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日記のような物語(ダイアリーテイル)  作者: ミハヤ
「王と  」
17/129

「偽るは城壁の道」 その7


「仁」

そのかけられた言葉に目が覚めるような感覚を覚える


ふと気が付けば、いつの間にそこに居たのか、シザースだけが居て、レイとロストの姿が無かった

「・・・・・・・・また逃げられましたか」


自分を落ち着かせるため、この口調で言う

今度は眷属に追跡させていないので完全に逃げられたことになる


「してられたな」

そう淡々と肩を竦めながらシザースは言う


これはシザースが言ったように本当にしてやられた

思わず頭を掻いてしまう


・・・・・それにしても、あの時の『それ間違ってるよ』は明らかに嘘はついていなかった

その時のロストの呆れ顔、いやあれはホッとした時の顔と言うべきか? その顔を見れば一目瞭然だった


「だとしたら、うーむ・・・・・・」

一体何が間違っていたのだろうか 流石にこれ以上は予想が立てられない

こればかりは本人に問いただすしか、無いか・・・・・・・


「さて、どうするか・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・えっと、シザース?」


「どうした」


何故かシザースの様子がおかしかった いや、見た目とかは全く変化は無いのだが、

「えーと・・・ 何時もなら『叛軍人形(レギオンドールズ)で探そうか』とでも言うと思ったのですが・・・・」


そう、何時もなら忠実な人形シザースはここで探すことを催促してくるはずだ なのに

「鬼ごっころしてくると刹那には言ったそうだな なら一人で頑張れ」


ズルはするな とでも言いたいらしい

「それはそうですが・・・・・・・」


確かにそれは自分で言った事だし、ゲームと自分で宣言したんだから何か筋は通ってるっぽくみえるのだが・・・・・

何故かシザースの様子がおかしい やはり見た目は変わらないのだが、何というか言動が変だ


「・・・・・・もしかして、シザースもレイとロストに逃げてくれと思ってます?」


「何の事だ?」


「・・・・・・・はぁ」

文の後ろに疑問符が付いている言い方 明らかな図星だった


ったく・・・・ どいつもこいつも何で唐突にレイらを庇いだすんだ? そもそもお前らが一番疑心暗鬼に、あいつら信じて無かった癖に・・・・


思わずはぁー とため息が出てしまった

「しゃーね 自分一人で探して、そして殺すか」


さて、どう探すか・・・ オレが歩き出そうとしたその時、

「仁」


「・・・・・・何だ?」

まだ何か言うのかと睨みを聞かせて言う しかし、シザースはもろともせずに言う


「一つ疑問なのだが」


「何だ?」


「何故殺そうとするんだ?」


「・・・・・はぁ?」

訳が分からず思わず顔をしかめる


「レイとロストを殺す意味はあるのか?」

何故そんなことを問いただすかが意味が分からなかった


「何故って、それは———————————————」

ふと、気付く ()()()()()()()()()()()事に

と言うかそもそも――――――――


その事に気付き、

「・・・・・・シザース」


「どうした」


思わずボクは手を額に当てて言う

「これは、本当に殺さないといけないかもしれない」

大変なことに気付いてしまった


「・・・・・・なに?」

こればかりは驚いた表情をつけるシザース


「命令だ 人形を使ってロストを探せ」

そう言った後、やつあたりすように小石を蹴って呟く


「ロストを何とか元の世界に帰すように説得しないと、」

と、ため息を挟んで、吐き出すように言う


「本当に殺さないといけなくなるぞ」


「・・・・・・・・・・」




あいつは、あいつだけはあいつだけは危なっかしすぎる・・・・







「・・・・・ここなら暫くは大丈夫かな?」

真っ暗な、なのに明るい洞窟の中でロストは言う


「にしても、どうゆう事だ?」


「企業秘密」

真っ暗なのに岩の輪郭も、地面も、ロストの笑っている顔も姿も見える どうゆう原理か全く見当が付かないこの技は企業秘密らしい


が、

「そうゆう意味じゃない」

そうゆ意味でどうゆう事だと尋ねた訳では無く、


「僕と王さまの関係性のこと、だよね」

分かってるよ と、半ば諦めたように笑ってロストは言う


「結局、何なんだよ・・・・・・・」


「それはどうゆう意味で?」


「全部」

全部、全部だ 全部何もかも意味が分からなかった


「なら、その全部を一つずつ分かるように解説しようか?」


「・・・・・今まで隠していたのに、どんな風の吹き回しだ?」


「うーん、まぁ、強いて言うなら嵐のような風の吹き回しかな」

と、もう完全に諦めているのか苦笑いのような笑みを浮かべて言う


「嵐のような風がやってきて、隠してたこと何もかもが吹き飛ばされて、もう諦め気味って風かなー」

その場で、固い地面に寝ころびながらロストは言う


「ま、そうゆう訳だから、質問があるなら、どうぞ」


「なら、まず一つ目だ」


これはまず最も確認したいこと

「本当に、オレたちの関係性はいじめっ子といじめられっ子なのか?」


「合ってる、と思う、よ?」


「何だその曖昧な返事・・・・・」

答えるって言った手前はぐらかすなよ


「いや、本当に分からないんだ あ、誤解されているなら先に訂正するけど別に僕が王さまを虐めていた、逆に王さまが僕を虐めていたとかでは無いから」


「あ、そうなのか」

その言葉にはホッとする だがすぐに「ん?」となる


「あれ、さっきはそれが真実だっていってなかったか?」


「あー いや、それは僕は僕で勘違いをしてたから」

ロストはため息を付きながら言う


「あんなにすべてを知ってる様な口振りをしてるから全部知ってると思ってたんだが・・・ ま、これはこれで好都合だからいいけど」


「つまり、仁の言っていたことの大半は真実だが、核心は間違っていたってことか」


「そゆこと」


ちょうどフリスビーをUFOと見間違えたような感じで、その人にとってはUFOを見たと信じている為嘘は言って無いし嘘発見器にも引っかからないような感じのような物か


「成る程、途中ロストの言葉に違和感があったのはその為か」


「違和感? 僕の言葉に?」


「うん、何と言うか・・・ うん、何ていえば良いんだろ? 何というか・・・・」


「仁のヘタクソな説明のせいで王さまも説明がヘタクソになっちゃった?」


「ヘタクソヘタクソ言ってやるなよ・・・・・・」

まぁ、確かに仁の説明は下手で、何故か途中論点がズレていたりテンション一人で高くなったりしていたが・・・


「って、そうだそれだ お前の言い方がおかしかったんだ」


「言い方?」


仁はオレたちの関係性をいじめっ子といじめられっ子と考え、オレがいじめられ、ロストがいじめていたと考えて、そして話していたはずなのに

「お前の言い方だと逆になるよな」


「逆?」


「そう、仁の見立てではオレがいじめられる側だったのに、ロストの言い方だとまるでロストがいじめられる側みたいな言い方だったが」


「あー・・・・・・・・」


『周りから噓つき呼ばわりされて、誰からも信用出来なくなって、そしてついには誰も信用しなくなって、家に引きこもるようになった』

そう、出来なくなって、である 


普通、他人の気持ちを言うなら『信用しなくなって』のはずだ

それなのにロストは『信用出来なくなって』と自分の事を言っているかのように言っていた


「やっぱり、お前は虐め「そこは、」

と、ロストはオレの言葉を遮って言う

「そこは、まだ言わない」


「なら、何時(いつ)言うんだ?」


「出来ればずっと言いたくないんだけど・・・・・ まぁ、言うとすれば、きっと次に仁に見つかった時かな?」


そう言って唐突に起き上がり、オレに近づき、また寝ころぶ オレの膝を枕にして

やっぱり地面は寝心地が悪かったらしい

それと同時に、この手の話はお終いという事だろう


「・・・・・これからどうする?」

これ以上何一つ言わなそうな雰囲気を感じ、仕方なくそれに合わせて言う


「んー、 暫くはここで身を隠して、 うーん、暫くってほど此処で身を隠せるかな・・・・・・ かと言って下手に動くのもな・・・・・・ うーん、どうしよ」


かなりの無計画ぶりだな、大丈夫かそれ?


「まぁ、明日の事は明日考えれば・・・・・ ふぁ~~~~~・・・・

と、大きな欠伸をするロスト


「・・・もう外は夜になってるのか?」

この洞窟に入った頃はまだ少し日が出ていたはずがだ、何分真っ暗な洞窟の中な為どうも時間間隔が変になる


「と言って、もまだそれ程夜中じゃないと・・・ 思う、けど・・・・」


「・・・・・・・・・ロスト?」

ふと、ロストを見れば、 すぅ、すぅ と寝息を立てていた


「・・・・疲れたんだろうな」

ロストの真っ黒な髪を手で梳く

ロストは少しむづかるようにしていたが、起きる気配はない


「あ、夜食どうしよ・・・・・・」

そういえばまだ夜食がまだなのだが、もう夜かどうかは知らないが  と言うか、朝食すらままならない状態なのだが・・・


「まぁ、いいか」


ロストが言ったように、明日の事は明日考えればいい

そう思い、取り敢えずロストと同じように眠ることにした



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