In my boyhood
生きていくことで精一杯だった。
彼らには、住む場所、食べ物が無かった。そして、親がいない。
境遇がおなじ彼らが出会うのに時間はかからなかった。
二人はずっと一緒だった。何をするのも一緒だった。
そんな二人に小さな隔たりが生まれたのはいつの頃からだったか・・・。
「ジェン、僕たちこれからどうするんだろう?」
二人は、さっきとは違う路地を遊回している。
頭上には重たい雲が架かっており、地上の光がわずかに空を照らす。
今は、夜。
冷たい空気が体にしみる。
なに、いつもの変わらぬ夜。
「そんなの知るかよ・・・。」
二つの人影はだんだんと、遠ざかっていった。
これが運命というものであったならば。
ジェンは奥歯を噛みしめた。
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かすかに覚えている。人の手の温もりを。
ジェンの両親は、とても仲が悪かった。家に帰るなり、口喧嘩が耐えなかった。
まだ幼かった彼には、それは苦痛以外の何物でもなかった。
彼らは、何よりも仕事しかしない。
だから、ましてや休日に親と遊びに出かけるなどジェンにとっては、ありえないことだった。
これが普通でないと知るのは先の事になる。
何より辛かったのは、夜だ。
夜は、何よりも自分に孤独を感じさせるものだった。
そして、ジェンの心の穴は何よりも深くよどんでいた。
暫く経ってから、ジェンの両親はジェンを児童委託施設に預けたまま消息を絶った。
そんな時だった。クライヴと出会ったのは。
施設には様々な事情を抱えた子供がたくさんいた。
何人も施設に入ったばかりのジェンに話しかけてくれたが、ジェンは差し伸べられた手をはじいてきた。
でも、しつこい奴がいた。
そいつは毎日のように施設を訪ねて来た。
そいつは施設の人間じゃないのにジェンの所に来るのだ。
そいつはジェンの前で言う。
「君は僕と同じだね」
訳の分からない言葉を言い、ジェンが無視すると、いつもこう言う。
「僕たちと一緒に遊ばないかい?」
‘たち’って誰だよ、お前はいつも一人で来てんじゃねーかよ。
と、思いながら更に無視し、ジェンがその場を立ち去ろうとすると、こう言う。
「またね」
気味の悪いやつだ。
そう思いながらも、心の中には違う感情が渦巻いていた。