第一章‐1
「だあっ! くっそ、死にやがれ!」
昼間からFPSのゲームをしながら、画面越しに見えない相手に罵声を浴びせる。
マウスをがむしゃらに操作するも、ヘッドショットされ、またしても一撃で沈む。
リスポーン地点に戻された途端に――
「やってられっか!」
パソコンの電源を落とし回線を切ってしまった。
部屋の電気を消して、ぶつぶつ言いながら布団に包まる。
怨念を唱える男の名は、川井慶介。 二十歳。
一年前までは社会に出て働いていた人物だ。
なぜ彼が働いていないのかというと……起業に失敗し、全てを失い、なにもかも信用できず、精神疾患をわずわってしまったのだ。
対面恐怖症とゆうものに。
最初はこのままでは駄目だと、アルバイトをしようと試みるも……人と会うだけで、手足が震えてまともに仕事もできなく、即刻クビだ。
働く意欲があろうが、仕事ができないのであれば、店も給料を渡すわけにはいかない。
むしろ邪魔なだけである。
会話するだけで身体の自由が効かなくなるのに異変を感じ、病院に診断してもらうと――対面恐怖症と
言い渡された。
その後は生活保護を取得し、自堕落に生きている。
「……なんのために生きてんだろう」
朝、起きてはスマホでソシャゲし、昼には寝ころびながら動画を見て、夜にはオンライン対戦ゲームをして一日を終える毎日をひたすら繰り返す。
そんな生き甲斐のない日々を暮らして、生きている意味があるのかと己に問いかけるが、答えは帰ってこない。
何度か自決しようとしたが………………死ねなかった。
溺れ死のうと、睡眠薬を購入し、湯船に浸かり眠りを待つも瞼は閉じず、風呂から出て布団に入った途端にブラックアウト。
目覚めると頭はガンガンし、立ち上がれば視界が歪み、まともに歩けず最悪の気分になっただけだった。
次は飛び降りしてやろうと、十四階建てのマンションの屋上に出向き、足を踏み外そうとするも動かなかなかった。
突然怖くなり、足がすくんで固まった。
諦めて自宅に戻り、寝て明日を迎えるだけだったのだ。
死のうと思っても、本能が抗って生きようとする。
人は簡単に死ねないとは、こうゆうことかと知識を得ただけ。
社会になんも貢献してないと思いつつも、無意味に時間を過ごしている。
「もう、いいや。 寝よ」
考えたとこで解決なんてしないとわかってるのに無駄に思考を巡らせる。
頭の中を空っぽにし、深い眠りに落ちるのであった。




