失業
ん? 何だ、若造。この俺に一体何の用があるってんだい?
あー、仕事? そうそう、ご存じの通り。俺、とうとう失業しちゃったってわけ。この俺が、この俺がだよ? 職を失っちまったってわけですよ。これが飲まずにやってられるかっての。ひっく。おい、若造。てめぇも一杯付き合いやがれ。は? 明日出勤? てめぇ、それが職をなくして傷心してる奴に向かって言う……はは、そうだよな。俺の注ぐ酒を飲まないわけがないよな。あはははは。
あーあ、確かに給料は安いし、仕事そのものも刺激が足りなくて何の面白味もない毎日の繰り返しだったさ。けど、よっぽどのことにならなきゃお役御免もないだろうし、何より安定してるからいいなーって内心思っていたわけですよ。それがどうしてこうなったのか!
あれだけアピールしていた、安定の謳い文句はどこへやら。それもこれもあいつら人間のせいだ。あいつらが馬鹿げたことをやらかして、地球上の生き物ぜーんぶ吹き飛ばしたりしちゃったものだから。お陰で死神業界は、刈り取る魂がなくなったせいでことごとく廃業しちまったってわけだよ……。