ユーザーチェック その7
「…………(もぐもぐもぐもぐ)」
「…クローンでも、やっぱ食べるんですね」
「くろーんではない、あいんだ」
ロストが人質に取られ、来ること自体有り得ないと言われた者が何を要求し出すかと思えば、単純に食事だった
「ちょ、食べカス! 僕に散ってる!」
未だにクローン… アインと言うらしい子の腕の中で人質をしているロストは、余りに汚いアインの食べ方の犠牲になっていた
「………で、アナタ何でこんなところに居るのよ 自称マスターの話によれば、こんなところにアナタみたいなのが来るなんておかしいらしいけど」
「じしょうますたー」
「はい、自称マスターです」
ニコリと愛想良く笑う自称マスターを胡散臭い目でアインは見る
「ねこみみはえてるおまえのほうがおかしい あきらかそれあとづけとかそうゆのじゃねぇだろ なにものだてめぇ」
「ま、何でもイイでは無いデすか」
「よくねぇだろ というかいまさらだがなんでにんげんがいるんだよ すぺーすからにげだせるなんてはずないはずだが」
「スペース? ナルホド、あの最先端的なモノはスペースと言ウンですね」
「そんなこともしらないのか もしかしておまえらちていじんとかか?」
自称マスターとアインとの会話が続く
このまま自称マスターは情報を聞き出すようだ
…とは言っても、食べながら話すアインをイヤそうに顔をしかめるロスト以外、私とアリスは少し首を傾げていた
「あ、あの…… 少し言いにくいんですが……」
「アナタたち、口調どうにかならないの? マスターはともかく、アイン、アナタ凄い聞き取りづらいのよ」
外国人っぽいイントネーションの自称マスターと赤ちゃんっぽいイントネーションのアイン、この二人の会話が聞き取りずらい事この上ない
「そんなことをいわれても、はなせるげんごはこれしかはなせない」
「なーんかいつか橋と箸みたいな聞き間違えしそうだな」
飛んできた食べかすを弾きながらロストは言う
「ま、どうにかがんばってくれ なれればどうにかなるだろう というか、ふつうひらがなだけのほうがよみやすいはずなのだが… ほら、にほんじんだってえいごよりもろーまじのほうがおぼえやすいだろ」
「いやまぁ確かにそうですけど……」
いや、行ってる事は分からくも無いよ? 確かに無いんだけど……
「それ、用はアニメは情報量多いから十本アニメの方が見やすくて好きって言ってるような物だぞ、色要らないのかよ、色」
「だから分かりずらいって例えが… と、言うより、そろそろ本題に入りましょうよ、アインさんも食べ終わった事ですし」
喋るながら食べていたアインがごくりと最後の一飲みをしたところで本題に入る
「で、あいんがここにいるりゆうだったな」
「そうデス、何故こんなところに?」
「たんじゅん、たすけてほしかったのっだ」
食べ物を食べて落ち着いたのか、はたまたさっきの無駄な会話で少しは信用してくれたのか、ロストを手放してぺこりとお辞儀をして、
「たのむ、せんそうをとめてくれ」
いや… とアインは首を振り、
「せんそうをおこさせないようにしてくれ、せんそうでへいわをとろうなんてまちがっている」