accomplish my duty
「う、うっせぇ!!お、俺たちは・・・ッ!」
脱獄犯は立ち上がり、勢いよく胸倉を掴んだ。
胸倉を掴まれても、なお、冷めた目つきで脱獄犯を見る。
何も驚きはしなかった。これも馴れている。
「何だよ!何か言えよォ!」
「お前に言うことなんてねぇよ。ただ、帰ってきてくれれば良い。」
その言葉に圧倒され、手を離した。
まるで、生気の無くなった顔で地面に膝を着き、うなだれる。
すると、脱獄犯の頭を掴み、
「歯ぁ食いしばれよッ、っと」
脱獄犯の首に衝撃が走しり、そのまま意識を失った。
「一丁、上がり」
脱獄犯を引きずって工場跡地を出ると、入り口に一台のバンが止まっていた。
「あら、調子はどう?オーウェン」
運転席に乗っている女性が挨拶する。
「・・・頼むから夜遅くには呼び出さないでくれよ」
オーウェンは助手席に乗り込み、シートベルトを締める。
大きなあくびをし、両手を頭の後ろで組んだ。
「サラ、聞いてる?」
「・・・あら、何か言ったかしら?」
鼻歌を止めてチラッとオーウェンの方を向いた。
「・・・・何でもないよっ」
都合の良い女だ、と心の中で呟きタバコをくわえた。
「アンタが選んだ職は最初から休みなんて無いでしょうが」
何だよ・・・聞こえてたのか、と思いライターを取り出す。
「車内は禁煙です。お客様」
サラが愛想よく言った。
「へいへい」
口にくわえたタバコをしまい、窓から暗くて何も見えない景色を見る。
この道路は整備されていなくて時折、ガタガタ揺れる。
工場跡地の周辺は廃屋が多くとても人が住んでいるとは思えない。
昔は豊かな町だったらしいが、その面影は見当たらない。
何せ、以前、大きな事件があったらしい。
オーウェンは薄暗い視界の中、車の揺れに揺られて眠りに落ちた。