新加入選手、そのコメント、1
1月も終わりに近づき、まだまだ寒さが残る伊勢市。この日、アウローラ伊勢FCのクラブハウスには大勢の記者が集まっていた。
「どうも、みなさん。お久しぶりです、新井です」
もちろん、この記者たちはこの男の会見を取材しにきたのだ。
会見場には、社長の棚山修次と秋田琴GMが、新井をはじめとする新戦力をつれて、席にすわっていた。
進行は新井と琴が勤めることになっている。
「僕のことより、選手の発表に参りましょう。では、琴さんお願いします」
新井は選手のころから、記者会見というものをほとんどしてこなかった。冷血漢の彼だが、初めてともいえる会見は緊張するものだった。
そして、以下は選手それぞれの紹介と、選手のコメント、監督である新井のコメントである。
「颯・アンドロフ選手。ポジションはセンターバックで、背番号は41です。伊勢ユースからの昇格で、クロアチア人のお父さんを持つハーフです」
「颯・アンドロフです!伊勢の昇格のために頑張りたいデス!今季はポジションを狙いたいです!」
「颯選手には期待してます。その立派な体躯を生かしてDFのスタメンに風穴を開けてほしいですね」
「結木太一選手。ポジションはボランチ、センターバック、トップ下など中央ならどこでも経験がある選手です。背番号は18。伊勢ユースからの昇格です」
「結木です。フィジカルだけならプロにも通用すると思っています。FW以外ならどこでもできるので、スタメンを脅かしたいです」
「彼は非常に冷静な判断ができる選手で、頭も良い。それにFW以外ならどこでもできるそうなので、使いやすい選手ですね。個人的にはボランチ争いに顔を出してほしいですね」
「紀則翔選手、ポジションはボランチです。柏レイスからの移籍です。背番号は23」
「どうも、紀則です。昨季の柏から、みなさんから見ればレベルを下げたJ2への移籍と思われるかもしれません。ですが、僕はこの秋田GMや監督との対話でアウローラの未来のビジョンを『おもしろい』と思いましたので、柏からここにきました!もちろん、レギュラーに定着するつもりです。よろしくお願いします!」
「彼にはボランチのポジション争いをかき回してもらいたいですね。実力は去年の対戦でわかっているつもりですし、僕の思い描くサッカーには必要ですので、今季は走り回ってもらいますよ」
「ヴァレッド選手、背番号は11です。ブラジル、チャゴスSCから移籍加入です。ポジションはFW、日本で2年間の留学をしたこともあり、日本語が流暢ですよ」
「コンニチワ、ニッポンのみなさん!ヴァレッドです!あー、ワタシのスピードでニッポンのサッカーを壊したいです!ヨロシクネー!」
「クラブ初のブラジル人だそうですね!さて、彼の実績通り、爆発的なスピードと得点能力はこのクラブのFW陣に足りなかったものです。僕のサッカーにも適応できると思いますよ!」