表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
world prison  作者: 小濱悠
Prologue
1/6

Go back your home

風も静まった夜に、屋根から屋根へと、宙を斬るように飛んでいく。


かすかに風の音が伝わってくる。




ある路地に着地した。


 「此処等なんだが・・・」


あたりを見渡しても人気がない。場所を間違えたかと思ったが、どうやら此処が正しいようだ。


 「みぃつけた!」


勢いよく走り出すと、数少ない工場の窓の中に1つの黒い点が見える。


それは何か大きなものに囲まれていて、よく見えなかったが、あれは人だった。


音もなく忍び寄る。本人は忍んでいる気ではないんだが。


 「・・・第7地区脱獄犯NO.16862確認」


脱獄犯は、とある工場跡地で発見した。




複雑に入り組んだ工場の中を巨大な機械に囲まれて身を縮めている。


迫る恐怖におびえていた。


 「畜生・・・何で俺がこんな事・・・」




順風満帆、計画通りに進んでいるな、と鼻を鳴らし、寂れた工場の中に入るった。


此処は来飽きている。地図が頭に入っているくらい。


脱獄者は脱獄後よく此処で身を潜める。


何故かは彼らにしか分からない。


まぁ、こっちからしたら好都合だ。



 「勝手に死んでてくれるなよー」


ため息混じりにつぶやいた。





足音が近づいてくる。


もう逃げ道は無かった。


 「も、もう・・・終わりだぁ!」


固く目を瞑り、背中を丸めた。


鼻水をすすりながら来るべき人を待つ。



大きくなっていた足音が止まった。


 「おい、お前」


絶望に打ちひしがれている脱獄犯の前に立つ。


返事は無い。


 「死んでねぇだろうな?」


敢えて言う。


ある種の嫌味のような言葉だ。


 「・・・フゥ、立てよ?」


鋭い眼光で見下ろす。


しかし、立とうとしない。


 「お前の家に帰るぞ」


 「・・・嫌だ!何が家だ畜生!!」


ガッと顔を上げ、睨み返す。


それを見て嗤う。


 「お前ら犯罪者はムショ以外帰る所なんざねぇんだよ」


その眼には感情がなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ