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日記のような物語(ダイアリーテイル)  作者: ミハヤ
「王と  」
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「影絵の鴉」 その1


どうして・・・・・・っ!!



「残念ですが、」



どうして・・・・・・・・・・・っ!!!

目の前には黒髪の幼女の目の前に剣先を向ける赤いパーカーを着た少年の姿、



どうしてこうなったんだっ!



「まぁ、悪く思って下さい」

少年は剣を振り上げる



・・・やめろ



「こんな形で、君を殺すのを」



・・・・・・・・やめろ



そして、少年は幼女に剣を—————————————



「やめろーーーーーーーー!!!!!!!!」











「くっっっっ、そがぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」


ついに癇癪を起してコントローラーを仁に投げ出すロスト

それを軽々しく受け取る仁


「またかよ、またかよまたハメかよ!!!!!」


ビジュアル的にこれがいいからと仁に言われ、オレの膝の上に座っているロストは頭を掻きむしる

まだ朝食も取ってない早朝、オレとロスト、二人が起きた途端に「ゲームしましょ!」とけしかけてきた仁 それに応じる快くロスト


そこまでは良かったのだが、仁がハメにハメを繰り返す仁 頑張ってロストは仁を倒そうとしたが、遂に音を上げてしまった


「もーやだぁ・・・・・・・・ 慰めて、王さまぁ~~~・・・・・・」


少し涙目になりながらオレに縋り付くロスト


「よしよし」


取り敢えず頭をナデナデして慰める

昨日みたいに全く嫌がらない


ホントに可愛いなこいつ


「ところで仁、お前何時からロストの事が分かってたんだ?」


「あ、その子ロストって言うんですね」


「知らないでゲームしよって誘ったのかよ・・・・・・」


「当然ですよ オンライン対戦では基本名前も知らない人と遊ぶでしょう?」


「いやこれリアルフレンド対戦だから」


そんなことをしてると、

「全く、また朝っぱらからゲームして!」


「あ、刹那か」


ドアを開ける音と刹那の声がして振り向くと———————————

「と、刹那からの伝言だ」


そこに居たのは刹那ではなく、茶色いコートに半眼の目をした、中学生くらいの少年と、数名、いや数体か 叛軍人形(レギオンドールズ)たちだった


「ん? え?」

確かにさっき刹那の声がしたんだが・・・・


「朝食だぞ」

無表情な半眼のまま少年は言い、数名の人形たちが朝食を運んでくる


「仁はフレークでいいな」


「ええ、ありがとうございます やっぱり朝は食べやすい物に限ります」


「客人は・・・・・・」

と、少年はこちらを見て、


「む、聞いていた人数と違うな」

何処までも無表情に言う


「まぁ問題ない 客人にフレークとトーストとどっちがいいか聞くために二つとも用意していたからな」

と人形たちがフレークとトーストこちらに持ってくる


「あ、僕フレークで 僕も食べやすい物が良い」


「ちっこいのはフレークだな」


「ちっこい言うな 名前はロストだ」

そう言いながら、ロストはフレークを受け取る


「必然的におっきい方がトーストになるがいいか」


「おっきい方って・・・・・」

そこまで大きいか、オレ?

まぁ、確かにここのやつら全体的に背が低いが


「まぁ、トーストでいいぜ あとオレはレイだ」


「承知した また要望があれば聞こう」

と、少年は部屋を出ようとするが、ふと立ち止まって、


「仁!」

と、無表情のまま、刹那の声で、言う


「たまには外にでも出で、ついでにレイの案内でもしときなさい!」

と、一息ついてから

「と、刹那が言ってた」


「・・・・お前、凄いな」


これが声帯模写というやつか

そしてそのまま部屋を出ようとする少年に


「あ、シザース、自己紹介」

「了解した」


部屋に入りなおして少年は言う

「ディスティニードール・シザース 人形だ」

そう淡々に、命令を全うする人形(ロボット)のように、シザースは言う


「人形なのか」


「どーりでさっきから無表情貫いてると思ったら、人形は無表情で心が無くて無表情が普通だからねー」


「・・・・・・他の人形たちは表情豊かなんだけど」

別の人形たちの方を見ると、 こんな主ですいません とでも言いたそうな苦笑いをしていた


「これでいいな」

そう言ってシザースは部屋から出


「あ、それともう一つ」

「何だ」

仁の呼びかけに答え入りなおして来た


「・・・・・・・何か、これだけで劇みたいだね」

ボソッ とロストは言う


「・・・・・・・そうだな」

本当に仕組んだような動きをするな、こいつ


「それとシザース、この二人の街案内をしてあげてください」


「・・・俺がか」

無表情に、だが声色は呆れたようにシザースは言う


「刹那にお前が案内してやれと言われたのに」


「頼めますか?」

ふと、仁の言い方に何か変なことを感じた気がした


「・了解した」

シザースも反応が一瞬遅れていた気がしたが、まぁ、気がしただけだろう


「それで、今行くか? それとも後で行くか?」


「ふぉへふぁへぇへぇふぁあふぃふ」(これ食べてから行く)

フレークを口に含んだロストが言う


それ、何言ってんのかわから

「了解した 朝食が済んだら広間まで来い そこで待ってる」

通じたんだ、今の・・・・


そうしてようやく今度こそシザースとレギオンたちは部屋を出ていく


「ふぁふぃっふぇ、ふぉんふぁふぉふぉふぉふぁふぉんふぇ?」(それで、街ってどんなところなんだろ?)


「物を口に含んで喋られても分かんないんだけど・・・・・」

取り敢えず、オレもトーストにかぶりつく事にした






「本当に良かったの?」


仁の部屋の中、街へ向かうレイ、シザース、いつの間にかいたロストと言うらしい黒い少女を窓から見送る仁を見ながら問う


「ええ、だって案内とかめんどくさいじゃないですか そう思いません、刹那ちゃん?」


「ちゃん付けするな」


それにそうゆうことじゃない

そう言おうとしたが、


「それに考える時間が少し欲しかった」

仁の声色と口調が変わる


仁がこちらを振り向くと、そこにはいつものおちゃらけた様子など微塵も無い、『最悪の吸血鬼』と恐れられる、輝闇 仁の顔があった


しかし、

「・・・・・・考える時間、って?」


「ああ、考える時間だ」

質問をオウム返しで答え、仁は椅子に座り真っ黒なパソコンの画面を見ながら言う


「率直に聞く あいつらをどう思う」


「・・・・・素直に言って、信用してはいけないと思う」


「あいつが人間だからか?」


「もちろん、それもある」


人間からしたらこちらは化け物なのだろうが、こちらからしたら際限無く欲望を望む人間、そしてその欲望を叶えるこの地にとっては、人間こそが化け物なのだから


「他には?」


「・・・・・・レイと会った時、あれは自作自演だと思う」


「お前が言ってた人影の件か」


そもそも、おかしいのだ 人間がこの世界に迷い込むのもおかしいが、あの人影、あんなものはあそこには居なかった

そして更に、


「それを切ったら、桜の花びらに変わったんだよ?」


「お前の能力、『願いを桜と変える』力、いや能力か」


そう、切った、厳密には願いとして現れた力に触れると桜の花びらに変えてしまう能力

つまり、あの人影は、生物で無く、能力で誰かが作り上げた物だと言う事になる


「能力、能力ねぇ、  しっかし、願いが叶うのは人間限定で、だから人間を化け物呼ばわりするが、オレたちはもうすでに願いによって作られた化け物のくせに、笑えねぇなぁ」


くつくつと、笑いながら仁は言う


「それに能力って言い方も、願いが叶う=能力が与えられるってのも、まるで取って付けたような詭弁な言い回しな感じがまた 全く、この世界はちぐはぐだなぁ」

ひとしきり笑い、「だが」と仁は、


「こんなちぐはぐな世界でも、此処はオレの居場所だ」

ほんのり、仁の周りの景色が歪む 仁の周りに陽炎が浮かぶ


「・・・・・・・殺す?」

背中の日本刀の重みを感じながら、言う


怪しい者は殺す 少しでも疑惑があれば、消す そうゆうやり方で今まで生きてきた


「そうだな・・・・・・・・・・」

段々と部屋が熱くなり、仁の体の所々から炎が見えるようになる


これは本当に殺さないといけないかもね

少し緊張しながらそう思った


何せ、得体の知れない人間を殺さないといけないとなると、何が起こるか分からない

その緊張を読み取ったのか、仁は吸血鬼らしく、夜の帝王と呼ばれてもおかしくないような笑みを浮かべて、

そして、


「う~ん、どうしましょうか?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・」

さっきの不陰気が嘘のように、そこにはただのヒキコモリ、輝闇 仁が、そこには居た


「なぁ、せめていきなり不陰気壊すのは止めよう?」


「そんなこと言われましてもね・・・・」

と、仁は困った笑みを浮かべて言う


「あの二人、多分何も企んで無いですよ?」


「・・・・・何?」

そんなはずはないだろう と思うが、


「レイは不思議なほど判るし、ロストはおかしいほど判らないんですよねぇ」

仁はため息を付きながら 少し楽しそうに 言う


「・・・・仁の能力でも、って事?」


「ええそうです レイは人間です 一切変化のない人間です」

確かにそれは不思議だ ここでは願いが叶えられるのだから、何かしらの変化はあるはずなのに、それが一切ないと来た


「ロストの方は、おかしいほどに情報が一切判らない」

仁の能力を持ってしても判らない人物、明らかに怪しいが・・・・・


「だから一緒にゲームをして、見たんですが・・・・」

うーん、 と仁は自分の顔をもみながら言う


「どーにも何か企める性格してないみたいなんですよねぇ」


仁が言うならそうなのだろう 仁の生き物、特に人間へのの目利きは随一を誇る


「ま、だから様子見ですかねぇ」

と、仁はパソコンを立ち上げようとする


思わず小言を言おうとした時、

何故か仁はため息をつき、立ち上げるのを止めた


「ど、どうしたの・・・・・・?」

思わず訪ねてしまった 仁が自分からゲームをしないなんて中々無いことだからだ


「いえ、別に・・・・・・・」

と、仁はもう一度ため息を付いて、立ち上がる


「やっぱりレイたちに付いて行って見ます」


「ほ、ほ、本当にどうしたの??」


もしかして何かされたのか? そう思ったが、

「いえ・・・・・・、ロストとのゲームは、ちょっと楽しかったなー、って思って」

少し寂しそうな、仁の顔


「・・・・・・・・そうか」


そんな言葉しか言えない自分に、少し腹が立った

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