第一章‐7
「おうおう姉ちゃん。 いつもいつも森の王様をこき使いやがって……対価として、その貧相な乳でパフパフさせろや」
「はいはい。 さっさと食べれる物を探してください、グリシャーシエ」
森の王様なのにまったく怯まず相手にする気がない。
容姿はいいくせに言動は低俗でセクハラな堂々と召喚者に言う妖精に、俺はイメージが完全に崩れた。
妖精って……こんなにゲスイのと思ってしまう。
しかも関西弁。
「おっ? 見慣れない奴やな。 放浪者かガキんちょ?」
「似たようなもんです」
初対面から上から目線のちょう失礼なやつと嫌悪してると、周りを徘徊し、身体を舐めまわすようにじろじろと観察してくる。
品定めされてるような感覚でいい気分ではない。
鑑定の結果が出たのか、鼻でフッと小バカに笑う。
なんか無性に羽をむしり取りたいな。
「やめとき兄ちゃん。 姉ちゃんと恋仲になりたいようやけど、諦めや。 ワイが認めん限り、恋――」
「いいから食材を探しに行け!」
「へぶっ!」
こい……と言いかけた瞬間に、リアはデコピンで妖精の頭部を強打する。
弾いた勢いで木に衝突し、力なく地面に落ちた。
ぴくぴくと痙攣している。
「第一、私とシノは恋人関係じゃないし、今後を共にするパートナーなんだから」
不機嫌そうに森の王に訂正を申し上げ。
「それってつまり同棲やんけ! 羨ましいなこんちくしょー!!」
絶叫を上げながら、歯をぎりぎりと鳴らし。
「違うっての! エロ妖精!」
「ひぎゃ!」
止めの足ふみで天に召された。
自業自得だな。
「呼び出したらいつもこうなの?」
「うん……」
毎回コントをしなければいけないとは、お悔やみ申し上げますと、心の中で呟いた。
「能力が便利だから契約を交わしてるけど、性格に難ありなのよね」
「あはは、変態な妖精がいると魔法使いも苦労する職業だな」
「マ……ホ、ウ? なにそれ」
聞きなれない言葉なのか、頭上にクエンスチョンマークを浮かべ、首を傾げる。
魔法じゃないのか、あの不可思議な現象は。
「さっき光がぶわーと広がったのって、魔法じゃないのか?」
「マホウてのは知らないけど、あれは召喚よ」
……なるほどね
自己の解釈だが、この世界では魔法は存在せず、変わりに召喚がある。
彼女は召喚師ってところか。
ファンタジー要素の魔法が有ると期待を寄せていたが非常に残念だ。




