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13.疑心暗鬼

更新遅れて申し訳有りません……

前回の話の最後を修正したので、目を通していただければ嬉しいです。

理事長に何から何まで操られていたことを知った飲み会から、俺には常に理事長に対する恐怖を感じるようになっていた。

理事長は明らかに俺に対して何かを求めるために抜かりない準備をしている。

で、その結果何も求めていない。

それが今の状況だ。


ーーーそんな状況で俺が安心できるはずがなかった。


その他にもクラスメイトのいじめなどは全く収まる気配はなく、学校からの扱いは日に日に悪くなっていく。

昨日、とうとう念願の教科書が自宅に届いた。

そして今日俺は初めて執拗に教科書を持っていない俺に問題を出してきていた教師の花を明かすことに成功したのだが、その瞬間教科書には載っていない


ーーー他の生徒でも解けないような問題を出された。


もちろん俺が答えられるわけもない。

しかも何時もならば他の生徒を指名して、まるで俺を馬鹿にするかのように褒め称えるのだが、それもなかった。

だがそれでもご丁寧に嘲笑だけはいつも通り俺に浴びせてくる。

そして放課後には新品の教科書は細切れになってゴミ箱に入っていた。


「つまり、これはいつもと変わらないか……」


だが、俺には左程動揺もなくゴミ箱の中の紙屑を見つめる。

確かに正直子供じみた、だがそれでも確実に人を憂鬱にしていくいじめだと多少はうんざりする。

いや、かなりイラついている。


「……ハルバール、どうしてそこに立っている?」


ーーーだが、最も気がかりなことはそんな些事ではなかった。


俺がそう声をかけると、誰もいないはずの空間が揺らぐ。

正直ホラーだ。

いやまぁ、この学院自体オカルトと言ってしまえるのだが。


ーーーそして、その揺らぎから姿を現した少女はまるで御伽噺の姫のような美少女だった。


艶のある長い金髪に、凛とした鼻筋。

どこか罰が悪そうな顔つき。


その少女は、数日前俺が理事長との交渉をした後に出会った少女だった。









美少女の名は、アイラ・ハルバール。

魔術の世界では名の通った魔術師の家柄らしい。

このエリートだけが集まるという、学院でも一線を画した家柄であの高慢な相楽でさえも頭を垂れているのを見たことがある。

さらには本人もこの学院一位の天才らしい。


そしてそこまではいい。

目の前にいる少女が絶世の美少女で、とんでもないボンボンの家柄で、そして天才でも、まぁ、少し羨ましい気もしないことは無いが、どうでもいいのだ。


「この香水香りがよくってよ!おほほほほ!」


「そりゃぁ、ヨォござんすってねぇ!おほほほ!」


とか、教室の中心でしているだけならば無視できる。

……いや、流石に教室にそんな奴がいれば気になるか。

ま、まぁとにかくだ。

俺は別にハルバールに関わるつもりなどなかったのだ。


「何が目的だ?」


ーーー俺に付きまとってきたりしなければ。


「っ!」


そう、ハルバールは最初俺と出会ってから常に俺に話しかけようとしてくるのだ。

正直、最初俺はハルバールも俺をいじめようとしているのかと思い避けていたのだが、違った。

ハルバールはこの学院で佐藤さんを除いて唯一俺を気遣っていたのだ。


ーーーそしてだからこそ俺はハルバールに恐怖を抱いた。


魔術の世界で俺の実力を知っているのは理事長だけしかおらず、魔術の使えない無能にガッチガッチに洗脳された名家のお嬢様が興味を持つことなどありえない。

なのに、ハルバールはまるで俺をいたわるかのように視線を俺に送ってくる。

そしてそれは、彼女は魔術の使えない無能に入学の許可を出した理事長を貶めようとする何者かの手先か、


ーーー理事長のスパイでしかない。


「え、あとそのぉ、教科書無くしてしまったから、勉強を手伝おうと思って……」


「………」


だが俺はそのハルバールの一言で言葉を失った。


ーーー教科書を無くした?


それは決して教科書を破った立場の人間が被害者に気遣う言葉として言っていい言葉ではない。

それに、あれだけコソコソ魔術で俺の後をつけておいて内容がそれだけだと納得できるわけもない。

そう考え、俺は本当に目の前の少女が何者か分からなくなる。

俺に取り入ろうとするには余りにも抜けている。

まるで隠れているのがバレていないと思っていたのに、突然呼びかけられて思わず口走ったようなお粗末さ。

まぁ、確かに魔術の効果は凄かった。

数日間程度俺は視線は感じるものの、誰かがいるとは全く気づかなかったのだから。

流石に今では慣れて気配を捉えることが出来るようになったのだが。

しかしそれでも見つかる時のリスクを考えていないのは軽率すぎる。

理事長の手先であれ、そのほかの人物の手先であれ、俺に見つかるか、理事長の部下に見つかるかの違いはあるがどちらも見つかる危険があるのだから。

だが、一つだけ俺はあることを確信していた。

それはハルバールは俺の敵対者であるということを。


ーーー何故ならば、例え勉強を教えて貰い教科書の内容を完璧に理解したとしても俺には何の得もないのだから。


「本当!それは助かるよ!」


そして俺はそのことを悟った上で、了承した。


「え、ええ!任せて!」


ハルバールは少し驚いた後、得意げに胸を張る。

俺はハルバールに友好的に笑いかけながら、


ーーー着々と頭の中で理事長の支配下から脱するための方法を考えていた。


もしハルバールが理事長ではない人物からの手先であった場合、全くの無駄骨になるのだが、もし彼女が理事長の手先であったとするならば、それは逆に俺が理事長からの情報をハルバールから得れるかもしれない可能性を示している。

つまり、ハルバールは現状で唯一俺が理事長の情報を知り得ることができる諸刃の剣なのだ。


「絶対に、使いこなしてやる」


そう俺は小さくつぶやき、ハルバールを、天才と呼ばれる少女をひどく冷めた目つきで一瞥する。


「よし!」


だがそんな俺は気づいていなかった。

ハルバールが小さく、まるで俺に申し出が了承されたことを喜ぶように拳を握りしめていたことに……

実は私が返信に戸惑っている間に、消えてしまっていた感想があるのですが、一応ここで返信させていただきます。


まず、感想ありがとうございます!

そして書かれていた主人公の魔術組織と渡り合える自信なのですが、詳しくは言えないですが設定では実体験で証明されています。

そこらは主人公の過去編で書いていきたいと思っているのでよろしくお願いします!

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