆえに、自分の人生をも、せめるしかない日々!
とうとう、居酒屋で、ビールグラスを片手に、赤い顔で、絶叫した!
俺の時代は終わった!