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異世界に魔法はないんだよ  作者: バル33
第三章:後悔
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第三章-2


「さっきのシノの目、怖かった。 まるでケダモノ。 ケダモノそのもの」

「よく見てるな……て、ケダモノじゃねえ! 至って健全な男子だつーの」

「胸とか太もも辺りをジロジロ舐めましてた見てたじゃない」

「気のせいです。 勘違いです」


 観察眼がおそしく長けている。 ほんの一瞬目線を逸らしただけでど箇所を凝視しているかが、ばれるとは……。

 潜在能力が侮れない。 うん、てか怖いです。


「恋人になってからエロい目で見つめないでよね。 なるべく意識しないようにしてるのだから」

「そ、そんなに視線を感じるのか?」

「ええ、身の毛がよだつほどに」

「わし、ショックだわ。 まさか嫌いになった?」

「嫌う要素ないわ。 ……好きよ、好きなんだけど……お願い見ないで。 その……恥ずかしいから」

「ど、努力する」


 ザーと木の葉が揺れる音だけが長く支配する。 ――気まずい!

 意識すると余計に手汗が滲んで顔が熱くなる。 恋愛経験ゼロの俺にどう話しかければいい?

 下手な発言をすれば軽蔑される。 かと言って今の空気に耐えれそうにない。


 お天気の話でもするか? いやいや、ベタすぎるだろ。

 なにか……なにか……。 思いつかん。 あかん、詰んだ。

 助け船はないだろうか。 あるわけない。

 なんでもいい。 適当に切り出すか。


「「あのさあ」」


 どうやらリアも同じ境遇だったみたいだ。

 かぶるとは思ってなかったが。


「……提案なんだが、恋人意識しないようにしないか? 会話すらままならんしさ」

「賛成。 胸が苦しいし、そっちのが助かるわ」

「可決ってことで」


 心臓がバクバクして息苦しいのは俺もそうだ。

 これで普通に接することが出来る。

 うむ、恋は病だ。 


「さて……冬が明けたら遠くに引っ越さないとなあ」

「え、なんでよ?」

「異界の者と今後会わないためだよ。 銃火器を持った奴に相手は分が悪すぎる。 戦いにすらならんし」

「――ジュウカキ?」


 そっか。 銃について話したことはなかったな。

 こちらの世界の話さえほとんどしてない。

 語ったところであまり理解しないというか、人に説明できるほど知識がない。

 なのでにわかの知識量で話す。


「豚がなんか担いでいただろ? 担いでる物で攻撃を行ってきたのが銃火器」

(つぶて)みたいのを飛ばした道具がジュウカキって名称なのね。 早くて避け損ねたわ」

「は? 損ねた?」 

 

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