混乱が招いた混乱 その3
「ま、とにかく方針決定をシマショウ」
無駄話を切る為にパチンとマスターは手を叩く
「マズ第一に、イドル… と言うよりアインさんのお願い、『全面戦争の阻止』は受けるか受けないかですが……」
「出来るかどうかはさて置くなら、僕は別にやっても構わないよ どうせ暇だし」
ゲームでもするような感覚でロストは言う と言うより事実ゲーム感覚なのだろう
不謹慎な… とも思うし、それはそれで心に余裕があって頼もしそう、とも感じれる
「アタシも良いわよ? もしかしたらアタシの美しさでその戦争を止めれるかも」
何と言う傲慢…… いや、この人はこうゆう人だと割り切ろう、とにかくアリスも賛成らしい
「で、ワンちゃんはどうするの? 別に此処でロボット達とお話したままでも良いのよ?」
アリスなりの親切… という事にしておこう
アタシは面白そうだからやるけどアナタは無理に付き合う必要無いのよ と
「……そう、ですね……」
私は数舜考えて、
「……やっぱり、行って見ます 私がどう役に立つのか分かりませんが、知ってしまった以上無視は出来ません」
「人間ですネー」
ため息を付きながら自称マスターは言う
まぁ、言わんとすることは分からなくも無い アリスが言った通り、これは付き合う必要なんて一切無いのに、それでも気になってしょうがないからつい同行してしまう
正しく、人間っぽい行動だった
「おんにきる」
ペコリ、とアインは頭を下げる
「ア、一応自称マスターさんは此処に居ますから、何かあったら戻るようにして下さい」
「お客来ないのに此処で店番する必要はあるのかしら?」
一緒に来い、とは言わない代わりに嫌味を言うアリス
そしてやれやれと言った感じで手を肩まで上げる自称マスター
「で、どうやって止めんの? マジで僕分かんないからね」
「それはしかたがない とりあえずげんちにでもいってかんがえよう」
と、アインはそう言うが…
「あの…」
「なんだ」
「その、コロニーに行った時、私たちとアインが一緒にいたらダメなのでは…?」
「あそうだ だめだ あどうしよう」
やはりその問題点を考えていなかったアイン まぁ、成り行きなので仕方が無いと言えば仕方ないのだが
「そうねぇ… ロストちゃん、何とか出来ないの? 『偽装』のはアナタの十八番でしょ?」
「んー、そんな事言われても……」
と、ロストは頭に手を当てて言う
「アインを人間に偽る事は出来る」
……もう突っ込んではいけないのだろうか…
「でもー…… 僕らをイドルに偽造は、まぁ、まだ出来るかも知れないけど… AIには絶対無理」
何でも出来そうなロストだったが、流石に電子相手には無理らしい
「一応おさらいするけど、虚栄の城壁である僕の能力は『偽る』、『騙す』事だってのは覚えてる… って、知ってるのアリスと自称マスターくらいか……
ま、とにかくそうゆうのが出来るの さっきからやってるのもそれ アインの服を出したのも誤認からなるんだ 『元から服を着てた』という偽りが、誤って本当になる、そうゆう能力なんだけど…」
「なにかけっかんがあるのか?」
「欠陥と言うか…… 何と言うか、どうすれば良いか分かん無いんだよ……」
頭を掻きながらロストは言う
「だってさ、AIを騙すって何? 機械的な物を騙すってどうすれば良いんだよ
流石に指紋や声帯や見た目を騙すとか無理だからね あくまで僕のは偽り、誤認だ 流石に明らかボタンを押して警報装置作動してるのに『いえ僕押してませんよ』なんて嘘通じないからね」
「まぁ、そうよね 生もの肉体で『アタシAIです』何て言っても説得力以前の問題よね」
「うん、それで、何でイドルを騙すのは難しいかもって言ってるかなんだけど………」
と、ロストはアインを少し避けるような目で
「その気色悪い皮膚の構造、と言うかイドルの生体構造ってどうなってるの? 流石にそれ知らないとどうしようも無いんだけど」