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world prison  作者: 小濱悠
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4/6

In my boyhood

生きていくことで精一杯だった。


彼らには、住む場所、食べ物が無かった。そして、親がいない。


境遇がおなじ彼らが出会うのに時間はかからなかった。


二人はずっと一緒だった。何をするのも一緒だった。


そんな二人に小さな隔たりが生まれたのはいつの頃からだったか・・・。


 「ジェン、僕たちこれからどうするんだろう?」


二人は、さっきとは違う路地を遊回している。


頭上には重たい雲が架かっており、地上の光がわずかに空を照らす。


今は、夜。


冷たい空気が体にしみる。


なに、いつもの変わらぬ夜。


 「そんなの知るかよ・・・。」


二つの人影はだんだんと、遠ざかっていった。


これが運命というものであったならば。


ジェンは奥歯を噛みしめた。




------------------------------------------------------------




かすかに覚えている。人の手の温もりを。



ジェンの両親は、とても仲が悪かった。家に帰るなり、口喧嘩が耐えなかった。


まだ幼かった彼には、それは苦痛以外の何物でもなかった。


彼らは、何よりも仕事しかしない。


だから、ましてや休日に親と遊びに出かけるなどジェンにとっては、ありえないことだった。


これが普通でないと知るのは先の事になる。


何より辛かったのは、夜だ。


夜は、何よりも自分に孤独を感じさせるものだった。


そして、ジェンの心の穴は何よりも深くよどんでいた。


暫く経ってから、ジェンの両親はジェンを児童委託施設に預けたまま消息を絶った。


そんな時だった。クライヴと出会ったのは。







施設には様々な事情を抱えた子供がたくさんいた。


何人も施設に入ったばかりのジェンに話しかけてくれたが、ジェンは差し伸べられた手をはじいてきた。


でも、しつこい奴がいた。


そいつは毎日のように施設を訪ねて来た。


そいつは施設の人間じゃないのにジェンの所に来るのだ。


そいつはジェンの前で言う。


 「君は僕と同じだね」


訳の分からない言葉を言い、ジェンが無視すると、いつもこう言う。


 「僕たちと一緒に遊ばないかい?」


‘たち’って誰だよ、お前はいつも一人で来てんじゃねーかよ。


と、思いながら更に無視し、ジェンがその場を立ち去ろうとすると、こう言う。



 「またね」



気味の悪いやつだ。


そう思いながらも、心の中には違う感情が渦巻いていた。

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