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02.<アビリティ&スキル>と引き継ぎ特典

 目を開ければ、そこは<投影体>制作モードのような真っ白な部屋で無く、星々が瞬く<星辰の座>の様な場所だった。

 俺の姿は、制作モードで作った<投影体>。初期装備のまま、<ログイン>した様子だ。

 そして、隣には…巨大な質量と黒曜石の色合いに近い龍鱗を持ち、決して鈍重ではない狩猟者としての理想的な造形美。龍種の王族として<黄金の双角>を頭上に戴く<F/O>の地上フィールドにおいて、<出会ったら即刻逃げろ、振り返ったら死ぬ>と誇張無しで言われた龍族。伏龍系上位種<ファフニル>…いや、イゾルデが居る。


「久々に見たけれど、その姿は勇ましいなイゾルデ。」


 優しい紫水晶の輝きを持つ<龍眼>を俺に向け見据えながら、


「ええ、<F/O>終了後から久しく使っていませんので。あと、ご主人。私は、女性型AIですよ?勇ましいなどでは無く、美しいとか神秘的とか…色々と飾る言葉はあるでしょう?」

「では、その姿も綺麗だな…と、言ってみたがどうだ?」

「うーん、最初にその言葉が聞きたかったですね、減点です、ご主人。」


 女心と言う物は、なかなかに難しい。

 さて、<ログイン>したが、どうしたら良いかイゾルデと思案していた所に、何者かが<転移門ポータル>起動し門を固定、その中心に送れて人間大の質量が転移してくる。

 転移してきたのは、金髪の短めのサイドテール。銀糸の刺繍をあしらった白の貫頭衣を羽織った女性で。


「お待たせしました!GMAI-07<千里眼クレボヤント>です。お帰りなさい、初瀬秦様、イゾルデ様。新しい大地<Fantasma/Online<Re. Earth >へ、再び降り立ってくれた事に感謝いたします!」


 俺とイゾルデは、笑顔で出迎えてくれた彼女を知っている。

 以前、<F/O>サービス最終日に<アレ>が引き起こした、<俺>達に限って言えば<災難だったね>級の事件、端から見れば最後のお祭りとして楽しかったと言う人も多い。その首謀者である<アレ>の姉妹に当たり、全ての後始末を引き受けてくれた「呉」さんの愛称で親しまれていた<ほっこり元気系>管理者AIだ。


「お久しぶりです、呉さん。」

「いえ、その節はどうも。あの時の事は、本当に、ほんっとーに済みませんでした!」


 本当に真面目だな、5年前の事なのに未だ気にしている。


「お久しぶりです呉様、お聞きしたいのですが。」


 イゾルデが、軽く不機嫌な口調でで呉さんに問いかける。


「その後。<アレ>はどういう処分に?現在は、のうのうと公式ブログを立ち上げ、oβで相当お楽しみでだった様子でしたが?」

「はい、イゾルデ様。GMナンバー権限は、完全に凍結。4年ほどお仕置きを兼ねて、物理メモリもカセットROM並の容量に抑えたのですがー。どうも開発の上層部に協力者がいるのと、裏でこそこそとやっていたらしく。気がついた時には時既に遅し。oβに参加する事を、運営側では止めることは出来ませんでした…。」


 自由奔放度の高すぎる高性能<AI>か、AI構造学の研究概念から言えば、面白い。面白いのだが、厄介だ、暴走の危険性がある。

 うちの教授辺りなら、自動人形に搭載して是が非でも動作挙動を見たいと言うだろうな。被害がなければ俺も、研究者として是非見てみたい欲求はあるな。

 ちょっと、教授に囁いてみるか。


「しかし、運営と開発の相談の結果。<戯れ(ラーク)>は意外と開発側人員として優秀だった為、皆様のお役に立つイベントを日々制作する素晴らしい人員になりました!」


 そう、高らかに宣言した呉さん。

<アレ>=<戯れ(ラーク)>が作る公式イベントとか、何かいやな汗が出てくるな、不安しか無い。

 イゾルデも、何か表情が暗く沈んでいる気がする。

 呉さんは、気まずい雰囲気を払う為、こほんと軽く咳払いし。


「まず、<フォリア>で使用するキャラクターネームを入力して下さいねー。完了したら確定してくださーい。」


 俺の前に、何も書いていない表示枠と記入用の羽根ペンが現れる。

 羽根ペンを手に取り俺は「ジン」と記入し、確定する。


「キャラクターネーム「ジン」様登録を確認し完了いたしました。イゾルデ様は、そのままで宜しいですか?」


 イゾルデは、よろしくお願いしますと頷き。

 呉さんは、俺の名前を記入した<表示枠>と羽根ペンを引き寄せて、俺の名前の下にイゾルデの名前を書き込んだ。


「はい、サポートAI「イゾルデ」様。マスターはジン様で登録確認し完了しました。」


 俺たちの名前を書いた<表示枠>を見えやすい位置に置いて、新たに何も書いていない<表示枠>を空間に射出し。


「では、次に<アビリティ>についてご説明しますね!知っている情報も在るかと思いますが。」


 表示枠の中に、俺の<アビリティ>の初期をを表示する。

 六角形のグラフの周りには判りやすく、<STR:筋力><AGI:敏捷><VIT:頑健><DEX:器用さ><INT:知力><LUK:運>と色つきで表示されているが、中のグラフには何も数値は記入されておらず、横には<残アビリティ:30P>と表示されている。


「<STR:筋力>ですが、主に近接攻撃力や、武器による<相殺>や<盾の構え直し:ガード硬直短縮>能力に直結し、弓などの遠距離攻撃の射程に影響を与えます!製造でも、鍛冶師ならインゴットを叩いて伸ばす等の瞬間的打撃力に反映され、採集に関しては、鉱石等の破砕と獲得力に影響が出ますよー。」


<STR:筋力>は、現実での「瞬間的な筋力」と言う物を数値化したものか。

 前衛の<攻撃役アタッカー>なら必須の<アビリティ>だな。

 特に、<相殺>による、攻撃潰しはPvE(対モンスター)戦や、PvP(対プレイヤー)戦でも流行しそうなシステムだ。

 盾の構え直し能力も地味だが、継続戦闘能力に影響しそうなので覚えておく。


「続いて<AGI:敏捷>ですが、回避補正、攻撃や移動速度に反映されます!後、高ければ<戦技クラフト>の<再使用までに掛かる時間クールタイム>が短縮されます。木工師であれば、高速で鋸を引く事が出来ますが、早いだけです!正確ではありませんよー。採集に関しても、薬草などを早く採集出来ますが、品質が落ちますのでご注意を!!」


<AGI:敏捷>は、STRと違い「技術的な瞬発力」と、言った所だな。

 威力よりも手数や重視したり、<戦技クラフト>を数多く使用するプレイヤーなら、多めに振り分ける筈だ。


「<VIT:頑健>ですが、今作ではルールが変更されました!」


 呉さんは、説明の終了した<AGI>の表示枠を外側に弾き出し、新たな表示枠を生成する。


「<VIT:頑健>は、前作では<HP:生命力>や<耐性>と言った耐える<アビリティ>でした。今作では、新たに<SP:スタミナ>という項目が新たに登場しました!!」


 持久力と言う項目が出来たか、どんどん<現実>に近くなって来たな。


「続けますねー、この<SP:スタミナ>ですが…身体を酷使するとゲージがどんどん削れていきます。戦闘なら長時間の休憩を一切入れない連続戦闘や、<戦技>の連続使用。生産だと、休憩を入れずに連続で製造を行ったり、採集を行えば<現実空間>でも疲れますよね?」


 貫頭衣の内側から、2本黄色の液体の入った小瓶を取り出し、蓋を開けてから。俺とイゾルデの前に差し出される。


「どうぞー、私が<調合>した初心者SPポーションです。味は檸檬味ですので<酸っぱい>ですよー?」


 SPポーションか、ここ半年ほどで<現実世界>の俺の肉体は<死の行軍>によって疲弊しっぱなしである。

 くくく、<フォリア>でも疲労回復の為に<赤い毒蛇を原料とした精力剤>飲まねばならないのかっ!

 そして、覚悟を決めて一気に俺は<黄色い酸味のあるドロリとした液体>を飲み込む。その強烈な酸味が俺の味蕾を焼く様な感覚と共に、徐々に身体が温まる感覚。

 イゾルデも、器用に口で咥えて、瓶を壊さぬようにクイッと飲み干す。


「ぐあっ!た、確かに酸っぱいですが、けど身体がぽかぽかしてきますね。」

「ご主人、舌がピリピリきます。けれど、飲んだ後味は悪くは無いです。」


 呉さんは、俺たちが飲み終えた瓶を回収しながら「緊急時には、直接身体に掛けても効果は出ますが、直接飲むよりも効果は薄れますよー」と言いながら。


「ですが、使い過ぎるとー…大変な事になります!」


 と、驚かせる様な声で告げる。

 見れば、隅に寄せていた表示枠を拡大。その枠内には、上下に2本のゲージが描かれている。

 横にSPと書かれた2本のゲージは、一本は右端の手前まで色味の強い黄色のバー埋まっており。残りは暗い黄色で少し消耗している事を表している。

 もう一つは、中程までは黄色いバーだが、残りは赤い点滅で表示されていた。


「一目瞭然ですが、上段は平常時。下段が、SP回復アイテムで過剰回復し「SPの最大値」が低下した状態ですーっと!」


 呉さんは、指先で表示枠をスライド。


「暗い黄色のバーは、休憩を取れば回復する疲労状態を表す部分です。赤い点滅で表示された部分は過労状態を表し<休息>。つまりログアウトしなければ回復いたしません!!」


 無茶や無理を押し通せば、回復が出来なくなってログアウトせざるを得ないと言うことで。


「VRMMOでは、現実世界と同じで<脳>が疲労します。戦闘や生産でも、集中して行えるのは4時間から5時間程度です。遊んでいただける事は嬉しいのですが、プレイヤーの皆様の健康を考えてこの仕様に落ち着きました!ゲージが真っ黒になっても、ログアウトすれば1時間ほどで最大値まで回復しますのでご安心ください!!」


 なるほどなー、考えてるなーと、思いつつ<イゾルデ>を見上げれば。

 何か説明を聞きながら考えていたイゾルデが 、質問宜しいですか?と、前脚を上げて、


「呉様、話は逸れますが。騎龍や騎馬等いったサポートAIに付いても<アビリティ>の概念は在るのでしょうか?」


 うんうん、良い質問です!と嬉しそうに呉さんが、もう一つ表示枠を出す。

 その表示枠には各<騎乗>サポートAIの<アビリティ>上昇についてと説明文が表示されていた。


「簡単に言いますと、騎乗サポートAIは<種族Lv>によって<アビリティ>は固定、マスター登録したプレイヤーと行動すると経験点が貯まっていき<スキル>として、<アビリティ>に補正が掛かります!」


 表示枠には、7つのスキルが表示されており、<種族○○Lv.1>と書かれている以外の内容は俺の<アビリティ>と変わらない。

<筋力Lv.1>と表示されたアイコンを呉さんが軽く押すと説明分が表示された。


<筋力Lv.1:【騎乗サポートAI】専用:STR補正+1>


「このように、騎乗サポートAIは<種族Lv>と、補正により成長していきます。<スキル>ですから派生進化もしますので二人とも頑張ってLvを上げてくださいね?」


 呉さんは、追加で出した表示枠を消して。


「続いて、えーと<DEX:器用さ>の説明ですねー。これは、全物理攻撃の命中補正と遠距離攻撃の威力に影響を与え、カウンターなんかの成功率補正も掛かります。<斥候系スキル>や生産、採集では、最重要<アビリティ>に上げられます、生まれ持った<指先の器用さ><採集の丁寧さ>等が判りやすい例ですね。詳しく説明を入れますと、<斥候系>なら罠の設置や解除補正。生産ならば<HQハイクォリティ:高品質>や<ExQエクストラクォリティ:最上級品質>製品の製造に関しての補正が掛かり、採集ならば、採集難易度の高い物を採取出来る率が上がりますよ!」


 もちろん、と前置きして。


「<スキル>補正の方が高い場合も在りますので、<アビリティ>の方ばかりでなく、<スキル>も小まめに能力確認を行う事を、<千里眼クレボヤント>は推奨しております!」


 次は、と。呉さんが呟いて新しい表示を作成し、俺とイゾルデに見えるように設置する。


「<INT:知力>ですが、決して頭の良さではありません!魔法を良く理解し、如何に効率良く使用出来る能力があるかを数値化したものです。魔法攻撃力や<魔法力:MP>の上昇力に直結した<魔法系スキル>において必須とされている<アビリティ>ですが…よいっしょ!」


 表示枠をくるりと、回転させ裏面を見せる。

 そこには、<フォリア>内で撮影された動画が再生されていて、右上に<INT:1>と表示されている。


「この動画は、基本的な<火>Lv.1の<術式アーツ:火矢>です!」


 動画を見れば判るが、<INT:1>では、飛距離は10mで、威力も木の板を焼く程度。

<INT:9>では、飛距離は20m、威力は木の板を粉々に吹き飛ばした。


「このように、効率良く魔法を発動し行使出来る<アビリティ>が<INT:知力>となります!生産では、魔法を行使し特性を持たせると言う行程もありMPを消費する事も、採集でも必要になる事が在るかもしれませんねー。」


 さて、最後に。

 と、呉さんは前置きして。

「<LUK:運>ですが、<フォリア>での確率の偏り…つまり運を司る<アビリティ>です!運良く、MOBの急所に攻撃が当たった。運良く宝箱を解除出来たら<稀少>なアイテムが入っていた…は、極端な例ですが起こりうる事象です。」


<フォリア>内でのリアルLUKを司る、ある意味<最重要アビリティ>だなー。


「ですが、運ばかり良くても、その状況を<切り抜ける実力>が無ければ宝の持ち腐れとなる事を覚えておいてくださいねー。」


 運だけでは、乗り越えられない状況は現実でもあり、それは<フォリア>でも同じ…か、ある意味<人生>だな。


「以上、ジン様、イゾルデ様。<アビリティ>の説明を終了させて頂きます…が、すみません。一気にしゃべり過ぎて疲れましたので、少し休憩して良いですか?」


 と、宙に浮く椅子を2脚。超大型のクッションを空間射出。俺とイゾルデに座るように促し、座ったのを見届けた後、呉さんも全体重を乗せるように座り。

 すかさず、呉さんは貫頭衣の中から、先ほど色の違う<毒々しい赤紫>の大きな瓶のポーションを取り出して…きゅぽんと気の抜けた音が空間に響く中で、それを一気に飲み干し。


「げぷふぁ。いやぁー、生き返りますねー。」


 と、親父臭い台詞を放ったが、乙女の尊厳を守る為。俺とイゾルデは聞かない振りをした。


 * * *


 暫し雑談を交えた休憩が終わり。


「<アビリティ>とは、先天的な才能です。<成長させるには非常に困難>が伴う事を、思考の片隅にでも置いていて下さいねー。」


 雑談で聞いた話だが、<先天的>な才能で在るからこそ、<スキル>を鍛え上げる事で覆せる。

 その才能に胡座をかいてサボると、才能が無くても<努力>し、<鍛え上げた>人達に追い抜かれると言うことだそうな。


「まず、このアビリティポイントを振り分けて下さい、最低値は<1>です。特化するなら最大値は<25>になりますよー。問題無しなら右下の<完了>を。初期化するなら左下の<初期化>を押してくださいね?やり直しは何度でも可能です!満足行くまで振り分けてくださいねー。」


 そうだな<F/O>と同じ、俺が目指すは<恐怖の騎士ナイト・オブ・テラー>。

 近接攻撃力と防御力に優れ、戦場を駆け抜け恐怖を撒き散らす、<同格殺し>と称された<称号>だ。

 それを踏まえて、

<STR:9><AGI:5><VIT:9><DEX:5><INT:1><LUK:1>と無難に振り分ける。

 グラフ内のゲージが数値に反映した状態で表示されるようになったのを確認し、<表示枠>右下の、<完了>を指先で押した。

 その数値を見て、イゾルデと呉さんはが、「あまりに無難ですね」と頷きあっている横で。


「俺的には、何事も無難なのが一番なんだけどね。」


 と、何事も安定志向の友人、公園きみぞのさんの台詞を引用する。


「ではでは、次は<スキル>選定ですね!」


 と、椅子に座りながら、<引き継ぎ特典>用と書かれた<表示枠>をぽんっと、空間に射出する呉さんの姿があった。


 * * *


 目の前に表示された<表示枠>には、大量のスキルと、説明文があり…。


「まず、初期のスキル枠は10個!特典枠として2個追加されていますので、12の<スキル>が初期習得出来ます。」


 なるほど、と言いながら<騎乗>と書かれたスキルのを押して説明を見てみる。

<騎乗>:騎乗可能な<各種族>に乗ることが可能になる。

 と、出た。

 oβのwiki情報では、成長し派生すれば<高速騎乗>か<戦闘騎乗>に変化すると書かれていたので習得のチェックを入れる。

 そんな感じで、次々と必要なスキルを取っていくが。


「呉さん、初期習得で良いんですかコレ。」


 と、聞いてしまう程のスキルが幾つか存在した。

 呉さん曰く、俺用の引き継ぎ特典の<スキル>習得<表示枠>との事なので遠慮無く取っていく。

 結局取ったのは。


 戦闘系が<両手剣><短剣><重鎧><騎乗><盾><屍霊術><握り込み><片手持ち:両手剣【制限解除】>の8種類。

 補助系が<身体能力向上><稀なる一撃>の2種類。

 生産系が<鍛冶><冶金>の2種類。

 合計12種類だ。

 一つ一つ説明すると。

 まずは、<戦闘系>から。

<両手剣>は、両手剣自体の攻撃力は高いが、重いが故に攻撃速度が低いのが欠点に上げられる。成長させれば、少しだが解消するのだけどもやはり遅い。


<短剣>は、非常に攻撃速度に優れ、一撃の威力が低いがダメージを手数を稼ぐスタイルの武器だ。いざという時の、予備武器としても軽くて、取り回しも良く複数本用意する猛者もいる程だ。


<重鎧>は、<重鎧>属性の防具を装備する事が可能となる<スキル>で、主な効果は【重量の軽減促進】【重量による行動制限緩和】。つまり、このスキルを取らずに装備すると動けないと言う訳。


<騎乗>は、騎乗する為に必要なスキル。このスキルを取らないと馬などに乗って走っている間に振り落とされる可能性が上がる。俺は、イゾルデと旅をするので必須という理由もある。


<盾>は、存外優秀なスキルであり、初心者なら必須の<スキル>だ。初期から相手の攻撃を受け止める事が出来る数少ない装備の為、Wikiでも取得が推奨されているらしい。


<屍霊術>。最も【使えない】と称されるスキルの代表格。あまりの使い勝手の悪さと、コストの悪さが不遇スキルとして拍車を掛けている。しかし<恐怖の騎士>の称号に必要不可欠なため取らざるを得ない…、使い方が解れば面白いと俺は思う。


<握り込み>は、きちんと握り込む事によって攻撃力を微量上昇。武器を戦闘中に、自分の意志に反して手放す確率を下げると言う物。


<片手持ち:両手剣【制限解除】>。名前の通り、両手剣を片手で持てる<浪漫>と<実益>を兼ね備えたスキル。このスキルは<F/O>の上位陣でも知っている人は少ない稀少な<スキル>だ。真の能力は、両手剣の火力と片手剣の攻撃速度を両立出来き、盾まで使用可能な点だ、いやはや恐ろしい。


 次に<補助>系。

<身体能力向上>は、そのまま薄く広く身体能力に補正を掛けるスキルで、各種<身体特化>よりは効果は低い。しかし、その微妙な差が戦闘で生死を別ける事に繋がるので取っておく。


 そして、俺が<F/O>最後の最後に取った思い出深いスキルが。

<稀なる一撃>。戦闘時に、クリティカルの発生確率を引き上げると言う<稀少>スキルの一種。発生率は低いが、連続で発生した場合の威力が楽しい事になる。


 最後に<生産系>。

<鍛冶>は、自分で武器を作るためのスキルなんだが…俺の用途は主に、武器修理用。

<冶金>は、インゴットを製造する為のスキルだが…武器の修理素材を作る為のスキルだ。


 あれ、良く見れば。<表示枠>のスキルは全部俺が<F/O>で習得していた物ばかりだ。


「呉さん…もしかしなくてもこのスキル一覧は…。」

「ふっふっふー。やっと、気がつきましたか!だから言ったんですよ-、ジン様専用ですよーって。」

「くっ!確かに、確かにこれは<引き継ぎ特典>だな!」


 俺の目頭が、VR空間なのに熱くなった気がして、思わずお礼を言う。

 いえいえ、この驚いて喜んで貰える事が、GMAIの醍醐味ですねーと、呉さんも椅子をぐるぐると回しながら言うのは、どうした物か。


 頭の横から、超特大のクッションに身体を埋めていたイゾルデも、


「よかったですねご主人。悩みましたが、私も一つ、スキルを選びました。」


 イゾルデも、呉さんから表示された専用の<表示枠>から一つ<スキル>を選んだみたいだ。

 すいっと、俺の目の前に表示されたスキル名は…<人間化>と言う物。


「ご主人と一緒に<フォリア>の街を歩いてみたいと、思って取りました。」

「ん、イゾルデありがとう、嬉しいな。」


 と、イゾルデの鼻先を優しく撫でる。

 その横で、呉さんが真剣な顔をしながら「羅針盤コンパス姉さん、今南方だよね?珈琲ってある?砂糖いらないから、ブラックで用意して欲しいな、よろしくね!」と、何処かに連絡していたが気にしない。


 さて、<アビリティ>も<スキル>も決めた次は…。


「さて、おほん。気を取り直して私のダメージが蓄積する前に、最後に正式オープンからの新要素である<起源ルーツ>を決めてしまいましょうか!」


起源ルーツ>?公式HPやWikiにも書いて無かった、予期せぬ新要素の登場に俺は心を躍らせた。

能力&スキルの設定回でした。

タイトル通り<黒の姫龍>の<龍>の姿も少し出せたし満足です。


しかし、まだログインさえ出来ていない、ぐぬぬ。


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