どうしてこうなった。
ここから指導者編スタートです!
「どうしてこうなったんでしょう…?」
あの引退試合から2か月後、新井は故郷東京から離れ、三重県にきていた。
新井をよく知る人物から電話がかかり、彼は今日伊勢陸上競技場に呼び出されて、現在、近くの公園でくつろいでいた。
この2か月、いろいろな情報網を使い、新井はこの世界が自分のいた世界とは違い、いわゆる平行世界であるということが分かった。新井はこの結果に特に身じろぎすることはなく、まぁいいか、と全く気にせず実家に一度帰り、自宅の住所を調べ安静に暮らしていた。
かなり裕福に暮らしていたが、突如、前の世界でも世話になっていた友人から電話がかかったので、今に至るというわけだ。
「いやぁ、待たせたなぁ、かわみ」
「遅かったですね、西条くん。僕は本当に待ちくたびれましたよ」
「相変わらず、すごい人気やなぁお前さん」
あれから少したち、新井の周りには人だかりができていた。なんせ最近までJ1で大活躍し、代表にも選ばれていた選手である。知名度はかなりのものであった。
「ちょっと待っていてくださいね?これも仕事ですので…。」
新井の知人、西条裕也は元Jリーガーで、前の世界では新井と同じ年のMFであった。現在はあるクラブで引退し、そのままテクニカルアドバイザーとしてそのクラブに在籍している。大阪府出身で、ばりばりの関西弁を話し、巧みな話術を駆使するスカウトマンとしてもそのクラブを助けている。身長は高く、イタリア人のような甘いルックスも相まって現役時代は人気が高かった。
「んでや、今日の話はやな、お前に監督をやってほしいクラブがあるんや!」
「は?…監督経験も何もない私に…ですか?」
「せや!んでな、今日はうちのGMと話してもらおう思ってな。」
西条は新井を連れて、駅前の小さな公園に似合わない豪華な外国車に乗った。新井もそれに続き、車の後部座席に乗り込んだ。
短めですね