終わりの報酬
登場人物
ロスト 二つ名 虚栄の城壁 (ヴァニティ・キャメロット)
黒い短めの髪と黒いパーカーがトレードマークの幼女
本当に幼女なのだが中身は冷鵺 (男)
設定として吸血鬼のハーフ
レイ 二つ名 反王
ふんわりした感じの男の子
体としては冷鵺なのだが中身は別物
時杯 優鬼 二つ名「ズレにズレた時間」
割と強気な男子一年生
この中では常識人タイプ
三鏡・グレモリーゼ・リアス 二つ名「鏡国の住人」
転校して来たばかりのハーフの金髪女子二年生
結構おしゃれ好き
アリス 二つ名 鏡の中の歩行者
見た目まんまアリスの少女、リアスのドッペルゲンガー
鏡の中を移動できる
輝闇 仁 二つ名 最悪の吸血鬼
人間と吸血鬼のハーフの男の子
二面の顔を持ち、間抜けな感じがする時一人称は『ボク』、怖い時には『オレ』となっている
「最近レイ君が学校に来すぎじゃ無い? レイヤ君……ロストちゃん授業付いて来られるのかな?」
「んー、どうなんだろ」
現在、冷鵺 (レイ)とリアスと俺ことユウキでいつも通り放課後に仁のところへ向かっている中のちょっとした雑談
このところロスト(冷鵺)がこっちの世界に来て色々やっている事が多い 一応一般的な俺らとしてはやっぱ出来るだけ学校に来て欲しいとは思う おまけに前まで不登校のヒキコモリだったら尚更だ
「しかし…… 結局深月の事はどうなったんだろうな」
最終的に深月がどう判断を取ったのか、そのままにしておくのか仁に頼んだのか全く聞かされていない
「深月ちゃん、と言うよりミユの事だと思うけど、どうなったんだろう?」
「きっともう解決してるんじゃないの? ロストちゃんが今日休んだ理由もそうなんじゃない?」
「あー、そうか」
確かにリアスの言う通りかも知れない よく考えればあの妙に律儀で真面目なロスト、冷鵺が理由も無しにレイに普段の生活を預けるはずも無いか
きっと仁の部屋に行けば清々しい気分のロストが一仕事終えて戻ってるかもしれない
「んじゃ、とっとと仁のところに行くか」
そして俺たちは少し早足で仁のところへ向かい、
「おーす、じ———————ん………?」
「……………」
「……………ふぅ…」
何だか元気の無さそうなロストとアリスの二人
ロストは頭を垂れて反省しているような絶望しているような、アリスは頬杖を付いてため息
今度は何があったんだよ…………
「あ、こんにちわ、色々さん」
「いや略すな、てか三人をまとめて色々とか言うな」
「まぁ、ええ、はい……」
二人に続いて何だか元気の無さそうな仁
「……何があったんだよ」
何だがデジャヴ感を覚えながら尋ねる
「何かヤバい事があったのか? その、ミユの大切なヤツが実はもう無かったとか」
「……そっちの方がまだマシだったかも」
ポツリとロストが呟く
「………そうねぇ」
少し気だるそう、と言うより諦めた感じでアリスは言う
「まぁ、感動と言えば感動なんじゃないの?ああゆうの 童話であんな展開見た気もするけど」
「確かに、ありましたね それ」
脱力しきった苦笑いをしてから仁
「とりあえず、どうなったかは話しますね けど、このお話は深月ちゃんにはご内密に」
「あ? 何でだ?」
「聞いてりゃ分かりますよ」
そう言って仁は話す
「結果から話しますと、きっちり悪徳なヤツを拷m懲らしめてやりました」
「いや待て今拷問って」
「ミユさんにケガも無く、ミユさんが取り返そうとした物も傷はありませんでした それからミユさんも別に意気消沈したとかもありませんでした」
「おぉ! 結果良かったじゃねぇか! 大切な物も無事だったし、ミユに問題も無かったんだな」
これは何よりだった ミユも無事、取り返したものも無事、考えうるハッピーエンドのはずだ
「うん、まぁ、良かった、です ね………」
しかし仁はかなり言いづらに歯切れを悪くする
「まぁ、無事、と言えば無事なんでしょうね、元からそうだったんなら」
「あ?」
「うん、確かに無事でしたよ? 無事と言えば無事でしたよ ミユさんも確かに問題は無いです 目立った異常は無いですよ?」
仁にしてはかなり珍しく物凄く歯切れの悪く、言っていいかどうか考えているようだった
「……何があったのかな?」
何か察したようでレイは声のトーンを落として言う
「一体みんな何を見て来たの? 一体、ミユは何を取り返そうとしてたんだ?」
仁、ロスト、アリスの三人ともが目を逸らす だが、やがてロストがポツリと呟く
「……それは、ミユが一番大切に思ってた物」
覚悟を決めたようで、ロストはしっかりこちらを目で捉えて言う
「それは、もうご存知、ミユの昔の相棒、多分彼氏のトラサだった」
「あ、そうなのか それはマジで良かったじゃん! 頑張ったお陰でミユは彼氏と感動の再開に………」
と、思えるほど楽観は出来ないよな、三人のこの表情を見たら
「………死んでたの? そのトラサさん」
リアスがためらいがちに尋ねる
「うん、死んでたよ」
「……………」
それは、確かにためらいがちになるよな…… 俺も一度死を目の前で見た事があるし、確かにそんな気分にもなるだろうって今更ながら三人の気持ちを思……
「最初から」
「は?」
え、何? 最初から………?
「ミユが取り戻そうとしたのはね、トラサの死体だったの」
「……………」
「しかもね、その死体、年月が経ってるはずなのに結構キレイで、だから多分、何か特殊な加工でもしてるみたいで…… そんなの出来るの、白錬屋の、加工屋のミユしか出来ないと思うんだけど…… と、ともかくね………」
そして、ロストは言った
「ミユは、多分相当昔から頭が、精神がヤバかったんじゃ無いかって三人で話してて
だってそうだよ 大切な人の死体を超高額で買い戻そうとずっと躍起になってるって、もう取り戻せない物を取り戻そうとしてるなんて、ヤバいと思わない?」
「…………」
最早声が出なかった 前、ロストにこう言われた事があった、 僕から言わせれば死んだ人にそこまでこだわる必要は無いと思うんだけどね 、と
この話に沿って言うとミユは、あまりにも死んだ人にこだわり過ぎた狂人と言う事になってしまうのか………
「ところで、白雪姫って知ってるかしら?」
唐突にアリスが口を開く
「あの有名な毒リンゴ齧って死んじゃった姫様が生き返る話よ」
「それは、まぁ………」
「それでその話に出てきた王子様、確か死体になった女の子、白雪姫を小人から貰おうとしてたわよね」
「…………」
「いくら死体に見えない程みずみずしかったとは言え、動かない死体なのよね…… よく考えるとその王子様も中々無いヤバい人よね」
そしてリアスはため息を付いて締めくくる
「まさか、白猫ももしかしたら彼氏が生き返るんじゃ無いかと思って頑張って取り戻そうとしてたのかしらね? 案外奇跡を信じるなタイプだったのかしら?
奇跡に、大当たりのジャックポットを信じてずっと賭けをしていたのかしら」