表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
KICK OFF!!  作者: 時紐
新井川未、監督になる
18/114

試合終了

 冬空の国立競技場、熱気あふれるスタンドに彼女はいた。

「やっぱ異次元ね…月火野景。」

 そういわずと知れた、アウローラ期待のGM、秋田琴である。

「クラージュのサポがぎゃーぎゃー言うのもわかるわ、顔も良いし。」

 彼女がなぜここにいるのか、それはある補強をすすめるためであった。

 彼女のすすめた補強で唯一足りなかったのは、決定力のあるストライカーだった。アウローラには優秀なストライカー剣田がいるが、剣田は技術よりも感覚で点を取る本能的ストライカーで、確かに決定力はあるが自分でゴールを切り開くことはあまりしないタイプであった。

 故に、若く剣田と競争ができるようなストライカーが欲しかった。それでいてFW陣にないものを補うような。


「…うわぁあれは痛いわ…ほんと痛い…!」

 現在、試合は終了間際、重波の退場シーンである。

「…たしか重波って監督と移籍問題でどーのこーの言ってた選手よね…んで新井さんを崇拝してて、そしてこの怪我…、それに年齢も20歳、年代別代表の常連…監督・首脳陣ともトラブルあり…か。」

 琴はぶつぶつと一人で呟いた。彼女は独り言が多く、周りから痛い目でみられることもしばしばあった。今もそうである。

「もしかしたら…、善は急げね。明日には連絡いれなきゃ!」

 また一人で呟き、琴はスタジアムを去って行った。




「今日のヒーローは前半だけでハットトリックを達成し、後半に入っても質の高いプレーでチームを優勝に導いたこの人!月火野選手です!」

「どもー、おなかすきましたー」

「ははは、月火野選手!今日の試合、どうでしたか?」

「えーとねー、義一大丈夫かなー?って感じだったねー」

「そうですね、重波選手は現在病院に運ばれているとの情報が入っています、怪我の状態についてはまだなんとも…」

「今日の試合、モチベーションすごく高かったんだ~、リーグでは優勝できなかったしねー」

「な、名古屋はおしくも2位でしたからね!来年はタイトルが期待できそうですか!?」


 と、このように、月火野は記者やアナウンサーを困らせる子供のようなマイペースであり、その性格からアナウンサーたちは取材をあまりしたがらない。月火野のペースに持っていかれては最後、取材の内容はバラバラになり薄くなってしまう。

 このアナウンサーも終始苦笑いでレポートをすすめていた。


 一方、選手更衣室に戻ったV東京の世良は悔しさに顔をゆがめていた。

「ちくしょうっ!何の仕事もできなかった!」

 この試合、世良は本当に何の仕事もできなかった。

 自慢の武器、パスカットからのダイレクトでのコースチェンジ―世間では『ダイレクトチェンジ』も一度も使うことはなかった。ある一人の選手の守備に、彼は無効化された。

「…織田…高卒の選手にこの俺があそこまで抑えられるとはね…、来シーズンに名古屋にいれば次こそは俺の真骨頂を見せてあげるよ…」

 この織田に世良の成長の鍵があるとは、この時は誰も知らなかった…。





 天皇杯決勝も終わり、来シーズンに向けての選手たちの移籍が始まった。

 時は進み、各クラブが新戦力の発表を始めていく時期になった。

 ミスが多いっ!(笑)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ