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日記のような物語(ダイアリーテイル)  作者: ミハヤ
コインゲームギャンブル
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猫は金貨よりも コイン三枚目

「おや、先客がいましたか?」


「…………」

慎重に来た道を引き返して大体中間くらいの距離まで来た時、同業者だろうか少しふわふわした口調の茶色の髪をして、私と同じ頭に猫耳を生やした青年がいた


「…早い物勝ちだからね」

腰に仕舞ってある短剣の柄を握りしめながら言う


悪いタイミングだ… と私は心の中で舌打ちをする

こうゆう鉢合わせは別に無い事も無い、私だって数回は同業者と鉢合わせた事がある

だが問題は、今回は私がお宝を持っている、つまりここで戦闘が起るとこっちが不利だという事だ


何分こっちは女身である為あまり腕力などと言った力は無い こうなった時に出来るのは精々体の柔らかさを生かしてのかく乱戦法だ

だがこれはあくまで自分が身軽な時にしか出来ず、お宝、しかも今回は大量の金を背負っている為機動力はほとんどない


そうなると私が取れる行動はお宝を捨てて逃げたすという一択しか無い が、

「あいにくだけど、私はお宝を捨てて逃げる気は無いから、戦うからには覚悟してよ?」

見え透いた虚栄を吐く


さて、どうしようか……

そんな事を考えて身構えていると、


「え? あ、いやいや、別に俺お宝とか要らないですから持っててもどうぞ」


「……あ?」

本当に興味無さそうに言うので思わず呆気に取られてしまった

「い、いやいや! 私は騙されないからな! そう言う奴直ぐに代わりに私が狙いとかそんな女たらしな奴とかが多いからな!」


「お、女の子って大変なんですね…」

自分でも分かるほど体温を上げて言っているのを察してか同情気味に茶猫は言って、

「あー、でも代わりってのは確かにありますかね」


と、狩人のような鋭い目をして、

「ここの呪いについて何か知ってませんか?」


「……は?」

それ、目を鋭くしてまで言う事か?


「あ、すみません申し遅れました」

食いつき気味に言ったのが少し恥ずかしかったのかつばの悪そうに、

「俺の名前はトラサと言って、職業は考古学者です」




「考古学… つまりお前はお宝に興味がある訳では無くてお宝を作った、もしくは集めたヤツに興味があると」


「ざっくり言うとそうですね」

私たちは来た道を戻りながら言う あー、いや、行く道を進みながら、か? 

何せ今歩いている道は宝があった部屋へと続いている道を歩いているのだから


「何で用が無いのに戻らないといけないんだよ……」


「まぁまぁそう言わず、これも何かの縁って事で」

このトラとか言う奴がどうしてもお宝があった部屋を見たいという事を聞かないので結局同行してしまった

と言うのも、


「全く‥… あ、そこ落とし穴があるから気を付けろ」


「あ、はい」

素直に何もない床、に見える場所を避けてあるくトラ


「ここ異様に落とし穴あるんだよな… モグラでも住み着いてたのか?」

本当にモグラたたきでもしてたのかと言うくらいここには穴が沢山あった

現に私も何回もハマってしまった 幸いにも毎回穴の淵に掴まれて何を逃れる事が出来ていたが、一回でもミスっていれば終わりだったという事実に思わずゾッとする


「て言うか底なしの落とし穴が大半なのにたまに針山や硫酸仕込むの趣味悪すぎると思うんだけど、その時思わずチビ……」


「?」


「い、いや何でもない!! とにかく落ちないように気を付けろよ!」

先に仕替えて置いて良かったと心の中で思いながら話しを続ける


「一応落とし穴ある場所はある程度目途が付くからそれに気を付ければ良いだけで、後は他にマズいギミックとかは無かったからそこは安心しておいて良いから」


「頼もしいね、えっと…… 名前聞いて無かったね、何て言うんですか?」


「ん?いや別に無いよ」


「……え?」

驚いた顔をするトラ


「別にそこまで驚くほど無いだろ、旅をしてるんなら一回や二回はそんな奴に会うだろ」

実際私意外に名前の無い奴など何人もいた 元々言語と言う物が分からない奴、生まれた時からずつと一人だったから名を呼んでくれない奴とかもザラに居た


「…ちなみに、何で名前が無いんです?」


「ん? あぁ、私親が片方だけなんだけど、その親がちょっと声が出せない奴でな、おまけに字も読み書き出来ないから伝える手段が無かったんだよ

その親は私に何か名前を付けてたかも知んないけど私に伝わって無いから名無しのまんまって事さ」


「………」

何も答えないトラ それは驚いて声も出ない、と言う事では無く何かを察して言うかどうか迷っているようで、

「…それで、トレジャーハンターを?」

と、主語を端折って控えめに言う


「少しハズレ、別に私はその親を治したいとか裕福にさせたいとかそうゆうの無いから」

と、私は無理やり気丈に笑って、

「もうその親は他界したし、そもそも裕福にさせたい友も親戚も居ないし」


「…………」

私がそう言うと、悪い事を聞いてしまったと言うように、少し目を逸らしてトラは押し黙るのだった

ミハヤ)あ、前回ミユって名前を出してましたがこっちの方がいいと思って訂正させてもらいました、ご了承ください

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