第二章‐7
「シノとの暮らし悪くなかったわ。 さようなら」
「い、行くな……!」
負傷していない腕を伸ばし彼女の手首を掴んだ。
ここでリアと離れたら一生後悔する……なにがなんでも手を離さない。
たとえ、この行為が偽善だとしても。
「うっとうしい――」
「女と男の二人組どこ行きやがったあああああ!」
森全体がざわめき野太い声が響き渡った。
突然の怒声に殺気丸出しの彼女も息を殺すようにしゃがみ気配を絶ち様子を伺う。
くそ、どうやって正確に追ってきた……。
「探せ、血がまだ固まってねえことは近くに潜んでるはずだ。 男と女を見つけたら半殺しで連れてこい。 皮を剥ぎ、苦痛を与えてから殺してやる!」
捕まった後の拷問を想像してしまいゾッと身体が怯えてしまった。
奴らに見つかってはいけない。
死ぬより辛い現実が訪れる。
「……チャンス」
「動くなって!」
血眼に探しているオークの一匹が背中ががら空きで近くに仲間がいない絶好のチャンスだが、奴らの元に行けば確実に捕まり拷問される。
手首を強く握り絞め”行くな“と示すもリアは静止してくれず、振りほどこうと暴れだす始末。
まずい、このままでは音で居場所が奴らにばれてしまう。
どうすれば暴走機関車を止めれる……正論なんかも通じない……負傷した状態では抑え込むのは出来ない……………………そうだ。
緊迫した場面でヒロインをある『行為』で止めるシーンが漫画にあったのを思い出した。
……一か八かやるしかない。 妄想のしすぎだろうが手段がない今、決行する他ない!
「行く手を阻むならぶっ殺――!?」
「…………」
ああ、日本で暮らして居た頃はあり得ない大胆な事をしてしまっている。
引きこもりで、人間不信。 ニートで、対人恐怖症。 救いようがない社会のゴミがリア充を絶賛満喫中しているだもの。
そう、リアと唇を重ねているのだ。 しかもディープキス。
声を漏らされないようわざとディープキスをしている。
「――んんっうむ!」
「…………」
明らかに抵抗力が弱まりキスの効果は絶大のようだ。
とは言ってもじたばたと暴れ逃れようとする彼女に追い打ちを掛けるよう、強引に後頭部を手で押さえ、舌をねっとりと絡ませ畳みかける。
ぴくっと跳ね上がったがお構いなしに続行する。 リアが抵抗をやめるまでずっと。




