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日記のような物語(ダイアリーテイル)  作者: ミハヤ
「王と  」
15/129

「偽るは城壁の道」 その5


「オレたちを、返す? 元の世界に?」


「ええ、そうです」


お使いから帰るなり書籍室に呼ばれ行くと、心配そうな顔の刹那と楽しそうな顔の仁

そして部屋に入るなり仁に言われた


あなたちを元の世界へ帰します と


「急にどうしたの?」

そう答えるのはロストだった


「あなたたちは元は現実世界の人間、ちゃんと元の場所へ帰るべきです」


「・・・・・そうか」

自分でも思う 妙に他人事のようだった


記憶が無いからかなぁ

まぁ、そう言われたのなら受け入れよう

仁の事だ きっと何か事情とかあるのだろう


「ロスト、お前もそれで「ダメ」

特に何も無く裏も無く、明日の天気でも言うように言うロスト しかしオレには見えた

一度、ダメと言う前に浅く深呼吸していたのを

そしてもう一度浅く深呼吸したのち、 「ダメ」 ともう一度言ったのだった


「理由をお聞きしても?」

目を細めて仁は言う いや、威嚇して、の方が正しいだろうか


「・・・・・・そんなの、決まってるじゃん」

少しうつむきがちにロストは言う


そのせいで表情が見えなくなる

無表情なのか、はたまた笑っているのか、はたまた怒っているのか、ここからはうかがえない


数舜の沈黙が流れる

ふと刹那を見れば、刹那もロストの表情を伺おうとしていた

そして刹那も同じようにこちらを見て、刹那と目が合いお互い気まずそうに目を逸らす様にロストを見る


「決まってるじゃん!!」

意を決したように顔を上げてロストは言う


「そしたら色んなゲーム出来なくなるじゃん!!」


「「それだけかよ!!!」」

思わず刹那と一緒に叫ぶ  理由しょっぼ!!


「だってそうじゃん! ここには最新のゲームが一杯あるのにどうして出ないといけないの!? 折角のゲームパラダイスを!?」


「なんだそんなことですか」

ニコニコと笑いながら仁は言う


その承知の上みたいな仁の態度を見て少し安心する

あ、此処はゲームを渡してロストをどうにかするとか そうゆう展開な

「思いつめた振りしてして考えた言い訳がそれか」


「・・・・・・っ」

その言葉で間違いに気付いた

ニコニコと、では無い ニヤニヤと、下げづむような笑みで仁は言っていた


「・・・・・・・・はぁ やっぱバレるか」

ため息を付いて、降参するように両手を挙げるロスト


「ボクがゲーム馬鹿だからと言ってもそう易々とその話題に食いつくとは思わないで欲しいですね エロおやじじゃ無いんですからね、ボクは」


「うーん、やっぱ仁をそう簡単に騙すことは出来ないか」


「ええ、出来ませんよ」



・・・・・・・・・・・・・なんだ?

何故か、冷や汗が出る



「ところで、何で元の世界ね帰りたく無いんですか? 二週間だとそろそろホームシックになる頃でしょう」


「ん? あぁ、ちょっとね、懸念事項があるんだ」


「懸念事項、ですか?」



何なんだ??

ただの会話のはず、ただ二人がお喋りしているだけのはず、事実ロストと仁の雰囲気はそんな感じなのに



「そそ、懸念事項」


「ほう、それは気になりますね して、その懸念事項とは? 良ければお手伝いしますよ?」


「ふふ、ありがと! やっぱ仁は優しいね」


「それ程でもありますよ」



そんな普通の会話なのに、何でだ・・・・?



「なら、聞いてもらってもいい?」


「ええ、どうぞ」



何で、まるでお互いの黒い腹の探り合いのような緊張感があるんだ??



「それがね・・・・・・・」





唐突に、一瞬立ち眩みを起こしたかのように視界が真っ暗になる

その後気付けば

「・・・・・・・・え?」

森の中、きっと最初に倒れていた森だろうか、その中をロストに引っ張られて歩いていた








いつの間にか、書籍室でレイとロストの姿は無く、仁と二人きりになっていた


「逃げましたね」

きっと、いや絶対に予想していたのだろう特に何も無く気楽に言う仁

取り敢えず逃げてくれた事にはホッとする


「・・・・で、で、どうするの?」

そのホッとした事を誤魔化す用にそう仁に尋ねる


「何で少しホッとしてるんですか?」


全く別の返答が返ってきたどころか全て見透かされて思わずギクリとする


「・・・・・・・・・・・」

何も言わない、いや、何も言えない何も言いたくない

半分は下手に何か言って仁を刺激したくなかったから、

・・・・もう半分は、自分でも良く分からなかったからだ 自分でも、何でホッとして、何で誤魔化そうとしていたのか、分からなかったから


「ま、いいでしょう」

口調の見た目はいつものヒキコモリ仁なのに、何故か最悪の吸血鬼のような迫力がある (げん)に、


「さて、鬼ごっこの時間ですね」

楽しそうに笑って言うが、目は全然笑っていない


「で、でも、ロストは隠れるの得意そうだから見つけるのは結構難しそうだけど、だから探して来る・・・・」

何故か自分の中で仁を止めたいという感覚に気付かず思わずそう口挟んだが・・・・・


「・・・・あのさぁ」

チラリとこっちを向く仁  その動作だけで思わず背筋が伸び、凍る


「オレを誰だと思ってんの?」


今すぐここから逃げたい

最悪の吸血鬼の、最も見たくない、向けられたくない感情の一つ


「オレは本物の吸血鬼だ 偽りの吸血鬼(あのザコ)が、いっつも俺とのゲームで負けてるヤツがオレに敵うと思ってんのか?」


「う、ううん! 別にそうゆう訳じゃなくて・・・」


「・・・・・まぁ、いいか んじゃ、とっととゲームを始めるか」

不機嫌  その感情の時が一番仁がイラつくタイミングで、不機嫌そうにため息を付いて言ったのだった

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