朱狐の運命操作(クローズベット) コイン一枚目
登場人物
深月
朱い毛並みの獣人の女の子
白錬屋の店主、ミユに拾われて住み込みで働いている
ロスト 二つ名 虚栄の城壁 (ヴァニティ・キャメロット)
黒い短めの髪と黒いパーカーがトレードマークの幼女
本当に幼女なのだが中身は冷鵺 (男)
設定として吸血鬼のハーフ
アリス 二つ名 鏡の中の歩行者
見た目まんまアリスの少女、リアスのドッペルゲンガー
鏡の中を移動できる
輝闇 仁 二つ名 最悪の吸血鬼
人間と吸血鬼のハーフの男の子
二面の顔を持ち、間抜けな感じがする時一人称は『ボク』、怖い時には『オレ』となっている
「ほんとうにいいんですね?」
真剣、と言うにはその苦笑いを引っ込めてくれないとそう言えない妙に微妙な表情で私に尋ねてくる仁さん
「本当にいいんですね? ゲームのセーブ削除の忠告並みに聞きますよそれでいいんですね?」
「何ですかそれ……」
せーぶさくじょとか知らない単語を言われてよく分からないが取り敢えず念押しされているのは分かった
だから、迷いは無いという理由を込めて少しため息げに
「ええ、それでいいです、仁さんがミユさんを助けてくれる方針で」
「そうですか……」
その言葉を聞いて、仁さんは安心したように心配顔になる
……いや何その矛盾した表情
「……真面目な話、オレは多分後悔すると思うぞ?」
口調を崩し、真面目モードで仁さんは言う
「オレ的にはアリスの放置は無いにしてももう少し先送りした方がいいと思う ミユに心の準備をさせる方がいいと思うが……」
「私は早く終わらせてあげたいんです、ミユさんが良く分からない奴に脅されてるなんで我慢ならないんです」
「……結局はお節介優先か」
少し面白く無さそうに仁さんは言う
「くどいのは分かってるが言わせて貰うぞ「いえ言わせません、と言うか大丈夫ですよ」
あまりにくどいので先回りして答える
「例えミユさんの大切な物が実は無くてミユさんが意気消沈したとしても、全てが解決して戦意喪失したとしても、私が何とかしますから」
何せいまは空前のアイドルブームで、かなりお金も儲けられるし………
「……その時私がアイドルやったらミユさんの元気付けとお金稼ぎで一石二鳥になるかな?」
「くっ、はは! この前の売春誘惑と言い、深月お前中々大胆だな!!」
「そ、その話はしないで下さい……」
あれは明らかにやり過ぎたと後悔しているのでやっぱ口に出されると恥ずかしい
「ま、その大胆さに免じてオレからはもう何も言うまい」
?オレからは?
「お前らはどうだ?」
「まぁ、僕ま元からその意見だったし……」
少し気まずそうに何もない虚空から現れるロストちゃんと、
「アタシももういいわ、そこまで考えてるならこれ以上何も言わなくていいに賛成」
備え付けられていた鏡から出て来るアリスさん
「二人とも居たんだ……」
「居たよ どうしても深月ちゃんの事が気になって学校生活を王さまに預けてまだ此処に居たよ ……学校で変な事してなきゃいいけど」
きっと帰った時の事を想像してか暗い顔をしてロストちゃんは言う
「それにしても、ようやくチーターの仁さんのお出ましになりますか」
「そこ、ボクをチーターとか言わない、あくまで理不尽ハメ行為なので合法なのです」
「タバコや酒みたいにルール上アリなだけで胸張るのはおかしいと思うんだけどなぁ」
ちーたーとかはめとかよく分からないが仁さんが動く事に何やら微妙な思いがあるようなロストちゃん
…そんなに仁さんってヤバいの? 噂は怖くて見た目こんな感じの人なのに
「と言うかそこまで嫌なの? 吸血鬼に動かれるの」
「だってこの人圧倒的権力で全部押し通すヤツだよ? 一度僕を殺して事態解決を図った事があるからね? あの時が一生分の山場を越えたわ………」
「そ、そうなんだ……」
こ、こんなに仲良い二人は一度殺し合いしてたんだな……
「その時超怖かったんだからね! 手加減されてやっと攻防戦出来てたからね! 今度そんな事有ったら地の果てまで逃げ切るからね!!」
「あの時殺さなかったんだからそれでチャラにしろよ、死な安だ、死な安」
「一度思いっきりアナタに威嚇攻撃されたアタシはロストの言葉に同情」
本当に同情するように思いっきりため息を付いてアリスさんは言う
……大丈夫、だよね? うっかりミユさんを殺したりとかしないよね? 大丈夫だよね?
「ま、安心しといて下さい、次にミユさんがまた納品したタイミングで突撃しときますから」
「……出来れば僕も一緒に行きたいんだけど」
「そうですか ま、多分納品は一定時期でしょうから検討付かせておいてその時に知らせます」
「あ… そ、それなら私も!!」
危険なのは承知だが、付いていっても良いのならその時にミユさんの心の支えになれれば……
「ダメです」
仁さんは言う
「深月ちゃん、このミユさんを助けるってのはあくまでボク、いえロストでもいいですので、とにかく深月ちゃんがボクらに相談したからと言うのは絶対に言わないで下さい」
「え……? ど、どうして?」
「知られたくない物は誰にでもある物です」
仁さんは少し物優げなため息を付いて、
「きっとミユさんが深月ちゃんに何も言わなかったのは、心配させたく無いからでは無くて、見られたく無かったからでしょうね……」
? 意味は同じな気もするが……
「とにかく、絶対に言わないように」
「う、うん、わかりました……」