一時的な為替
「……とまぁ、こんな感じですネ」
パタンと本を閉じてミハヤは言う
「……本当に冒頭と終わりだけの登場って何か忘れて無いよね? ってキブンになるんですね」
何処か楽し気にミハヤは言う
「まとめとしては、ミユさんにとってはお金よりも命、という事でしたね ま、その大切な命はもう無かったんですがね」
………悲しい話しだった
ミユはお金と命のどっちが大切かと問われて、命が大切だと、生きているという事が大切だと答えたから、その大切な命、大切なパートナーの命を奪われたという事になる
「しかも、それに気づかなかったら大切なトラサさんを失う事も無かったのに、ですネ」
……でも、それだと………
「エエ、言いたいことはわかりますよ それだとトラサさんに会えなかった、ずっとあの名前不明なあいつにさん怯えながら生活していただろうって
ミハヤさん的に言わせてもらうと、ミハヤさんはずっと怯えた生活でも良かったと思いますよ」
ミハヤは何処か曖昧、と言うよりなんだが複雑な笑みで言う
「お金はいくら捨てたってかまわないですからね と、言うより、お金の凄いところは全く無くならないところです」
いやいやいや、お金は使えばなくなるだろ 使えば無くなる、手元から無くなるはずだ
「それはあくまで手持ちから、デス お金はいくら使っても質量的には無くならないでは無いですカ 消しゴムみたいにすり減る訳でも無く、食べ物みたい二分解されるわけでも無く」
そう言うミハヤは未だに複雑な笑み
「それでも何故か経済的にお金がどんどん減って行って新たな札紙を発行しないといけないってのが、何だか不思議ですよね まその理由は外国人が国外に持ち出したり誰かが使わず溜めこんだりしているから、もしくは無い金で取引、為替や借金ですね、をしてるからなんですけどね
無い物すらお金で取引できる いやはや、中々怖いですよねー」
何だか楽しそうにミハヤは言う
「ま、それは良いとして、これからどうすれば… 適当に何か話したしこれで締めれば良いのかな? 実を言うと終わりはどうすれば良いか未夜さんから聞いてな「とぉ!!」ぐぎゅ!?」
「やっほー、未夜ちゃんだよー」
ミハヤを踏んで現れたのは、黒い長髪に真っ黒な和服に茶色い肌見た目黒真っ黒な猫又少女、未夜だった
「って、ミハヤは何処? もしかしてもう終わらせてた?」
「シタ! 下です未夜さん!! あとまだ終わらせて無いですよ」
「あ、そこに居たんだ」
そう言って一回ミハヤを踏んでから降りる未夜
「なぜ一回踏んだんですか………」
「何となく それよりもまだ終わって無くて良かったー」
安心するように未夜は言って
「それでは皆様にご報告、ちょっと一旦朗読は終いにするね」
「あら、止めちゃうんですか?」
「一旦だよ一旦 ちょっと今面白い事を思いついたからその準備と運営に忙しくなるから一旦休憩」
と、未夜は姿勢を正して
「では、唐突ですみませんが、一旦完結とさせてもらいますね
黒い猫が歩き去り、カーテンコールを告げるしろいねずみが舞台に上がった テイルはこれにて幕を下ろす
それじゃ、またね!」
いつもの様に、唐突に居なくなる黒猫であった