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world prison  作者: 小濱悠
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5/6

you will be

 「また、お前かよ。さっさと帰れ」


ジェンの中ではそいつを追い払うのが朝の日課になっていた。


 「やーだね!今日こそ遊ぼうよ」


そいつはジェンがいつも腰掛けている庭の横長のベンチまでやってくる。


そのベンチはジェンのお気に入りの場所。


誰も来ない裏庭にあった。


施設の中はとてもじゃないが居られない。


唯一、安心できる場所。


 「うるせぇ、消えろよ」


ジェンは両足をベンチの上に上げ、寝そべった。


 「嫌だって言ってんじゃん。そうだ、町に行こう!ジェンは町に行ったことないでしょ?」


 「はぁ?行かねぇよ、バカ。って、何で俺の名前知ってんだよ?!」


ジェンがガバッと起き上がった。


 「何でって、君、有名じゃん?」


悪い意味でね、と苦笑される。


 「そ、それじゃ不公平だろ!」


ジェンはそいつから目を逸らして言った。


そいつは驚いた顔でジェンを覗き込む。


 「たから!お前は何て言うんだ?!」


 「え?な、何?」


微笑してしまう。なんだ、こいつ、いきなり。


 「名前だよ!!」


逸らしていた目を元に戻した。


あぁ!と理解したようにジェンに言った。


 「僕は、クライヴ。今更だけど、宜しく」


 「そ、そうかよ!」


ニコッと笑ってジェンに手を差し出す。


鼻で笑い、ジェンは手を取った。





 「おい、来たけど、何すんだよ?」


内緒で施設を抜け出して町まで来た。


こんな事して大丈夫なのかって?ジェンは有名だから探されはしないよ。


 「行きたい所があるんだ。そこに行こう」


 「めんどくせぇな、何処だよ」


暫く大通りを歩き、狭い路地に入っていく。


土地勘のあるクライヴはどんどん進んでいく。


ジェンは帰り道が判からなくなるんじゃないかと不安だったが、此処まで来たなら、と、クライヴに付いて行った。


 「此処だよ」


路地から視界が開けて見えたのは、教会。


かなり大きい。


高さ150mはあるだろうか。


このくらい大きければ町の何処からでも見えるはずだが。


雲の間から突然出てきた太陽に思わず目を手を覆う。


 「おーい、早く来なよー」


気が付いたら、クライヴが教会の入り口で手を振っていた。




 「クライヴ、何で教会なんて所・・・」


ジェンは辺りをキョロキョロしながらクライヴに駆け寄る。


中に入ったら想像してた以上に広くて、向こう側に立ってる人が霞んで見えた。


 「君には悪魔が取り憑いているんだよ」


ふと、立ち止まり真剣な面持ちでジェンに言った。


 「え・・・、あ、悪魔・・・?」


心拍数が上がる。


ドクン ドクン ドクン


 「ッ!!う、嘘だよ」


ジェンの反応に我慢しきれずに吹き出す。


呼吸困難になったかのように腹を抱えて爆笑した。


ジェンの顔が赤くなる。


 「ジェ、ジェン、って・・・真面目ッ、なんだね!」


笑いは収まらない。


 「うっせぇ!!放っておけ!!」

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